この記事の目次(9項目)
秘密保持契約から意向表明までは、2つの科目に分かれて置かれている
出題範囲一覧(検討会第4回 資料3)は、秘密保持契約から意向表明までの工程を、M&A実務と法務の2科目に分けて記載しています。M&A実務には「秘密保持契約」「マッチング」「候補先へのアプローチ」「企業概要書の作成・確認」「初回トップ面談の実施」「トップ面談の実施」「意向表明/基本合意」の中項目が置かれています。法務には「秘密保持契約」と「意向表明/基本合意」の中項目が置かれています。同じ工程名が2科目に現れるため、工程の順番を覚えただけでは、どちらの科目の設問かを判別できません。
M&A実務側は、支援者が何をするかという行為で書かれています。法務側は、同じ場面で必要になる法律知識として書かれています。この書き分けは、資料3の表の列の違いとして確認できます。学習では、1つの工程につきM&A実務の行為と法務の知識を対にして押さえる形が、表の構造に合います。
この工程で●(優先出題項目)が付くのは2項目である
資料3でこの工程に●が付いているのは、M&A実務の「企業概要書(IM)の作成」と、法務の「秘密保持に関する法律知識」の2項目です。中小企業庁が2026年10月27日時点で公表している資料3には、この工程の他の項目に●は付いていません。●は優先して出題する項目を示す印として表に置かれており、●の有無は現状案です。
●が2項目に集まっているという事実は、学習の重心を決める材料になります。M&A実務の出題割合は35〜40%、法務は17〜18%で、いずれも検討会資料2が示した現状案です。工程全体を均等に学ぶのではなく、企業概要書の作成と秘密保持の法律知識を先に固め、残りは工程の位置づけを説明できる水準に留める組み立てが、●の配置と整合します。
秘密保持契約は、出題範囲一覧で3つの小項目に分かれている
M&A実務の「秘密保持契約」には、「秘密保持契約書の作成(依頼者・支援機関間)」「秘密保持契約書の作成(譲り渡し側・譲り受け側間)」「秘密保持契約の締結」の3つの小項目が置かれています。締結の小項目には、双方押印と差し入れ型という契約締結方法が併記されています。作成が2つに分かれているのは、秘密保持契約が締結される場面が中小M&Aの工程上2回あるためです。
1本目は、譲り渡し側と支援機関が業務を始める前に結ぶものです。2本目は、譲り受け側の候補が企業概要書を受け取る前に結ぶものです。資料3はこの2本を別々の小項目として並べているため、「誰と誰の間の秘密保持契約か」を問う設問の形が想定できます。法務側の「秘密保持に関する法律知識」には●が付いており、この工程で●が付く2項目のうちの1つです。
ノンネームシートに●は付かず、企業概要書の作成に●が付く
資料3では、「ノンネームシートの作成・確認」と「ノンネーム・シートの提案(譲り渡し側から提案)」のいずれにも●が付いていません。一方、「企業概要書の作成・確認」の行にある「企業概要書(IM)の作成」には●が付いています。2つの書面はどちらも譲り受け側候補に渡す資料ですが、出題範囲一覧での扱いは同じではありません。
資料3は、ノンネームシートを2つの中項目に分けて置いています。「マッチング」には「ノンネームシートの作成・確認」があり、「候補先へのアプローチ」には「ノンネーム・シートの提案(譲り渡し側から提案)」があります。後者は、提案の主体が譲り渡し側であることを括弧書きで明示しています。作る場面と、候補先に差し出す場面が別の中項目に置かれているため、どちらの場面を問う設問かで答えが変わります。
この差は、2本目の秘密保持契約を挟む位置の違いで説明できます。ノンネームシートは企業名を伏せた資料として、秘密保持契約の締結前に渡されます。企業概要書は企業名を含む詳細な資料として、秘密保持契約の締結後に渡されます。●が企業概要書の側に付いている以上、どちらの書面に何を書けるかの線引きが、この工程の中心的な確認対象になります。
トップ面談の2項目に●は付いていない
資料3には「初回トップ面談の実施」と「トップ面談の実施」の2つが置かれており、どちらにも●は付いていません。初回トップ面談の行には「事前準備」が小項目として併記されています。●が付かない項目であっても出題範囲からは外れないため、工程上どこに入るか、支援者が何を準備するかを説明できる水準までは必要です。トップ面談は、企業概要書の開示と意向表明書の提出の間に位置する工程として、資料3の並び順で示されています。
意向表明書は、M&A実務でも法務でも●が付かない
M&A実務の「意向表明/基本合意」には、「意向表明書の作成・提出」と「意向表明書の確認・比較検討」が置かれ、いずれにも●は付いていません。作成・提出は譲り受け側を支援する立場、確認・比較検討は譲り渡し側を支援する立場として書き分けられています。法務側でも、「意向表明に関する法律知識」に●は付いていません。
