この記事の目次(12項目)
  1. 倫理・行動規範は全60問程度のうち15問程度
  2. 出題科目詳細が示す6つの分類
  3. 確認問題10問の使い方
  4. 使命・善管注意義務・職業倫理(問1〜問2)
  5. 利益相反の防止——仲介者が対象(問3〜問4)
  6. 報告義務(問5)
  7. 広告・営業(問6〜問7)
  8. 品位(問8)
  9. 情報管理(問9〜問10)
  10. 答え合わせのあとに見る2点
  11. 2026年11月4日時点で公表されていない項目
  12. 次の一歩:落とした分類を本番配分の60問で踏み直す

倫理・行動規範は全60問程度のうち15問程度

倫理・行動規範の出題数は15問程度です(中小企業庁、2026年10月30日公表)。全60問程度の内訳は、M&A実務22問程度、財務・税務13問程度、法務10問程度、倫理・行動規範15問程度です(中小企業庁、2026年10月30日公表)。倫理・行動規範は、M&A実務に次いで出題数が多い科目です。

試験は120分、多肢選択式(四肢択一)、CBT方式で実施されます(中小企業庁、2026年10月30日公表)。試験日は令和9年(2027年)1月28日から30日のうち、受検者が任意に選ぶ1日です(中小企業庁、2026年10月30日公表)。

検討会資料では、総得点の基準と科目別の基準に加えて、禁忌肢を置く方針が示されています(検討会第4回 資料2・現状案)。禁忌肢の方針が示されたのは倫理・行動規範です。出題数が2番目に多く、かつ失点の経路が一つ多い科目という位置づけになります。

出題科目詳細が示す6つの分類

出題科目詳細の倫理・行動規範には、使命、仲介者・FAの選定等、善管注意義務・職業倫理、広告・営業、品位、情報管理の6つが並んでいます(令和8年度中小企業M&A実務能力・倫理検定試験 出題科目詳細、中小企業庁)。

各分類の下には、さらに細かい項目が置かれています。善管注意義務・職業倫理には、善管注意義務、支援の質の向上、顧客利益の優先・意思の尊重、利益相反の防止(仲介者が対象)、報告義務、その他が入ります。広告・営業には、虚偽・誤解を与える文言使用の禁止、不適切な営業活動の禁止が入ります。

品位には、品位の保持、品位を損なう行為の禁止、法令等の遵守、不適切な個人・組織、反社等との関係が入ります。情報管理には、情報の取り扱い、関係者の指導監督、不適切行為の禁止、その他禁止行為が入ります。使命には、顧客・関係者への貢献、社会への貢献が入ります。仲介者・FAの選定等には、仲介者とFAが項目として置かれています。

これらの項目名は、中小企業庁が中小M&Aガイドラインとあわせて公表している「中小M&A専門人材(個人)向け使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ」の倫理・行動規範の構成と、同じ名称で並んでいます。スキルマップの倫理・行動規範は条番号付きで書かれているため、出題科目詳細の分類名から該当する条文に直接当たることができます。公式テキストは2026年11月4日時点で公表されていないので、この2つの資料の突き合わせが倫理・行動規範の読む対象になります。

スキルマップの倫理・行動規範は、冒頭で「強制力を持つ規程としてではなく、M&A専門人材が満たすべき要素を抽出したものである」と位置づけられています(中小企業庁)。罰則を定めた規定ではありません。

確認問題10問の使い方

10問を続けて解き、答え合わせは最後にまとめて行ってください。1問ごとに答えを見ると、どの分類が弱いのかが分からなくなります。設問はすべて四肢択一で、本試験と同じ形式です(中小企業庁、2026年10月30日公表)。正答のあとに根拠の条番号を添えています。

使命・善管注意義務・職業倫理(問1〜問2)

問1 スキルマップの倫理・行動規範の位置づけとして正しいものはどれか。ア 違反に罰則が定められた規程である。イ 強制力を持つ規程ではなく、M&A専門人材が満たすべき要素を抽出したものである。ウ 法律として制定されたものである。エ M&A支援機関登録制度の登録要件そのものである。

正答はイです。スキルマップの倫理・行動規範は、冒頭で強制力を持つ規程としてではなく、M&A専門人材が満たすべき要素を抽出したものと位置づけられています(中小企業庁)。アとウは規程や法律としての効力を与える記述で、原文にはありません。エについて、M&A支援機関登録制度は事業者を対象とする制度で、個人を対象とするこの規範とは別の仕組みです。

