中小M&A資格試験に過去問はない——2026年9月2日時点で公表されている問題は4問
中小M&A資格試験の過去問は存在しません。試験は2026年9月2日時点で一度も実施されておらず、過去に出題された問題そのものがないためです。中小企業庁が公表している問題例は、検討会第4回の資料2に掲載されたサンプル問題4問だけで、内訳は倫理・行動規範2問、財務・税務1問、法務1問、形式は三肢択一です。試験の実施は民間団体へ毎期公募で委託する設計で、2026年5月1日に中小企業庁が株式会社銀行研修社を委託先として採択したことを公表しています。ただし、委託先の採択と問題の公表は別の事項で、公式の問題集・練習問題は2026年9月2日時点で公表されていません。過去問集を探しても見つからないのは、探し方の問題ではなく、存在しないからです。
過去問が持つ3つの機能——範囲の確認・型の把握・演習量
過去問がない試験の対策は、過去問が果たしていた機能を分解するところから始めます。他の資格試験で受験者が過去問に頼る理由は、1冊で3つの機能を同時に満たすからです。第一に、範囲の確認。何年分かを解けば、どの論点が繰り返し出るかが分かります。第二に、出題の型の把握。設問文がどのような構造で、選択肢がどう作られているかが分かります。第三に、演習量の確保。数百問を解くことで、知識を設問に適用する速度と精度が上がります。中小M&A資格試験ではこの3つを1つの教材で満たすことはできませんが、機能ごとに見れば、いずれも公表資料で代替できます。範囲は出題範囲一覧、型はサンプル問題4問、量は公表資料を根拠に作られた問題と模試、という割り当てです。
機能1「範囲の確認」は出題範囲一覧で代替する
範囲の確認については、過去問より出題範囲一覧のほうが直接的な情報源になります。中小企業庁は検討会第4回の資料3で、M&A実務・倫理・行動規範・財務・税務・法務の4科目について小項目の一覧を公表し、特に重要度が高く優先的に出題する項目に●印を付けています。過去問から頻出論点を逆算する作業は、出題側が優先項目を明示している時点で不要です。出題割合の現状案はM&A実務35〜40%、倫理・行動規範25%、財務・税務20〜23%、法務17〜18%で、科目ごとの重みも公表されています。範囲の絞り方そのものは出題範囲の記事で扱っているため、本記事では、この一覧が演習の設計でどう使われるかに絞ります。使い方は1つで、演習問題を解いたあとに、その問題が一覧のどの小項目に対応するかを確認し、●印の項目に演習が偏りなく当たっているかを点検する台帳として使います。
機能2「型の把握」はサンプル問題4問で代替する
出題の型の把握は、サンプル問題4問で足ります。4問から読み取れる型は、事例型の状況判断、禁忌肢、計算問題(フリーキャッシュフローの算定)、独占業務の境界判定の4つで、いずれも用語の暗記ではなく、示された状況に規範や計算手順を当てはめる力を問う構造です。各型の詳細と対策は別記事で扱っているため繰り返しませんが、演習の設計の観点で重要なのは、4問が「量」ではなく「型の見本」であるという位置づけです。サンプル問題を何度解き直しても、答えを覚えるだけで演習量にはなりません。4問の役割は、これから解く演習問題が同じ型で作られているかどうかを判定する基準を持つことにあります。設問文に状況の記述があり、選択肢が明らかな誤りではなく「もっともらしい対応」で構成されているか。この基準に合わない問題集で量を積んでも、本試験の型に対する練習にはなりません。
機能3「演習量」は公表資料を根拠に作られた問題と模試で代替する