同じ中項目の中で●が付くのは、法務の「基本合意に関する法律知識」です。つまり、意向表明から基本合意に進む段階で、出題範囲一覧の重心が意向表明ではなく基本合意に置かれています。意向表明書は、立場によって支援者の役割が入れ替わる項目として押さえ、法的拘束力の論点は基本合意の側で確認する順番が、●の配置と合います。
2科目にまたがる工程は、片方の科目だけを学ぶと取りこぼしが出ます。M&A実務側では、誰がどの書面を作り、誰に渡すかという主体と宛先を押さえます。法務側では、同じ場面で根拠になる法律知識を押さえます。資料3は同じ工程名を両方の科目に並べているため、1つの場面について「支援者の行為」と「必要な法律知識」の2つを言えるかが、この工程を学び終えた目安になります。
契約書サンプルは、ガイドラインの参考資料7にまとめられている
中小M&Aガイドラインのページには、参考資料7として「各種契約書サンプル」が掲載されています。中小企業庁は2026年10月27日時点で、この参考資料7を2025年12月15日時点版として公表しています。同じページには、参考資料6「仲介契約・FA契約締結時のチェックリスト」と、参考資料11「M&A仲介契約/FA契約 重要事項説明書サンプル」も掲載されています。中小M&Aガイドライン第3版は、中小企業庁が2024年8月に策定したものです。
出題範囲一覧が契約書の作成と締結を項目として挙げている以上、条文の並びを原典で確認できるかどうかが、この工程の学習の分かれ目になります。中小M&A資格試験(仮称)の公式テキストは2026年10月27日時点で公表されていないため、条文に当たる手段は参考資料として公表されている書面に限られます。
2026年10月27日時点で公表されていないこと
中小M&A資格試験(仮称)の試験日、受験申込方法、受験料、受験資格、合格率、受験者数、試験の正式名称、公式テキストは、2026年10月27日時点でいずれも公表されていません。出題範囲一覧の●の配置と出題割合は、検討会で示された現状案です。試験を実施する委託先は、中小企業庁が2026年5月1日に株式会社銀行研修社を採択したことを公表しています。
次の一歩:秘密保持契約から意向表明までの順番を、見ずに書き出す
今日やるなら、秘密保持契約(1本目)、ノンネームシート、秘密保持契約(2本目)、企業概要書、トップ面談、意向表明書という並びを、この記事を閉じた状態で紙に書き出してください。そのうえで、●が付く2項目がどこに入るかを書き足し、ずれた箇所だけを無料模試のM&A実務と法務の設問で確かめます。この工程は2科目にまたがって置かれているため、順番を自力で再現できないと、どちらの科目の知識を使う設問かを判別できません。
無料登録をすると、診断と模試の結果が保存され、次に受けたときに同じ工程の設問で改善したかを比べられます。
秘密保持契約は、中小M&Aの工程で何回結びますか。
出題範囲一覧は、秘密保持契約書の作成を「依頼者・支援機関間」と「譲り渡し側・譲り受け側間」の2つの小項目に分けています。1本目は譲り渡し側と支援機関の間、2本目は譲り渡し側と譲り受け側の間のものとして書き分けられています。締結の小項目には、双方押印と差し入れ型という締結方法が併記されています。
ノンネームシートと企業概要書は、出題範囲での扱いが違いますか。
違います。出題範囲一覧では、ノンネームシートの2項目に●が付かず、「企業概要書(IM)の作成」には●が付いています。2つの書面は、2本目の秘密保持契約を挟んで前後に位置します。
意向表明書のサンプルは公表されていますか。
中小企業庁は、中小M&Aガイドラインのページで参考資料7「各種契約書サンプル」を公表しています。意向表明書そのもののサンプルの有無は、参考資料7の中身で確認する必要があります。出題範囲一覧では、意向表明書の2項目にも法務の「意向表明に関する法律知識」にも●は付いていません。
この工程は、どの科目で出題されますか。
M&A実務と法務の2科目です。出題割合は、検討会資料2が示した現状案でM&A実務が35〜40%、法務が17〜18%です。同じ工程名が2科目に現れるため、行為と法律知識を対にして押さえる形が表の構造に合います。
今から何を準備すればいいですか。
秘密保持契約から意向表明までの工程の並びを、資料を見ずに書き出せるようにしてください。そのうえで、●が付く「企業概要書(IM)の作成」と「秘密保持に関する法律知識」の2項目を先に固めます。書き出せなかった箇所を無料模試の該当設問で確かめると、工程の抜けが得点差に直結しているかを数で確認できます。