この記事の目次(10項目)
- 中小企業庁が創設するM&Aの資格とは——「中小M&A資格試験(仮称)」の正体
- 実施団体は株式会社銀行研修社——2026年5月1日に中小企業庁が採択を公表
- 誰が何をするのか——中小企業庁・委託先・未定の役割分担
- 中小企業庁が公表した資料の一覧——日付順に何が書いてあるか
- 「中小企業庁のM&A資格」と間違えやすい制度——支援機関登録制度・ガイドライン・スキルマップ
- 国家資格なのか——該当を示す公表資料はない
- 中小企業庁の資料で決まっていること・決まっていないこと(2026年9月30日時点)
- 今後の公式情報は3つの経路から出る
- 中小企業庁のM&A資格についてよくある質問
- 次の一歩:公表を待つ間に、中小企業庁の出題範囲で現在地を測る
中小企業庁が創設するM&Aの資格とは——「中小M&A資格試験(仮称)」の正体
中小企業庁が創設を進めるM&Aの資格は、中小企業庁の資料で「中小M&A資格試験(仮称)」と表記されている試験と、合格者の登録制度の組み合わせです。中小企業庁は「中小M&A市場の改革に向けた検討会」で試験の設計案を示し、試験の実施を委託事業として民間団体に任せる形をとっています。制度の骨格を1枚にまとめると、次の表のとおりです。
| 項目 | 中小企業庁の公表資料で言えること(2026年9月30日時点) |
|---|---|
| 名称 | 中小M&A資格試験(仮称)。正式名称は公表されていない |
| 運営主体 | 中小企業庁 |
| 試験の実施 | 毎期公募で民間団体へ委託。今期の委託先は株式会社銀行研修社(2026年5月1日採択公表) |
| 科目と形式(現状案) | 4科目・設問60問程度・120分・CBT方式(検討会第4回資料2) |
| 合格基準(現状案) | 総得点・科目別最低基準・倫理科目の禁忌肢の3層(検討会第4回資料2) |
| 合格後の登録制度(案) | 試験合格+誓約書+登録講習修了+欠格事由非該当で登録。運用は令和10年度以降の想定(検討会第5回資料2) |
| 実施年度(想定) | 令和8・9年度(検討会第4回資料2) |
| 未公表の事項 | 正式名称・試験日・申込期間と申込方法の詳細・受験料の金額・受験資格・合格率・受験者数・公式テキスト |
科目・出題割合・合格基準の詳細は、試験の全体像の記事で科目ごとに解説しています。
実施団体は株式会社銀行研修社——2026年5月1日に中小企業庁が採択を公表
中小M&A資格試験の実施団体は、株式会社銀行研修社です。中小企業庁は2026年5月1日、「令和7年度補正 中小企業活性化・事業承継総合緊急支援事業(中小M&A資格試験実施事業)」の企画競争で、同社を委託先として採択したと公表しました。公募期間は2026年3月27日から4月22日まで、応募は3件でした。
実施団体について中小企業庁の公表資料で確認できるのは、委託先の名称、採択の公表日、事業名、公募期間、応募件数の5点です。株式会社銀行研修社のサイトには、2026年9月30日時点で本試験の案内・教材の掲載はありません(編集部確認)。
誰が何をするのか——中小企業庁・委託先・未定の役割分担
中小M&A資格試験(仮称)は、制度を設計する中小企業庁と、試験を運営する委託先に役割が分かれています。公募要領では、受験料は事業期間中に中小企業庁と協議して決定し、合否判定の評価方法は試験委員会の了解を得ることとされています。
| 項目 | 中小企業庁 | 委託先(株式会社銀行研修社) | 未定・未公表 |
|---|---|---|---|
| 制度設計(科目・出題割合・合格基準) | 検討会第4回資料2で現状案を公表 | — | 確定値 |
| 出題範囲 | 検討会第4回資料3で出題範囲一覧を公表 | — | — |
| 試験問題の作成 | 詳細は受託者と協議 | 試験委員会を立ち上げて運営(公募要領) | 問題の内容 |
| 試験案内 | — | 試験案内を作成しインターネット上に公開(公募要領) | 公開日 |
| 受験申込の受付 | — | インターネット受付等を活用して受付(公募要領) | 申込期間・申込方法の詳細 |
| 受験料 | 受託者と協議して決定(公募要領) | 有償で実施する想定(公募要領) | 金額 |
| 試験の実施 | 開催方式・実施時期は受託者と協議 | CBT方式、各都道府県に少なくとも1か所の会場(公募要領) | 試験日・会場 |
| 合否判定・合格通知 | — | 評価方法は試験委員会の了解を得る。合否判定は後日行う想定。合格通知書を合格発表日以降に簡易書留で発送(公募要領) | 合格発表日 |
| 合格者の登録制度 | 検討会第5回資料2で案を公表。取消の判断は中小企業庁が担う想定 | — | 登録を運用する組織・運用開始日 |
