中小M&A資格の公式テキストは2026年9月2日時点で公表されていない
中小M&A資格試験の公式テキストは、2026年9月2日時点で公表されていません。公式講座も同様に公表されていません。試験は中小企業庁が運営主体となり、実施を民間団体へ毎期公募で委託する設計で、2026年5月1日に中小企業庁が株式会社銀行研修社を委託先として採択したことを公表しています。委託先が決まった段階であり、教材の刊行や配布については公表がありません。試験日・受験料・申込方法・受験資格も2026年9月2日時点で未公表です。したがって教材は、中小企業庁が公開している一次資料から組み立てることになります。本記事は、その一次資料4本が4科目のどこに対応するかを示す教材マップで、独学の可否は別記事に譲り、「何を、どの順に読むか」だけを扱います。
今の教材は一次資料4本——検討会資料2・出題範囲一覧・ガイドライン第3版・登録制度サイト
現時点で教材として機能する一次資料は4本です。1本目は、検討会第4回の資料2「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」で、4科目の構成、出題割合の現状案、試験形式の現状案(設問60問程度・試験時間120分・CBT方式)、合格基準の現状案(総得点70〜80%程度・科目別最低基準50%程度・倫理科目の禁忌肢の3層構造)、サンプル問題4問、登録制度との接続までを1本で示す資料です。2本目は、同じ検討会の資料3「出題範囲一覧」で、科目ごとの小項目と、特に重要度が高く優先的に出題する項目の●印を示しています。3本目は、2024年8月30日に公表された中小M&Aガイドライン第3版で、倫理・行動規範の出題の母体です。4本目は、M&A支援機関登録制度の公式サイトで、登録制度の仕組みと登録支援機関の情報を確認できます。4本とも中小企業庁が公開しており、無料で閲覧できます。
読む順番——設計→範囲→規範→制度の順にする理由
読む順番は、資料2(設計)→資料3(範囲)→ガイドライン第3版(規範)→登録制度サイト(制度)の順が合理的です。この順にする理由は、前の資料が次の資料の読み方を決めるからです。資料2を先に読むと、4科目の出題割合と合格基準の3層構造が分かり、科目別最低基準50%程度という条件から「4科目を均等に読むのではなく、弱い科目を先に埋める」という方針が立ちます。この方針がないまま資料3の小項目一覧を開くと、項目の多さに対して優先度の判断ができません。資料3を読むと、どの小項目に●印が付いているかが分かり、ガイドライン第3版のどの箇所を重点的に読むかが決まります。ガイドライン第3版を先に通読すると、試験で問われる規範と、それ以外の記述の区別がつかないまま読み終えることになります。登録制度サイトを最後に置くのは、合格後の登録講習・氏名データベース公表・定期講習という接続を知る資料であり、試験対策の直接の教材ではないからです。時間の配分は順番とは別で、ガイドライン第3版に最も厚く、資料3は学習中に何度も戻る台帳として使い、資料2と登録制度サイトは短時間の通読で足ります。
教材マップ——4本の資料が4科目のどこに対応するか
教材マップは、科目ごとに対応する一次資料が異なることを示す対応表です。M&A実務(出題割合の現状案35〜40%)は、工程の一覧を資料3の出題範囲一覧で、仲介契約・FA契約や重要事項説明に関わる行動指針をガイドライン第3版で、M&A支援機関登録制度との関係を登録制度サイトで押さえます。倫理・行動規範(25%)は、ガイドライン第3版が出題の母体で、資料3の小項目一覧が論点の索引になります。財務・税務(20〜23%)は、資料3で出題範囲(簿記と財務3表・バリュエーション・財務DD・税務DD・各種税金・役員退職金・株式譲渡スキームの税務)を確認し、資料2のサンプル問題でフリーキャッシュフロー算定の計算問題の型を確認しますが、簿記の基礎そのものを説明する一次資料はありません。法務(17〜18%)は、資料3で会社法・民法・労働法・弁護士法の出題項目を確認し、資料2のサンプル問題で独占業務の境界判定の型を確認しますが、条文を解説する一次資料はありません。つまり、倫理・行動規範とM&A実務は一次資料で本文まで読めるのに対し、財務・税務と法務は一次資料が「範囲の目次」にとどまります。
M&A実務の教材——出題範囲一覧で工程を、ガイドライン第3版で行動指針を押さえる