演習量は、公表資料を根拠に独自作成された問題と模試で確保します。過去問が存在しない以上、2026年9月2日時点で入手できる演習問題は、当サイトの模試を含め、すべて公表資料をもとに第三者が作成したものです。本試験の問題を再現したものではなく、難度や配点が本試験と一致する保証もありません。したがって、演習問題に求める条件は「本試験に似ているか」ではなく「根拠が公表資料に遡れるか」になります。具体的には、倫理・行動規範の問題なら中小M&Aガイドライン第3版のどの規範に対応するか、財務・税務の問題なら出題範囲一覧のどの小項目に対応するかが解説に示されていることです。根拠が示されている問題であれば、間違えたときに原文へ戻れます。根拠が示されていない問題は、正解しても不正解でも学習が原文につながらず、量を積んでも範囲の確認に使えません。
演習量の目安——本番1回分の科目別設問数から逆算する
演習量の単位は「本番何回分か」で持ちます。試験形式の現状案は設問60問程度・試験時間120分で、出題割合の現状案を60問に当てはめると、M&A実務21〜24問、倫理・行動規範15問、財務・税務12〜14問、法務10〜11問になります。この科目別設問数を本番1回分とし、演習量を回数で管理するのが当サイトの提案です。学習の初期は、範囲の一巡と並行して本番1回分(60問)を科目ごとに分割して解き、範囲が一巡したあとは、科目別最低基準50%程度を下回った科目に本番2〜3回分を追加で割り当てます。仕上げの段階で、120分を通す本番形式の模試を2回置きます。合計は本番5〜6回分、300〜360問前後が1つの目安になります。この回数は公表資料に根拠がある数値ではなく、合格基準の現状案が総得点70〜80%程度・科目別最低基準50%程度・倫理科目の禁忌肢の3層構造であることから、科目別の底上げに演習を寄せる前提で当サイトが組んだ配分です。
科目ごとに演習量の重心は変わります。財務・税務は4科目で唯一計算問題が出る科目で、フリーキャッシュフローの算定のような手順型の問題は、手を動かして最後まで数値を出さないと符号の取り違えを発見できません。同じ型の計算問題を10問以上続けて解き、手順が固定されるまで反復する対象です。倫理・行動規範は、禁忌肢が複数の設問に配置され一定数を選ぶと不合格とする設計が想定されている科目で、設問数も閾値も未公表です。この科目の演習量は「正答率を上げる」ためではなく「選んではならない肢を1つも選ばない状態を確認する」ために積みます。法務は出題割合が最も小さい一方、弁護士法の独占業務の境界が優先出題項目に含まれるため、範囲は狭く演習は的を絞れます。M&A実務は設問数が最も多く、範囲も事前相談からPMIまで広いため、●印の項目を優先して演習を当て、それ以外は範囲の一巡で済ませます。
演習の組み立て方——「原文→問題→原文」を科目ごとに回す
演習は「原文→問題→原文」の順で1サイクルにします。まず出題範囲一覧の小項目を1つ選び、対応する一次資料の原文を読みます。倫理・行動規範なら中小M&Aガイドライン第3版の該当箇所、試験の設計に関わる項目なら検討会資料2です。次に、その小項目に対応する演習問題を解きます。読んだ直後に解くことが条件で、読んでから日を置くと、原文の記述と設問の状況が頭の中で結びつきません。最後に、正誤にかかわらず原文に戻り、設問の各選択肢がどの記述に照らして正しいか誤りかを確認します。正解した問題でも戻るのは、三肢択一では消去法や勘で正解する場合があり、正解と理解が一致しているかを確かめる必要があるからです。このサイクルを小項目ごとに回し、●印の項目から順に埋めていきます。
サイクルの記録は、出題範囲一覧を台帳にして残します。小項目ごとに、原文を読んだ日、解いた問題数、正答数、間違えた問題の理由(知識がなかった/読み違えた/計算を誤った/規範を取り違えた)を書き込みます。過去問がある試験なら「何年分を何周したか」が進捗の指標になりますが、この試験ではその指標が使えないため、小項目単位の記録が進捗の代わりになります。台帳を見れば、●印の項目のうち演習が当たっていない項目、正答率が低いまま止まっている項目、規範の取り違えが繰り返される項目が一覧できます。演習量を追加で割り当てる先は、この台帳から決めます。感覚で「財務が弱い」と判断するより、小項目単位で「運転資本の増減の符号を3回続けて間違えている」と特定するほうが、次に解く問題の選び方が具体的になります。