試験の実施は毎期公募のため、実施団体は期ごとに変わりえます。2026年5月1日の採択は令和7年度補正予算による今回の事業についての採択で、公募要領上の事業期間は契約締結日から令和9年3月31日までです。「実施団体はどこか」は、申込の時点ごとに確かめ直す必要がある問いです。
中小企業庁が公表した資料の一覧——日付順に何が書いてあるか
中小M&A資格試験(仮称)に関して中小企業庁が公表した資料は、2026年9月30日時点で主な資料は次の7件です。中小M&Aガイドライン第3版と知識スキルマップは試験制度そのものではなく、試験の母体にあたる資料です。
| 公表日 | 資料名 | 掲載場所 | 書いてあること |
|---|---|---|---|
| 2024年8月30日 | 中小M&Aガイドライン(第3版) | 中小企業庁 財務課のガイドラインページ | M&A支援機関の行動指針。倫理・行動規範科目の母体 |
| 2025年4月 | 【中小M&A専門人材(個人)向け】使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ | 同上 | 令和6年度「中小M&Aに係る資格に関する調査事業」の成果物。専門人材の使命・倫理・知識を整理。試験制度の記載はない |
| 2026年3月17日 | 検討会第4回 資料2 | 中小M&A市場の改革に向けた検討会ページ | 試験設計の現状案(4科目・60問程度・120分・CBT・合格基準3層・出題割合・サンプル問題) |
| 2026年3月17日 | 検討会第4回 資料3 | 同上 | 出題範囲一覧(科目ごとの小項目と●印の優先出題項目) |
| 2026年3月27日 | 中小M&A資格試験実施事業 公募要領 | 委託事業の公募ページ | 受託者の業務、開催方式と実施時期の想定、有償での実施、事業期間 |
| 2026年5月1日 | 委託先の採択結果 | 委託事業の採択結果ページ | 株式会社銀行研修社を採択、応募3件 |
| 2026年7月21日 | 検討会第5回 資料2 | 中小M&A市場の改革に向けた検討会ページ | 登録制度の案(登録要件・有効期限・更新・取消・登録者検索システム) |
| — | 検討会第6回の資料 | — | 2026年9月30日時点で資料ページは存在しない(編集部確認) |
初めて読む人には、検討会第4回資料2、資料3、検討会第5回資料2、公募要領の順をすすめます。資料2で試験の形を、資料3で学ぶ範囲を、第5回資料2で合格後の流れを、公募要領で試験運営の想定をつかめます。
検討会第4回資料2は「年3回程度の複数の受験機会を設けた上で、一斉実施を想定」と書いています。10日後の公募要領はこれを具体化し、年3回程度の試験実施日を定めて受験者がその中から任意の日時を選ぶ形を想定したうえで、受験者はそのうちの1回のみ受験できると書いています。一斉開催とした場合の試験実施時期は「1月~2月」の平日2日間と休日1日間の3日間を想定し、詳細は中小企業庁と協議すると書かれています。公募要領は月だけを書いており、何年の1〜2月かは示していません。
「中小企業庁のM&A資格」と間違えやすい制度——支援機関登録制度・ガイドライン・スキルマップ
中小企業庁には、M&Aに関する制度や資料が資格試験のほかに3つあります。M&A支援機関登録制度は事業者の登録、中小M&Aガイドラインは支援機関の行動指針、知識スキルマップは専門人材の要件の整理です。資格試験は、個人の知識と倫理を試験で確かめる点でこの3つと異なります。
| 制度・資料 | 対象 | 性質 | 資格試験との関係 |
|---|---|---|---|
| M&A支援機関登録制度 | 事業者(法人・個人事業主) | 登録。登録FA・仲介業者は3,399件(令和8年3月9日時点) | 別制度。個人の資格保有は登録要件になっていない |
| 中小M&Aガイドライン(第3版) | M&A支援機関 | 行動指針 | 倫理・行動規範科目の母体 |
| 知識スキルマップ(2025年4月) | 中小M&A専門人材(個人) | 要件の整理 | 試験制度の記載はない。出題範囲は検討会第4回資料3 |
| 中小M&A資格試験(仮称) | 個人 | 試験+登録制度(案) | — |
M&A支援機関登録制度に登録している事業者でも、担当者個人がこの資格を持っていることにはなりません。中小M&A資格が支援機関登録の要件になるかは2026年9月30日時点で公表されておらず、両制度の関係は支援機関登録制度との関係の記事で詳しく扱っています。
知識スキルマップは「中小M&Aに係る資格に関する調査事業」の成果物ですが、試験要綱ではありません。知識スキルマップには科目・問題数・合格基準・試験日の記載がなく、試験の出題範囲として公表されているのは検討会第4回資料3の出題範囲一覧です。
国家資格なのか——該当を示す公表資料はない
