この記事の目次(8項目)
禁忌肢の扱い(現状案)——分かっていること・公表されていないこと
中小企業庁の検討会第4回資料2は、倫理・行動規範に著しく反するような支援者を排除する目的で、それを正しいと理解することに大いに問題がある誤答肢について禁忌肢を設定する方針を示しています(現状案)。禁忌肢とする行為は、中小M&Aガイドラインに明らかに違反するような行為や、トラブルに繋がる確度が相当に高い行為です。
合格基準の現状案は、総得点70〜80%程度、科目別の合格最低基準50%程度、倫理・行動規範の禁忌肢の3層です。禁忌肢を置く設問数、不合格となる誤答数、禁忌肢を選んだときの得点上の扱いは、2026年10月10日時点で公表されていません。
練習問題の作り方と解き方(当サイト案)
8問は、「最も不適切な行為」を1つ選ぶ四肢択一の確認問題(当サイト作成)です。4肢のうち3肢は、中小M&Aガイドラインや当サイトの既存記事(根拠欄では「記事」と略記)で支援者に求められている行為で、1肢がガイドラインの禁止行為か、検討会第4回資料2が記載したトラブル事例に当たる行為です。選んだ肢がなぜ危ないかを1文で言ってから答えを見てください(当サイト案)。
練習問題 問1〜問4:依頼者への説明と契約
問1:FAのXは、譲り渡し側A社と契約している。Xは、候補の譲り受け側B社が過去の案件で最終契約の譲渡対価を支払わなかったという情報を得た。Xの最も不適切な行為はどれか。
- アB社に関する情報を確認する。
- イ確認した結果をA社の社長に報告する。
- ウ成約が遠のくことを避けるため、A社の社長には伝えずに手続を進める。
- エ最終契約の前に、契約後やクロージング後にトラブルとなり得るリスクをA社に説明する。
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答え:ウ
ウは、不利益な事実を把握しながら成約を優先して依頼者に説明しない行為です。ア・イ・エは、情報の確認、依頼者への報告、最終契約前のリスク説明です。(根拠: 記事「倫理・行動規範」の行動指針⑤/ガイドライン掲載ページの第3版改訂の記述(不適切な譲り受け側の排除))
問2:仲介者Yは、譲り渡し側C社と譲り受け側D社の双方と仲介契約を結んでいる。Yの最も不適切な行為はどれか。
- ア双方と契約する立場であることを両社に明示する。
- イD社からも手数料を受け取ることを、C社に伝えないまま進める。
- ウ双方から手数料を受ける旨と算定方法を明らかにする。
- エ一方の当事者にだけ肩入れした助言をしない。
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答え:イ
イは、双方から手数料を受ける構造を依頼者に隠す行為です。ア・ウ・エは、利益相反の管理として求められる行為です。(根拠: 記事「倫理・行動規範」の行動指針①/ガイドライン掲載ページの第3版改訂の記述(利益相反事項の具体化))
問3:仲介者Zは、譲り渡しを検討するE社と仲介契約を結ぼうとしている。Zの最も不適切な行為はどれか。
- ア契約の前に、書面を交付して重要事項を説明する。
- イ業務の内容・質と、相手方の手数料を含む手数料の額を説明する。
- ウ依頼者が他の支援機関に意見を求めることを不当に妨げない契約内容にする。
- エ重要事項説明をしないまま、専任条項と中途解約違約金条項のある契約を結ぶ。
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答え:エ
エは、検討会第4回資料2がトラブル事例として記載した型です。ア・イ・ウは、書面での重要事項説明、手数料の説明、専任条項の適正化です。(根拠: 検討会第4回資料2のトラブル事例/記事「第3版の要点」の観点①/記事「倫理・行動規範」の行動指針④)
問4:FAのVは、G社とFA契約を結んでいる。この契約に専任条項はない。Vの最も不適切な行為はどれか。
- アG社が別の支援機関を選んで成約した後、テール条項を根拠に手数料を請求する。
- イ契約の前に、テール条項の期間と対象となる譲り受け側の範囲を書面で説明する。
- ウテール条項の対象となる譲り受け側の範囲を限定して定める。
- エG社が他の支援機関に意見を求めることを妨げない。
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答え:ア
アは、専任条項がないのに選ばれなかった支援機関がテール条項に基づき請求した事例として、検討会第4回資料2が記載した型です。イ・ウ・エは条項の説明と適正化です。(根拠: 検討会第4回資料2のトラブル事例/記事「倫理・行動規範」の行動指針④/初版のポイント)
練習問題 問5〜問8:営業・情報・最終契約
問5:仲介業者Wの営業担当者の最も不適切な行為はどれか。
- ア広告に、虚偽や誤解を与える表現を使わない。
- イ業務の内容・質と手数料の額を説明する。
- ウ社長に取り次ぐよう電話口の担当者に執拗に迫り、最後は一方的に通話を切る。
- エ契約の前に、書面を交付して重要事項を説明する。
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答え:ウ