過去問がない試験で避けたいこと——他資格の過去問の流用と「本試験再現」教材
避けたいことは2つあります。第一に、他の資格試験の過去問をそのまま流用することです。M&Aに関連する民間資格や、簿記・会社法を扱う他の試験の過去問は、個別の知識の確認には使えますが、中小M&A資格試験の型とは一致しません。倫理・行動規範の出題の母体は中小M&Aガイドライン第3版で、利益相反の管理、秘密保持、直接交渉の制限、専任条項・テール条項の適正化、不適切な譲り受け側の排除、反社会的勢力との関係遮断といった論点は、この試験に固有の規範です。他資格の過去問で量を積んでも、この科目の演習にはなりません。第二に、本試験問題の再現や転載をうたう教材です。試験が実施されていない以上、本試験問題を再現した教材は2026年9月2日時点で存在しえません。当サイトは、公表資料の原文を根拠に独自作成した問題のみを提供し、本試験問題の再現・転載は行いません。
第1回試験のあと、過去問は公表されるか
第1回試験の実施後に問題が公表されるかどうかは、2026年9月2日時点で公表されていません。検討会資料が示しているのは、令和8・9年度の実施が想定されていること、立ち上げ期は年3回程度の一斉実施を想定していることまでで、問題の公開方針には触れていません。試験形式の現状案はCBT方式で、問題を持ち帰れるか、終了後に公開されるかといった運用は、いずれも2026年9月2日時点で公表されていません。公表された時点で本記事と公表状況ページを更新します。したがって、第1回の受験を想定している人は、過去問の公開を待つ前提で計画を立てることができません。公表資料を根拠にした演習で量を確保する方法は、過去問が公表されるまでの間に合わせではなく、第1回の受験者にとって唯一の選択肢です。
中小M&A資格試験の過去問はどこで手に入りますか?
手に入りません。試験は2026年9月2日時点で実施されておらず、過去問は存在しません。公表されている問題例は中小企業庁の検討会資料に掲載されたサンプル問題4問だけです。
サンプル問題4問は過去問の代わりになりますか?
出題の型を把握する用途では代わりになりますが、演習量の代わりにはなりません。4問は繰り返し解いても答えを覚えるだけになるため、量は公表資料を根拠に作られた問題と模試で確保してください。
演習は何問くらい解けばよいですか?
本番5〜6回分、300〜360問前後が当サイトの提案する目安です。試験形式の現状案が設問60問程度であることから逆算した数値で、公表資料に根拠のある必要量ではありません。科目別最低基準50%程度を下回る科目に追加で割り当てます。
他の資格試験の過去問で代用できますか?
代用できません。倫理・行動規範の出題の母体は中小M&Aガイドライン第3版で、この試験に固有の規範が問われます。簿記や会社法の個別知識の確認には使えますが、出題の型の練習にはなりません。
過去問がない今、何から始めればよいですか?
60問の模試を1回通して、科目別の正答率を出してください。過去問がない以上、どの科目に演習量を割くかを決める根拠は、自分の科目別正答率しかありません。当サイトの無料模試は試験形式の現状案と同じ60問構成です。
次の一歩:60問の模試を1回通し、科目別正答率を出す
今日やることは、60問の無料模試を1回通して、4科目それぞれの正答率を出すことです。過去問がない試験では、演習量をどの科目に割くかを決める根拠が自分の科目別正答率しかなく、この数字が出るまで演習の設計は始まりません。無料登録すると診断・模試の結果がマイページに保存され、演習量の配分を見直すたびに前回の科目別正答率と比較できます。