なぜ国は中小M&A資格を創設するのか——市場拡大と不適切事例、ガイドライン第3版からの流れ
背景は、後継者不在を抱える中小企業のM&A需要の拡大と、一部の仲介・譲り受け側による不適切事例の顕在化です。国は2024年8月に中小M&Aガイドラインを第3版へ改訂し、2025〜2026年の検討会で「資格試験+登録制度」による支援人材の質の担保を打ち出しました。資格は規制ではなく、信頼できる支援者を可視化する市場インフラとして設計されています。
市場の拡大と支援機関の急増
事業承継型M&Aは年々増え、仲介・FA業者も急増しました。参入障壁が低い一方で、依頼者(多くは初めてM&Aを経験する経営者)との情報格差が大きく、不適切な仲介や譲り受け側による被害が問題化しました。
ガイドライン第3版と、その先
第3版は仲介の利益相反管理、テール条項・専任条項の適正化、不適切な譲り受け側の排除などを具体化しました。しかしガイドラインは行動規範であり、それを守れる人材かどうかを測る仕組みがなかった。そこで検討会は、知識と倫理を試験で確認し、合格者を登録・公表する制度を設計しました。
受験者にとっての意味
この資格は「合格すれば仕事が増える資格」というより、「持っていないと支援者として説明がつかなくなり得る資格」として設計されています。倫理科目に禁忌肢が置かれるのは、その思想の表れです。
規制で仲介ができなくなるのですか?
資格の要件化は未公表です。現時点では登録制度と補助金の枠組みが事実上の要件として機能しています。
民間資格と何が違いますか?
中小企業庁が運営主体で、登録制度と接続する点が異なります。
今後の予定は?
委託先選定→試験案内公表→令和8・9年度実施の想定です。
出典: 中小M&Aガイドライン(第3版)公表資料(中小企業庁)/中小M&A市場の改革に向けた方向性について(検討会第4回 資料2)(中小企業庁)