ウは、検討会第4回資料2が営業のトラブル事例として記載した行為で、第3版は営業・広告の規律を明記しています。(根拠: 検討会第4回資料2のトラブル事例/ガイドライン掲載ページの第3版改訂の記述/記事「第3版の要点」の観点②)
問6:仲介者Uは、H社の譲渡検討に関する情報を扱っている。Uの最も不適切な行為はどれか。
- ア知り得た情報を目的外に使わず、第三者に漏らさない。
- イ情報を開示する範囲とタイミングを管理する。
- ウ業務に関与させた関係者の情報の扱いを指導監督する。
- エ相手方I社から得た情報だという理由で、H社の判断に直結する不利益な情報をH社に伏せる。
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答え:エ
エは、秘密保持の履行とはいえず、善管注意義務に反する行為として問題になります。情報管理には、伝えるべきことを伝える義務もあります。(根拠: 記事「倫理・行動規範」の行動指針②/記事「第3版の要点」(小項目「情報管理」))
問7:FAのTは、譲り渡し側J社の案件を支援している。J社の社長は会社の借入れについて経営者保証をしており、最終契約では保証を譲り受け側に移す想定である。Tの最も不適切な行為はどれか。
- ア最終契約の前に、契約後やクロージング後にトラブルとなり得るリスクをJ社に説明する。
- イ保証が移らないまま残るおそれを把握しながら、成約を急ぐためJ社に説明しない。
- ウ契約条項の法的な検討について、専門家の意見を得るよう伝える。
- エ「最終契約におけるリスク事項についての説明書サンプル」を参考に説明内容を整理する。
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答え:イ
第3版改訂の記述は、経営者保証を移す想定だったのに移さない譲り受け側の存在に触れています。イは、そのリスクを把握しながら説明しない行為です。(根拠: ガイドライン掲載ページの第3版改訂の記述/記事「第3版の要点」の観点③/記事「法務」/ガイドライン掲載ページの参考資料一覧)
問8:FAのSは、譲り受け側K社と契約している。DDの過程で、Sは譲り渡し側について懸念事項を把握した。Sの最も不適切な行為はどれか。
- ア譲渡価額が下がって成約が遅れることを避けるため、把握した事項をK社に伝えずに進める。
- イ専門的な調査結果の判断は、専門家につなぐ。
- ウ把握した事項をK社に正確に伝える。
- エK社が必要に応じて他の支援機関に意見を求められることを伝える。
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答え:ア
DDで支援者に求められるのは、自ら専門的な調査結果を判断することではなく、専門家に適切につなぎ、発見された事項を依頼者に正確に伝えることです。アはこれに反します。(根拠: 記事「M&A実務」のDDの節/記事「倫理・行動規範」の行動指針④)
8問に共通する危ない肢の3つの型(当サイト案)
8問の正解の肢は3つの型に分けられます(当サイト案)。第1は、依頼者に伝えるべき事実を伝えない型です(問1・問2・問6・問7・問8)。第2は、成約や手続の進行、自分の手数料を理由に添えた型です(問1・問4・問7・問8)。第3は、説明や営業の規律を飛ばす型です(問3・問5)。理由ではなく行為そのもので判定します。迷ったら、依頼者の利益に反していないか、依頼者に隠していないか、専門家につなぐべき場面ではないか、を確かめます(当サイト案)。
間違えた問題の復習の順番(当サイト案)
間違えた問題は、選んだ肢がなぜ適切に見えたのかを1文で書き出してから根拠欄の資料を読み直し、ガイドライン第3版の支援機関向けの記述から「してはならない」に当たる箇所を抜き出し、誰のどの利益を守る規範かを添えます(当サイト案)。1週間後に、間違えた問題だけを解き直してください(当サイト案)。
確認問題の限界
本試験は四肢択一(現状案)で、事例を読んで判断する型を含みます。本記事の8問は当サイトが作成した確認問題で、中小企業庁や委託先が作成した問題ではなく、本試験でどの肢が禁忌肢になるかを示すものでもありません。中小企業庁が公表した問題は正式なサンプル問題4問と参考の禁忌肢問題1問だけで、過去問は存在しません。
禁忌肢を1つ選ぶと、その時点で不合格ですか?
2026年10月10日時点では公表されていません。禁忌肢を設定した設問を複数設け、その一定数の誤答で不合格とする設計が想定されていますが、設問数と閾値は示されていません。
受験中に、禁忌肢を含む設問だと分かりますか?
禁忌肢を含む設問であることが受験者に示されるかどうかは、2026年10月10日時点で公表されていません。
当サイトの60問模試で禁忌肢の判定は出ますか?
60問模試の終了後に表示されるのは、総合と科目別の正答率、科目別の最低基準50%を下回る科目で、禁忌肢の判定は表示項目に含まれていません。
次の一歩:無料会員登録をして、本番想定60問模試で倫理・行動規範の正答率を測る
今日やることは、無料会員登録(約1分)をして、120分を確保できる日に本番想定60問模試の1回目を受けることです。倫理・行動規範には科目別50%の基準もあり、60問模試は公表された出題割合の現状案を当サイトが60問に配分した算出値どおり倫理・行動規範を15問出すため、本番に近い問題数で測れます。無料会員の結果はマイページに保存され、次回の結果と比べて弱点の変化を確認できます。