この記事の目次(6項目)
手数料は「倫理・行動規範」の出題項目として示されている
中小M&A資格試験(仮称)の出題範囲一覧で、手数料に触れた項目は「仲介契約・FA契約の締結(手数料・提供する業務内容の説明、相手方の手数料の開示)」です。中小企業庁が検討会第4回(2026年3月17日)で示した資料3では、この項目は大項目「倫理・行動規範」の「各工程の具体的な行動指針」の中に置かれています。
倫理・行動規範の出題割合は25%程度という現状案です。中小企業庁の検討会第4回資料2は、設問数を60問程度とし、倫理・行動規範を60問換算で15問程度と示しています。科目別の合格最低基準は50%程度、総得点の合格基準は得点率70〜80%程度が、いずれも現状案として示されています。
この配置は学習の優先順位を変えます。手数料を財務・税務の計算論点として覚えるのではなく、「誰に、何を、いつ説明するか」という行動規範の論点として整理するほうが、示された出題範囲に沿います。
倫理・行動規範には禁忌肢の設定が検討されています。検討会第4回資料2は、禁忌肢を設定した設問を複数設け、そのうち一定数を誤答した場合に不合格とする設計を想定していると示しています。禁忌肢の対象は、中小M&Aガイドラインに明らかに違反する行為や、トラブルにつながる確度が相当に高い行為です。手数料の説明を省く、相手方の手数料を伝えない、といった選択肢は、この基準に照らして扱う必要があります。
試験日・受験料・申込方法は、2026年10月25日時点で公表されていません。試験の正式名称と公式テキストも、2026年10月25日時点で公表されていません。
一次資料で確認できる手数料の論点は4つ
中小M&Aガイドラインは、仲介者・FAの手数料はレーマン方式によるものが多いと示しています。一次資料で確認できる論点は、次の4点に整理できます。
第一は、レーマン方式の「基準となる価額」です。中小M&Aガイドラインは、基準となる価額には様々な考え方があり、採用する考え方によって報酬額が大きく変動し得るため、考え方や金額の目安、報酬額の目安を確認することが重要だと示しています。
第二は、最低手数料です。中小M&Aガイドラインは、最低手数料を設定する仲介者・FAが多いことを示し、第2版ではレーマン方式と最低手数料を併記して、最低手数料の分布や適用事例を紹介しています。
第三は、業務内容・質と対価の対応です。中小M&Aガイドライン第3版は、業務内容・質と対価となる手数料の額について中小企業が確認すべき事項を解説し、仲介者・FAに求められる説明を追記しています。この手数料の額には、相手方の手数料が含まれます。
第四は、公表と比較です。中小M&Aガイドラインは、M&A支援機関登録制度のデータベースで、最低手数料の水準や報酬基準額の種類で検索できることを示しています。手数料は当事者間の交渉材料であると同時に、制度として比較できる情報になっています。
確認問題(6問)
以下は当サイトが一次資料から作成した確認問題です。公表されたサンプル問題ではありません。公表されている正式なサンプル問題は4問で、M&A実務・財務・税務・法務・倫理・行動規範の各1問、いずれも四肢択一です。参考として禁忌肢のサンプル問題1問(倫理・行動規範)が別に示されています。
設問1 仲介契約・FA契約の締結にあたり、出題範囲一覧が「説明」または「開示」の対象として挙げているものを3つ答えてください。
設問2 レーマン方式で報酬額を提示された譲り渡し側から「料率表は同じなのに、他社の見積額と差が大きい」と相談されました。最初に確認すべき事項を1つ答えてください。
設問3 譲渡額が小さい案件で、レーマン方式の計算結果よりも請求額が大きくなることがあります。その理由として一次資料が示している仕組みを答えてください。
設問4 仲介者が譲り渡し側と譲り受け側の双方から手数料を受け取る場合に、出題範囲一覧が開示の対象として明記しているのはどちらの手数料ですか。
設問5 依頼者から「手数料は契約書に書いてあるので、口頭での説明は不要」と言われました。この場面で中小M&Aガイドライン第3版が仲介者・FAに求めていることを答えてください。
設問6 手数料の水準を他社と比べたい依頼者に対して、公的な仕組みとして案内できるものを答えてください。
解答と、間違えやすい点
設問1の解答は「手数料」「提供する業務内容」「相手方の手数料」です。出題範囲一覧の項目名そのものが答えになっています。手数料だけを答えて業務内容の説明を落とす誤りが起きやすい箇所です。説明の対象は金額と業務の両方です。
