この記事の目次(8項目)
要点(公表資料より)
中小M&A資格試験の出題範囲一覧では、法務科目の「秘密保持に関する法律知識」に●が付いている(中小企業庁・検討会第4回 資料3、2026年10月19日時点)。●は優先出題項目を示す印である。
同じ出題範囲一覧では、法務科目の「アドバイザリー(仲介・FA)契約に関する法律知識」にも●が付いている(同資料、2026年10月19日時点)。仲介契約・FA契約は、中小M&Aの工程のうち支援機関と依頼者の間で最初に結ばれる契約である。
「専任条項の留意点」と「テール条項の留意点」は、出題範囲一覧では倫理・行動規範科目に置かれており、●は付いていない(同資料、2026年10月19日時点)。条項の名前は同じでも、契約の法律知識は法務、条項運用の留意点は倫理・行動規範、という分かれ方をしている。
本ページの確認問題10問は当サイトが作成したものであり、中小企業庁および試験の実施団体が公表した問題ではない。公表されているサンプル問題は別ページで扱っている。
出題範囲一覧の中項目名は、当サイトがPDFから取得するたびに表記が一致しなかった。そのため本ページでは中項目名を記載せず、科目名・小項目名・●の有無という、3回の取得で一致した部分だけを根拠にしている。
10問の根拠にした3つの一次資料
1つめは中小M&Aガイドラインの参考資料6「仲介契約・FA契約締結時のチェックリスト」である。契約の締結、業務範囲・内容、手数料の体系、秘密保持、専任条項、直接交渉の制限に関する条項、テール条項、責任(免責)に関する事項の各欄に、依頼者が契約前に確認すべき問いが並んでいる(中小企業庁)。
2つめは参考資料11「M&A仲介契約/FA契約 重要事項説明書サンプル」である。仲介契約とFA契約の違い、業務の範囲・内容、依頼者が支払う手数料とその支払の条件・時期・方法、秘密保持に関する事項、専任条項に関する事項、直接交渉の制限に関する事項、テール条項、責任(免責)に関する事項が、説明書の項目として置かれている(中小企業庁)。
3つめは中小M&Aガイドライン第3版に関するQ&Aである。重要事項説明をいつ・誰に・どの様式で行うか、テール期間の目安、テール条項の対象範囲が、文章で示されている(中小企業庁)。
この3つを並べると関係が見えてくる。参考資料6の「確認すべき問い」が、参考資料11で「説明書の項目」として様式化され、実務上どこで線を引くかがQ&Aで補われている。試験で問われるのは条項の名前ではなく、この線引きである。以下の10問は、その線引きを1問ずつ取り出したものである。
確認問題1〜5(当サイト作成):仲介契約・FA契約の条項
各問は四肢択一または○×で、直後の段落に答えと解説を置いている。先に答えを見ずに、根拠となる一次資料の名前まで言えるかを確かめてほしい。
問1:中小M&Aガイドライン第3版のQ&Aが示すテール期間の目安はどれか。 ア 1年以内 イ 最長でも2年〜3年以内 ウ 5年以内 エ 期間の目安は示されていない
答え:イ。Q&Aは「テール期間は最長でも2〜3年以内を目安としてください」としている(2026年10月19日時点)。参考資料6のチェックリストも、テール条項の欄で「その期間は2年〜3年以内か」を確認事項として置いている。年数の上限を法令が定めているのではなく、ガイドラインが目安として示した数値である。
問2:テール条項の対象となる譲り受け側の範囲について、Q&Aの考え方に最も近いものはどれか。 ア ロングリストに載った候補先すべて イ ノンネームシートを受領した候補先すべて ウ ネームクリアが行われ、譲り渡し側に紹介された譲り受け側 エ 接触の有無を問わず契約期間中の全候補先
答え:ウ。Q&Aは、テール条項の対象を当該M&A専門業者が関与・接触した譲り受け側とし、ロングリスト・ショートリスト・ノンネームシートの受領にとどまる相手には及ばないとしている。そのうえで「少なくともネームクリアが行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定すべき」と示している(2026年10月19日時点)。参考資料6も同じ限定を確認事項に置いている。