M&A実務の教材は、資料3の出題範囲一覧を骨格に、ガイドライン第3版と登録制度サイトで肉付けします。出題範囲一覧が示すM&A実務の工程は、事前相談、仲介契約・FA契約、重要事項説明、スキーム、バリュエーション、マッチング、DD、最終契約、クロージング、PMIで、これに市場動向と中小企業政策が加わります。優先出題●の重心は、重要事項説明、最終契約のブロック、仲介とFAの違い、不適切な譲り受け側、PMIにあります。このうち仲介契約・FA契約、重要事項説明、仲介とFAの違い、不適切な譲り受け側は、ガイドライン第3版の行動指針と重なる論点で、倫理・行動規範の学習と同じ箇所を読むことになります。中小企業政策については、M&A支援機関登録制度の公式サイトと登録FA・仲介業者の公表ページで確認します。登録FA・仲介業者は令和8年3月9日時点で3,399件(法人2,606・個人793)が公表されています。工程の実務的な進め方を説明する一次資料はないため、実務経験がない人は、工程の順序を出題範囲一覧の項目名から把握したうえで、市販のM&A入門書で補います。
倫理・行動規範の教材——ガイドライン第3版が出題の母体
倫理・行動規範の教材は、中小M&Aガイドライン第3版です。この科目は4科目のうち唯一、出題の母体となる文書が公表資料で特定されており、一次資料だけで本文まで読める科目です。学習の対象になる論点は、利益相反の管理、秘密保持、直接交渉の制限、専任条項・テール条項の適正化、不適切な譲り受け側の排除、反社会的勢力との関係遮断で、いずれもガイドライン第3版の行動指針として書かれています。倫理・行動規範には禁忌肢が設定される方針で、複数の設問に配置し一定数を選ぶと不合格とする設計が想定されているため、この科目の教材は「読んで理解する」だけでなく「自分の判断が規範と一致しているかを事例で確認する」ところまでが必要です。公表サンプル問題の禁忌肢の例は、反社会的勢力との関係が疑われる情報を依頼者に伝えずに進める行為です。市販書で代替する必要がない科目である一方、原文を読むだけでは判断のずれに気づけない科目でもあり、ガイドラインと演習をセットで使います。
財務・税務と法務の教材——一次資料だけでは足りない領域
財務・税務と法務は、一次資料だけでは教材が足りません。出題範囲一覧が示す財務・税務の項目は、簿記と財務3表、バリュエーション(コストアプローチ・マーケットアプローチ・インカムアプローチの3分類。中小企業のM&Aでは時価純資産法が多い)、財務DD・税務DD、各種税金、役員退職金、株式譲渡スキームの税務です。このうち簿記と財務3表の基礎は、出題範囲一覧に項目名があるだけで、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の読み方を説明する一次資料はありません。計算問題が出るのは4科目のうち財務・税務だけで、公表サンプル問題にはフリーキャッシュフローの算定が含まれています。この算定は簿記と財務3表の理解が前提です。税務についても、個人の株式譲渡が申告分離課税で税率20.315%(所得税15.315%+住民税5%)という数値は公表資料の範囲で確認できますが、役員退職金の税務や株式譲渡スキームの税務の計算の基礎は、一次資料の範囲外です。
法務も同じ構造です。出題範囲一覧が示す法務の項目は、会社法(株式譲渡の承認手続・事業譲渡の株主総会決議など)、民法(契約の基礎)、労働法(労働契約承継法)、弁護士法(独占業務の境界・優先出題)で、最終契約の表明保証・補償・解除・クロージング前提条件は法務とM&A実務の横断領域です。これらは項目名として範囲に示されているだけで、条文の内容や手続の要件を説明する一次資料はありません。株式譲渡の承認手続がどの機関の決議を要するか、事業譲渡のうちどの範囲が株主総会決議を要するかといった要件は、条文そのものか、条文を解説する入門書で確認する必要があります。弁護士法の独占業務の境界は優先出題項目で、公表サンプル問題の型としても示されていますが、何が法律事務にあたるかの線引きは、やはり一次資料の外で学ぶ内容です。財務・税務と法務を合わせた出題割合の現状案は37〜41%で、設問60問程度なら22〜25問がこの領域から出ます。一次資料が目次にとどまる領域が全体の4割近くを占める、という認識で教材を用意します。
市販の入門書で補う考え方——書名ではなく「何が説明されているか」で選ぶ