設問2の解答は「レーマン方式の基準となる価額の考え方」です。中小M&Aガイドラインは、基準となる価額には様々な考え方があり、採用する考え方によって報酬額が大きく変動し得ると示しています。料率表が同じでも基準が違えば金額は変わります。料率の交渉から入ると、この差の原因に届きません。
設問3の解答は「最低手数料」です。中小M&Aガイドラインは、最低手数料を設定する仲介者・FAが多いことを示しています。レーマン方式の計算だけで請求額を説明しようとすると、小規模な案件でつじつまが合わなくなります。
設問4の解答は「相手方の手数料」です。自社が受け取る手数料に加えて、相手方から受け取る手数料も開示の対象になります。出題範囲一覧は項目名に「相手方の手数料の開示」を明記しています。自社の手数料だけを答える誤りが起きやすい設問です。
設問5の解答は「業務内容・質と対価となる手数料の額について、仲介者・FAの側から説明すること」です。中小M&Aガイドライン第3版は、中小企業が確認すべき事項を解説するとともに、仲介者・FAに求められる説明を追記しています。契約書への記載があることは、説明を省く理由になりません。説明を省く選択肢は、禁忌肢の考え方に照らして慎重に扱う必要があります。
設問6の解答は「M&A支援機関登録制度のデータベース」です。中小M&Aガイドラインは、このデータベースで最低手数料の水準や報酬基準額の種類で検索できることを示しています。相場の数字を一般論で語るのではなく、公的な検索の仕組みを案内できるかどうかが、この設問の分かれ目です。
この分野で避けたい3つの誤り
第一の誤りは、手数料を財務・税務の計算問題として準備することです。出題範囲一覧で手数料に触れた項目は、倫理・行動規範の行動指針の中にあります。レーマン方式の計算練習よりも、説明と開示の順序を言葉で説明できるようにするほうが、示された出題範囲に沿います。
第二の誤りは、相場の数字を覚えることです。一次資料は、料率表や相場額を試験の学習対象として示していません。中小M&Aガイドラインが重要だと示しているのは、基準となる価額の考え方と、金額の目安の確認です。
第三の誤りは、未公表の情報を前提に学習計画を立てることです。試験日・受験料・申込方法は2026年10月25日時点で公表されていません。公表を待つ期間にできるのは、公表済みの出題範囲一覧と中小M&Aガイドラインの読み込みです。
次の一歩:設問2と設問4の根拠を、倫理・行動規範の設問で確かめる
今日やることを1つに絞るなら、設問2(レーマン方式の基準となる価額)と設問4(相手方の手数料の開示)の根拠を声に出して言えるか確かめ、言えなかった側を無料模試の倫理・行動規範の設問で確認してください。この2問は、出題範囲一覧が項目名に明記している「説明」と「開示」の両輪にあたり、どちらも手数料の金額ではなく手続きを問う形になっています。
倫理・行動規範には禁忌肢の設定が検討されており、科目別の合格最低基準も現状案として示されています。説明や開示を省く選択肢を自分が選んでしまうかどうかは、点数を上げる前に確かめておく価値があります。無料登録すると診断・模試の結果が保存され、次回以降の学習に使えます。
手数料は財務・税務の科目で出題されますか。
出題範囲一覧で手数料に触れた項目は、「倫理・行動規範」の「各工程の具体的な行動指針」にある「仲介契約・FA契約の締結(手数料・提供する業務内容の説明、相手方の手数料の開示)」です。中小企業庁の検討会第4回(2026年3月17日)資料3に示されています。財務・税務の科目に手数料の項目は示されていません。
レーマン方式の料率表は覚える必要がありますか。
一次資料は、料率表を試験の学習対象として示していません。中小M&Aガイドラインが重要だと示しているのは、レーマン方式の基準となる価額の考え方、金額の目安、報酬額の目安を確認することです。料率表の暗記より、基準となる価額の違いで報酬額が変わる仕組みを説明できることが先です。
相手方の手数料まで開示する必要があるのですか。
出題範囲一覧は、項目名に「相手方の手数料の開示」を明記しています。仲介者が双方から手数料を受け取る場合、自社の手数料だけでなく相手方の手数料も開示の対象として示されています。中小M&Aガイドライン第3版も、業務内容・質と対価となる手数料の額について仲介者・FAに求められる説明を追記しています。
手数料の分野は、今から何を準備すればいいですか。
まず出題範囲一覧の該当項目と、中小M&Aガイドラインの手数料に関する記載を読んでください。次に、説明と開示の順序を自分の言葉で言えるかを倫理・行動規範の設問で確認します。試験日・受験料・申込方法は2026年10月25日時点で公表されていないため、公表済みの範囲を読み込む期間として使えます。