問3:参考資料6が専任条項の欄で確認を求めている事項はどれか。 ア 手数料の最低額 イ 士業等専門家等にセカンド・オピニオンを求めることが可能か ウ 譲渡額の算定方法 エ クロージングの時期
答え:イ。参考資料6は専任条項の欄で、並行して他の仲介者・FAへの依頼を行うことを禁止する条項が設けられているかを問い、あわせて「士業等専門家等にセカンド・オピニオンを求めることは可能か」を確認事項として置いている(2026年10月19日時点)。専任条項の有無そのものではなく、専任でも外部の意見を取れるかが確認の対象になっている。
問4:参考資料6は、手数料の体系の欄で、最低手数料が設けられているかを確認するよう求めている。○か×か。
答え:○。参考資料6は手数料の体系の欄で、手数料をどのような基準で算定し、どのタイミングで支払う必要があるのかを問い、さらに「最低手数料は設けられているのか」を置いている(2026年10月19日時点)。算定基準・支払時期・最低手数料の3点が同じ欄にまとまっている。
問5:参考資料6が責任(免責)に関する事項の欄で確認を求めているのはどれか。 ア 仲介者・FAの資本金 イ 損害賠償責任の要件や賠償すべき損害の範囲等を修正する条項が設けられているか ウ 担当者の役職 エ 消費税の取扱い
答え:イ。参考資料6は、仲介者・FAが依頼者に損害を生じさせた場合の法律上の責任について、その要件や賠償すべき損害の範囲等を修正する条項が設けられているかを問い、損害が生じたときに適切に責任を問える内容になっているかを確認させている(2026年10月19日時点)。免責条項は「あるか・ないか」ではなく「どこを修正しているか」で読む。
確認問題6〜10(当サイト作成):秘密保持と重要事項説明
後半は、法務科目で●が付いている「秘密保持に関する法律知識」と、契約締結前の重要事項説明にかかわる5問である。
問6:重要事項説明はどの時点で行う必要があるか。 ア 契約締結後ただちに イ 仲介契約・FA契約等の締結前 ウ 基本合意の締結前 エ クロージングの前
答え:イ。Q&Aは「M&A仲介契約・FA契約等の締結前に説明していただく必要があります」としている(2026年10月19日時点)。中小M&Aガイドラインは、契約締結前に契約に係る重要な事項を記載した書面を交付して明確に説明することを求めており、書面は電磁的方法による提供も認められている。
問7:重要事項説明は誰に対して行う必要があるか。 ア 譲り受け側の担当者 イ 契約を締結する権限を有する者 ウ 依頼者の顧問税理士 エ 依頼者の従業員代表
答え:イ。Q&Aは「説明は、契約を締結する権限を有する者に対し行う必要があります」としている(2026年10月19日時点)。法人であれば代表者、または契約締結を委任された者がこれに当たる。説明する側については、依頼者から質問や意見を受けた場合に適切に対応できる十分な経験・能力を有する者が行うことが望ましいとされている。
問8:重要事項説明書は、中小企業庁が示すサンプルの様式を使わなければならない。○か×か。
答え:×。Q&Aは「説明すべき重要な事項が適切に記載されたものであれば書面の様式は問いません」としている(2026年10月19日時点)。署名欄やチェックボックスを設けることも認められており、その趣旨は依頼者に対して説明を実施したことを書面上明らかにすることにある。様式の自由と記載事項の必要性は別の論点である。
問9:参考資料11の重要事項説明書サンプルに、項目として置かれているものはどれか。 ア 譲渡額の算定結果 イ 専任条項に関する事項 ウ 譲り受け側の社名 エ 財務デューデリジェンスの結果
答え:イ。参考資料11には、仲介契約とFA契約の違い、業務の範囲・内容、担当者の保有資格や経験年数、依頼者が支払う手数料とその支払条件、秘密保持に関する事項、専任条項に関する事項、テール条項、責任(免責)に関する事項などが項目として並んでいる(2026年10月19日時点)。個別案件の算定結果や相手方の社名は、説明書の項目ではない。
問10:参考資料6が秘密保持の欄で確認を求めている事項として、公表資料に記載があるのはどれか。 ア 特定の者への情報の共有は許されているか イ 秘密保持契約の準拠法はどこか ウ 秘密情報の保管場所はどこか エ 違約金の額はいくらか