中小M&A資格試験(仮称)が国家資格に当たるかを示す公表資料は、2026年9月30日時点でありません。試験を根拠づける法令は公表されていません。当サイトが確認した範囲では、検討会第4回資料2は「国家資格」の語を試験免除の検討の中で既存の士業資格(弁護士、公認会計士、税理士等)を指して使っており、本試験を国家資格と位置づける記述はありません(第5回資料2には語そのものが出てきません)。国家資格の定義との照合と、取る価値の判断材料は、国家資格かどうかを扱う記事で整理しています。
中小企業庁の資料で決まっていること・決まっていないこと(2026年9月30日時点)
| 項目 | 状況 | 根拠 |
|---|---|---|
| 運営主体 | 中小企業庁(資料2は「運営主体として実施予定」と記載。委託先の公募・採択は中小企業庁が実施) | 検討会第4回資料2・公募・採択結果 |
| 今期の実施団体 | 確定:株式会社銀行研修社 | 採択結果(2026年5月1日) |
| 科目・形式・合格基準 | 現状案:4科目・60問程度・120分・CBT・3層の基準 | 検討会第4回資料2 |
| 出題範囲 | 公表済み:小項目と●印の優先出題項目 | 検討会第4回資料3 |
| 開催方式 | 想定:年3回程度の試験実施日から受験者が1つを選び、受験は1回のみ | 公募要領 |
| 登録制度 | 案:登録要件・有効期限・更新・取消。運用は令和10年度以降の想定 | 検討会第5回資料2 |
| 正式名称 | 未公表 | — |
| 試験日・申込期間・申込方法の詳細 | 未公表 | — |
| 受験料の金額 | 未公表(有償で実施する想定まで) | 公募要領 |
| 受験資格 | 未公表 | — |
| 公式テキスト・公式講座・公式問題集 | 未公表。新設試験のため過去問は存在しない | — |
| 合格率・受験者数 | 未公表(試験は未実施) | — |
確定・現状案・未公表の区分は、当サイトの公表状況一覧で随時更新しています。
今後の公式情報は3つの経路から出る
中小M&A資格試験(仮称)の公式情報が出る経路は、中小企業庁の検討会ページ、中小企業庁の委託事業の公募・採択ページ、実施団体である株式会社銀行研修社の案内の3つです。試験日・申込方法・受験料・会場といった受験の実務情報は、公募要領上、委託先が作成しインターネット上に公開する試験案内で示される設計です。検討会は2026年7月21日の第5回が最新で、実施団体のサイトにも2026年9月30日時点で試験案内はありません。当サイトは3経路を確認し、試験日程ページに公表状況を載せています。
中小企業庁のM&A資格についてよくある質問
中小企業庁のM&A資格の正式名称は何ですか?
正式名称は2026年9月30日時点で公表されていません。中小企業庁の資料では「中小M&A資格試験(仮称)」と表記されています。
中小企業庁が直接試験を実施するのですか?
運営主体は中小企業庁ですが、試験の実施は毎期公募で選ぶ民間団体への委託です。今期の委託先は株式会社銀行研修社で、2026年5月1日に中小企業庁が採択を公表しました。
中小企業庁のどのページを見れば最新情報が分かりますか?
中小企業庁の検討会の資料ページと委託事業の公募・採択結果のページの2か所に、実施団体である株式会社銀行研修社の案内を加えた3経路です。試験日や申込方法は、株式会社銀行研修社が作成しインターネット上に公開する試験案内で示される設計です。
M&A支援機関登録制度に登録していれば、この資格は不要ですか?
M&A支援機関登録制度と中小M&A資格は別の制度です。支援機関登録制度は事業者の登録で、中小M&A資格は個人の試験と登録として設計されています。資格が支援機関登録の要件になるかは、2026年9月30日時点で公表されていません。
中小企業庁のスキルマップは試験の出題範囲ですか?
知識スキルマップは出題範囲ではありません。知識スキルマップは2025年4月に公表された専門人材の要件の整理で、科目・問題数・合格基準・試験日の記載はありません。試験の出題範囲は、検討会第4回資料3の出題範囲一覧で公表されています。
今から何を準備すればいいですか?
中小企業庁が公表した4科目(M&A実務/倫理・行動規範/財務・税務/法務)のうち、自分がどの科目に弱いかを確かめることから始められます。出題範囲一覧と中小M&Aガイドライン第3版は、試験日が公表される前から無料で読めます。登録不要の10問クイック診断で、最も低い科目を先に特定してください。
次の一歩:公表を待つ間に、中小企業庁の出題範囲で現在地を測る
今日できることは、登録不要・約5分の10問クイック診断で、中小企業庁が公表した4科目のうち最も低い科目を特定することです。試験の設計と出題範囲はすでに公表されており、試験日の公表を待つ間の学習量が初回の準備の差になります。無料会員登録をすると、20問精密診断と本番想定60問模試の結果が保存され、科目別の推移を追えます。中小企業庁または委託先から試験案内(正式名称・試験日・申込・受験料)が公表された当日のメール通知も、無料会員登録時に任意で選べます。