問2 顧客と契約を締結する場面について、倫理・行動規範が示している内容はどれか。ア 顧客が契約内容を検討する十分な時間を与える。イ 顧客の決断を早めるため回答期限を切る。ウ 契約書の内容は締結後に説明する。エ 顧客が迷う場合は支援者が代わりに判断する。

正答はアです。第13条は、顧客が契約内容を検討する十分な時間を与えることを示しています(中小企業庁)。あわせて第12条は、取引中の契約を顧客と十分に相談し、納得のうえで締結すること、無理に案件を進めないことを示しています。イ・ウ・エはいずれもこの2条と逆の向きの行為です。

利益相反の防止——仲介者が対象(問3〜問4)

問3 仲介者について、倫理・行動規範が示している内容はどれか。ア 顧客の同意があれば取引の当事者になれる。イ 顧客の同意があれば利益関係者の代理人になれる。ウ 顧客の同意があっても、取引の当事者や利益関係者の代理人にならない。エ 取引の当事者になる場合に顧客の同意は不要である。

正答はウです。第14条は、顧客の同意があっても、取引の当事者になったり、利益関係者の代理人になったりしないことを示しています(中小企業庁)。同意があれば可能になるという組み立てではありません。一方、双方の顧客と仲介契約を結ぶこと自体は、第17条で双方に書面で開示し承諾を得る対象として扱われています。同意の有無で結論が変わる項目と、変わらない項目が分かれている点が、この分類の確認箇所です。

問4 仲介者がバリュエーションやデューデリジェンスの結論を扱う場面について、倫理・行動規範が示している内容はどれか。ア 依頼を受けた側の顧客の意向に合わせる。イ 一方の顧客の意向で結論を決めない。ウ 仲介者が単独で結論を確定させる。エ 結論は顧客に伝えない。

正答はイです。第18条は、バリュエーションやDDの結論を一方の顧客の意向で決めないこと、必要に応じて士業等の意見を求めるよう伝えることを示しています(中小企業庁)。第15条・第16条は、利益相反が想定される場合に顧客へ開示し、中立性を保つなど適切に管理することを示しています。

報告義務(問5)

問5 顧客への情報提供について、倫理・行動規範が示している内容はどれか。ア 顧客から求められた情報だけを提供する。イ 顧客の合理的な判断に必要な情報を積極的に取得し、提供する。ウ 顧客が理解できる範囲の情報だけを選んで提供する。エ 情報は成約後にまとめて提供する。

正答はイです。第20条は、顧客の合理的な判断に必要な情報を積極的に取得し、提供することを示しています(中小企業庁)。第19条は、案件の進捗を定期的に報告し、顧客から求められた際には滞りなく報告することを示しています。求められてから答えるだけでは第20条を満たしません。報告義務は、受け身の対応と能動的な取得の2層で書かれています。

広告・営業(問6〜問7)

問6 広告・営業の表示について、倫理・行動規範が示している内容はどれか。ア 不確実な事項を断定したり、確実だと誤認させたりしない。イ 成約の可能性は断定して伝えてよい。ウ 自社の実績は誇張して示してよい。エ 顧客に不利な事実は省略してよい。

正答はアです。第23条は、不確実な事項を断定したり、確実だと誤認させたりしないことを示しています(中小企業庁)。第22条は、虚偽、誇大、誤解を生じる表示や隠ぺいをしてはならないことを示しています。イ・ウ・エはこの2条が禁じている側の行為です。

問7 顧客から広告・営業の停止を求められた場合について、倫理・行動規範が示している内容はどれか。ア 社内手続が終わってから停止する。イ 直ちに停止する。ウ 契約期間の満了までは継続できる。エ 停止を求める理由の説明を受けてから判断する。

正答はイです。第25条は、広告・営業の停止を求められた場合は直ちに停止することを示しています(中小企業庁)。第24条は、不当な目的や品位を損なう方法で顧客を勧誘しないことを示しています。停止の判断に条件や猶予を置く選択肢は、第25条の書き方と合いません。

品位(問8)

問8 名義の扱いについて、倫理・行動規範が示している内容はどれか。ア 品位を損なう事業に自分の名義を使わせない。イ 報酬を受け取るなら名義を貸してよい。ウ 契約書を交わせば名義貸しは問題ない。エ 名義の扱いはこの規範の対象外である。

正答はアです。第27条は、品位を損なう事業への参入や、そうした事業への名義貸しをしないことを示しています(中小企業庁)。第26条は、見識と品位の保持・向上に努めることを示しています。品位の分類には、法令等の遵守や、不適切な個人・組織、反社等との関係も置かれています(出題科目詳細)。