答え:ア。参考資料6は秘密保持の欄で「秘密保持条項は設けられているか」を問い、誰がどの情報について秘密を守る義務を負うのかを確認させたうえで、「特定の者への情報の共有は許されているか」を置いている(2026年10月19日時点)。秘密保持は禁止の強さではなく、例外として共有が認められる範囲で読む項目になっている。
間違えた問題を、期間と範囲の線引きに戻して読む
期間の線引きで落とした場合は、テール期間の目安(最長でも2年〜3年以内)と、専任条項がいつまで有効かという確認事項を並べて覚え直す。参考資料6は契約期間と中途解約の有無を問う欄の直後に専任条項の有効期間を置いており、期間はつねに契約期間との対応で読む構造になっている。
範囲の線引きで落とした場合は、テール条項の対象(ネームクリアが行われ紹介された譲り受け側)と、秘密保持の例外(特定の者への情報の共有)を対にして読む。どちらも「全部か、ゼロか」ではなく、どこまでを対象とするかを問う項目である。問2と問10で同じ読み方を要求している。
正答数別の次の手(当サイト案)
8問以上正答できた場合は、条項の名前と確認事項の対応はついている。次に確かめるのは、同じ論点が別の問い方で出たときに同じ精度で選べるかである。本ページは論点ごとに1問しか置いていないため、ここは本番形式の通し演習でしか測れない。
5問から7問の場合は、間違えた問題がどの一次資料に戻るかを書き出すところから始める。参考資料6に戻る問題(問3・問4・問5・問10)、Q&Aに戻る問題(問1・問2・問6・問7・問8)、参考資料11に戻る問題(問9)の3群に分かれる。4問以下の場合は、10問を解き直す前に参考資料6のチェックリストの各欄を見出しだけ追い、どの欄に何を確認する問いが置かれているかを先に把握するほうが早い。
この10問の限界
本ページの10問は当サイトが一次資料の文言から作成したもので、実際の出題形式・配点・問題数を再現したものではない。試験日・受験料・受験申込方法・受験資格・公式テキストは、2026年10月19日時点でいずれも公表されていない。出題範囲一覧の●は優先出題項目を示す印であり、●が付いた項目から何問出るかは公表されていない。
次の一歩:理由を言えなかった問題に印を付け、無料模試の法務パートで同じ迷いが出るか確かめる
今日できる行動は1つである。この10問のうち「答えは選べたが、理由を一次資料の文言で言えなかった」問題に印を付け、その問題が参考資料6・参考資料11・Q&Aのどれに戻るかを1行書き添えてほしい。上の正答数別の3群がそのまま対応表になる。
理由を言えない論点は、選択肢の並びが変わると選べなくなる。本ページは論点ごとに1問しか置いていないため、同じ論点が別の問い方で出たときに同じ迷いが起きるかは、本番形式の通し演習でなければ確かめられない。無料会員に登録すると診断・模試の結果が保存され、次回以降の学習に使える。
テール条項の期間は何年までなら問題ないのですか?
中小M&Aガイドライン第3版のQ&Aは、テール期間の目安を「最長でも2〜3年以内」としています(2026年10月19日時点)。年数の上限を法令が定めているのではなく、ガイドラインが目安として示した数値です。参考資料6のチェックリストも「その期間は2年〜3年以内か」を確認事項として置いています。
専任条項は出題範囲のどの科目にありますか?
「専任条項の留意点」は、出題範囲一覧では倫理・行動規範科目に置かれており、●は付いていません(2026年10月19日時点)。一方、法務科目には「アドバイザリー(仲介・FA)契約に関する法律知識」が●付きで置かれています。契約の法律知識は法務、条項運用の留意点は倫理・行動規範、という分かれ方です。
今から何を準備すればいいですか?
契約条項については、参考資料6のチェックリストの各欄を「依頼者が契約前に何を確認するのか」の形で言えるようにしておくところから始めてください。試験日・受験料・受験申込方法は2026年10月19日時点で公表されていないため、公表を待たずに進められるのは、この種の一次資料の読み込みと演習です。本ページの10問を解いたうえで、無料の模試で法務パートの通し演習に進むと、論点ごとの取りこぼしが点数の形で見えます。