市販書で補うのは、簿記と財務3表の基礎、会社法の条文の理解、税務の計算の基礎の3領域で、選ぶ基準は書名ではなく「出題範囲一覧の項目が説明されているか」です。当サイトは特定の書籍名を挙げません。簿記の入門書は、貸借対照表と損益計算書の関係、減価償却と現金支出の違い、運転資本(売上債権・棚卸資産・仕入債務)の増減がキャッシュに与える向きが説明されているものを選びます。会社法の入門書は、株式譲渡制限会社における譲渡承認の手続と、事業譲渡に必要な株主総会決議の要件が、条文番号つきで説明されているものを選びます。M&A全般を扱う実務書は、工程の流れを把握するには使えますが、出題範囲は公表資料を母体にしているため、用語の整理や重点の置き方がずれることがあります。一次資料で範囲と規範を確認し、一次資料に説明がない基礎だけを書籍で埋める、という主従の関係を崩さないことが、教材選びで守るべき原則です。
補う量は、現在地によって変わります。簿記の学習経験がある人、税理士・公認会計士の実務に就いている人は、財務・税務の基礎を書籍で補う必要がなく、一次資料で範囲を確認して演習に入れます。逆に、M&A仲介・FA会社の従事者や金融機関の担当者で簿記の学習経験がない人は、財務3表の入門書を1冊、範囲の学習に入る前に読む必要があります。法務についても、会社法の学習経験の有無で補う量が変わります。どの領域を書籍で補うべきかは、科目別の正答率が出ていれば判断できます。科目別最低基準50%程度を下回った科目のうち、財務・税務と法務については、一次資料の不足分を書籍で埋める工程を学習計画に加えます。
公式テキストが公表されたらどう切り替えるか
公式テキストが公表された場合、切り替えの判断は「一次資料と何が違うか」で行います。出題範囲は資料3の小項目一覧として公表済みで、倫理・行動規範の母体はガイドライン第3版と特定されています。公式テキストが刊行されても、この範囲と母体が変わらない限り、一次資料で進めた学習は継続して使えます。切り替えの手順としては、まず公式テキストの目次を資料3の小項目一覧と突き合わせ、一次資料で読んだ箇所と、市販書で補った箇所のそれぞれが、公式テキストのどこに対応するかを確認します。そのうえで、一次資料の外で補っていた領域から順に公式テキストへ置き換えます。公式テキストの刊行時期・価格・入手方法は2026年9月2日時点で公表されておらず、公表された時点で本記事と公表状況ページを更新します。刊行を待つ判断は、いつ終わるか分からない待機を選ぶことになります。
中小M&A資格の公式テキストはいつ発売されますか?
2026年9月2日時点で公表されていません。試験実施の委託先として株式会社銀行研修社が採択されたことは公表されていますが、教材の刊行については公表がありません。公表された時点で本記事と公表状況ページを更新します。
今、何を教材にすればよいですか?
中小企業庁が公開する一次資料4本です。検討会第4回の資料2(試験の設計)、資料3の出題範囲一覧、中小M&Aガイドライン第3版、M&A支援機関登録制度の公式サイトで、いずれも無料で閲覧できます。
一次資料はどの順番で読めばよいですか?
資料2(設計)→資料3(範囲)→ガイドライン第3版(規範)→登録制度サイト(制度)の順です。前の資料が次の資料の読み方を決めるため、この順が合理的です。時間は規範に最も厚く配分します。
一次資料だけで4科目すべてをカバーできますか?
できません。倫理・行動規範とM&A実務は一次資料で本文まで読めますが、財務・税務と法務は一次資料が範囲の目次にとどまります。簿記と財務3表の基礎、会社法の条文の理解、税務の計算の基礎は市販の入門書で補います。
市販のM&A実務書を主教材にしてよいですか?
主教材にはなりません。出題範囲は公表資料を母体にしているため、市販書とは用語の整理や重点の置き方がずれることがあります。一次資料を主、書籍を従に置いてください。
教材を揃える前に、まず何をすればよいですか?
4科目の現在地を測ってください。教材マップは科目ごとに対応する資料が異なるため、弱い科目が分かって初めて、最初に開く資料と、書籍で補う領域が決まります。当サイトの無料診断は20問で4科目の正答率を出せます。
次の一歩:20問の診断で4科目の正答率を出し、最初に開く資料を決める
今日やることは、20問の無料診断を受けて、4科目それぞれの正答率を出すことです。教材マップは科目ごとに対応する一次資料が異なり、財務・税務と法務は市販書で補う量も現在地で変わるため、正答率が出て初めて「最初に開く1本」と「書籍で補う領域」が決まります。無料登録すると診断・模試の結果がマイページに保存され、一次資料を読み終えたあとの再診断で、教材の切り替えが正答率に反映されたかを比較できます。