情報管理(問9〜問10)

問9 情報を開示する前の手順について、倫理・行動規範が示している内容はどれか。ア 開示したあとに開示範囲を事後に説明する。イ 開示範囲や期間を顧客・関係者と話し合い、秘密保持契約の内容と照合する。ウ 秘密保持契約を結んでいれば事前の協議は不要である。エ 開示範囲は情報の受け手が決める。

正答はイです。第43条は、情報を開示する前に開示範囲や期間を顧客・関係者と話し合い、秘密保持契約の内容と照合することを示しています(中小企業庁)。第41条は、取得した情報の正確性を自ら確認するよう努めることを示しています。情報管理は、受け取る段階と渡す段階の両方に手順が置かれています。

問10 取引が終了したあとの書類の扱いについて、倫理・行動規範が示している内容はどれか。ア 取引終了後は扱いに制約がない。イ 取引終了後も使用を停止し、適切に管理し、必要に応じて破棄する。ウ 取引終了後は社内で自由に活用できる。エ 保存するかどうかは担当者の任意である。

正答はイです。第45条は、取引終了後も書類の使用停止と適切な管理を行い、必要に応じて破棄することを示しています(中小企業庁)。第46条は、業務に関与させた者に対して、情報の取り扱いに関する適切な指導・監督を行うことを示しています。情報管理の対象は、自分一人の行為に限られていません。

答え合わせのあとに見る2点

正答数そのものより、落とした問題がどの分類だったかを見てください。6つの分類は出題科目詳細の区切りと同じなので、分類単位の弱点が、そのまま出題範囲上の弱点に対応します。

落とした問題が1つの分類に偏っているなら、その分類の条文をスキルマップで読み直すのが先です。分類がばらけているなら、条文を読む順番を出題科目詳細の6分類の並び順に固定して一巡させるほうが埋まりやすくなります。倫理・行動規範は、総得点で足りていても取りこぼしが響く科目という扱いです(検討会第4回 資料2・現状案)。

2026年11月4日時点で公表されていない項目

受検料は2026年11月4日時点で公表されていません。申込方法と受付期間も2026年11月4日時点で公表されていません。中小企業庁は、具体的な受検申込み方法等を記載した受検案内を11月中に公表する予定と記載しています(中小企業庁)。

合格率の実績と受検者数、公式テキストは、2026年11月4日時点で公表されていません。一方、倫理・行動規範の出題数15問程度と、四肢択一・CBT方式・120分は、2026年10月30日に公表された事項です(中小企業庁)。合格基準と禁忌肢の方針は検討会資料の現状案で、確定事項として公表されたものではありません。

次の一歩:落とした分類を本番配分の60問で踏み直す

この10問で落とした問題の分類名を書き出し、無料模試の倫理・行動規範15問程度で同じ分類をもう一度踏んでください。10問は条文単位の確認なので、分類の弱点は見つかりますが、120分・60問程度のなかで倫理に割ける時間で同じ精度が出るかは、この10問では分かりません。

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倫理・行動規範は何問出ますか

15問程度です(中小企業庁、2026年10月30日公表)。全60問程度の内訳は、M&A実務22問程度、財務・税務13問程度、法務10問程度、倫理・行動規範15問程度です。倫理・行動規範はM&A実務に次いで出題数が多い科目です。

倫理・行動規範の出題範囲はどこを読めばよいですか

中小企業庁が公表した令和8年度中小企業M&A実務能力・倫理検定試験 出題科目詳細に、使命、仲介者・FAの選定等、善管注意義務・職業倫理、広告・営業、品位、情報管理の6つの分類が示されています。各分類の中身は、中小企業庁のスキルマップの倫理・行動規範に条番号付きで書かれています。公式テキストは2026年11月4日時点で公表されていません。

倫理・行動規範に違反すると罰則がありますか

スキルマップの倫理・行動規範は、強制力を持つ規程としてではなく、M&A専門人材が満たすべき要素を抽出したものと位置づけられています(中小企業庁)。罰則を定めた規定ではありません。試験では、この規範の内容が倫理・行動規範15問程度の素材になります。

今から何を準備すればいいですか

この10問を解いて、落とした問題の分類名を書き出すことから始めてください。6つの分類は出題科目詳細の区切りと同じなので、分類単位の弱点が出題範囲上の弱点に対応します。そのうえで本番配分(60問程度・120分)の無料模試で同じ分類を踏み直すと、倫理の取りこぼしが総得点に与える影響が数字で確認できます。