この記事の目次(11項目)
  1. 株式譲渡契約書の条項は、中小企業庁が公表しているサンプルで実物が読める
  2. 公表サンプルは全8章・第1条から第27条で構成されている
  3. 第1章と第2章——価格を決める条文と、双方に置かれた前提条件
  4. 同じ見出しの条文が2回出てくる——第9条と第13条、第10条と第14条
  5. 出題範囲一覧で●が付くのは「最終契約に関する法律知識」
  6. 「補償等」の章はサンプルにあるが、出題範囲一覧の小項目名に「補償」はない
  7. 第6章「解除」には枝番の条文が置かれている
  8. 第8章「一般条項」は10条——サンプルの3分の1以上を占める
  9. 法務は60問中10〜11問相当(現状案)
  10. 2026年10月26日時点で公表されていないこと
  11. 次の一歩:法務の誤答を「条項名」と「時点」に仕分ける

株式譲渡契約書の条項は、中小企業庁が公表しているサンプルで実物が読める

株式譲渡契約書の条項を確かめる出発点は、中小企業庁が中小M&Aガイドラインの参考資料7「各種契約書サンプル」として公表している契約書サンプルです。中小企業庁は2026年10月26日時点で、このサンプルを中小M&Aガイドラインの掲載ページから無料で公開しています。

参考資料7に収められている契約書サンプルは、仲介契約書(M&A仲介業務委託契約書)、秘密保持契約書、基本合意書、株式譲渡契約書、事業譲渡契約書の5種類です。このうち株式譲渡契約書サンプルは、譲り渡し側株主を甲、譲り受け側を乙として書かれています。甲乙のどちらが売り手かを取り違えると、義務を負う側を逆に読むことになります。

中小M&A資格試験(仮称)の出題範囲一覧は、小項目の名称までしか示していません。条項の文言そのものは出題範囲一覧には載っていないため、実物を読む先はこのサンプルになります。

公表サンプルは全8章・第1条から第27条で構成されている

株式譲渡契約書サンプルは全8章に分かれ、条文は第1条から第27条まで並びます。これに加えて、第15条の2と第17条の2が枝番として置かれています。2026年10月26日時点の公表版では、最後の条文は第27条(誠実協議)です。

章と条文の対応は次のとおりです。第1章「本株式の譲渡」に第1条から第4条、第2章「前提条件」に第5条と第6条、第3章「表明及び保証」に第7条と第8条、第4章「クロージング前の取扱い」に第9条と第10条、第5章「クロージング後の取扱い」に第11条から第14条、第6章「解除」に第15条と第15条の2、第7章「補償等」に第16条・第17条・第17条の2、第8章「一般条項」に第18条から第27条が入ります。

この並びは、中小M&Aの工程をそのまま写した順序になっています。価格と譲渡の合意から入り、クロージングの前提条件、表明保証、クロージング前後の取扱い、解除、補償、一般条項へと進みます。工程の順番を覚えている人は、章の並びを別に暗記する必要はありません。

第1章と第2章——価格を決める条文と、双方に置かれた前提条件

第1章「本株式の譲渡」は、第1条(目的)、第2条(本株式の譲渡)、第3条(譲渡価格)、第4条(本株式譲渡の実行)の4条です。譲渡価格は第3条という早い位置に置かれています。価格の算定方法そのものは契約書サンプルではなく、中小M&Aガイドラインの参考資料2「中小M&Aの譲渡額の算定方法」に別資料として公表されています。

第2章「前提条件」は第5条(乙のクロージングの前提条件)と第6条(甲のクロージングの前提条件)の2条で、譲り受け側と譲り渡し側の双方にクロージングの前提条件が置かれています。前提条件を譲り受け側だけのものと覚えていると、第6条の存在を落とします。サンプルでは乙の前提条件が先に、甲の前提条件が後に並びます。

同じ見出しの条文が2回出てくる——第9条と第13条、第10条と第14条

株式譲渡契約書サンプルには、見出しが同一の条文が2組あります。第9条と第13条はいずれも「甲の義務」、第10条と第14条はいずれも「乙の義務」という見出しです。

2組を区別しているのは章です。第9条と第10条は第4章「クロージング前の取扱い」に、第13条と第14条は第5章「クロージング後の取扱い」に置かれています。つまり同じ当事者の義務が、クロージングの前と後で別の条文に分かれています。条文見出しだけを並べて覚えると、この時点の違いが消えます。

第5章には、第11条(役員退職慰労金の支払)と第12条(対象会社の役員)も入ります。役員の処遇がクロージング後の章に置かれていることは、譲渡の実行だけで支援が終わらないことを条文の配置で示しています。

出題範囲一覧で●が付くのは「最終契約に関する法律知識」

中小M&A資格試験(仮称)の出題範囲一覧(検討会第4回 資料3)では、法務の中項目「最終契約」の下に小項目が2つ置かれています。「最終契約に関する法律知識」と「表明保証に関する法律知識」です。

このうち●(優先出題項目)が付いているのは「最終契約に関する法律知識」のみです。「表明保証に関する法律知識」には●が付いていません。同じ中項目の下で●の有無が分かれているため、最終契約を一括りにして同じ重さで準備すると配分を外します。

表明保証については、出題範囲一覧が科目ごとに別の名称で小項目を置いています。法務のほかに、M&A実務と財務・税務にも関連する小項目が置かれており、科目をまたいで問われる論点です。その割り当ては当サイトの別記事で整理しています。

「補償等」の章はサンプルにあるが、出題範囲一覧の小項目名に「補償」はない

株式譲渡契約書サンプルの第7章は「補償等」で、第16条(甲による補償)、第17条(乙による補償)、第17条の2(回復請求)が入ります。契約書の側では、補償は独立した章を与えられている論点です。

一方で、出題範囲一覧には「補償」を名称に含む小項目がありません。契約書サンプルで章になっている論点が、出題範囲一覧では独立した小項目名になっていない、という食い違いがここにあります。

この食い違いの意味は2026年10月26日時点で公表されていません。小項目ごとの出題数も公表されていないため、補償が何問出るかを見積もることはできません。確認できるのは、補償を扱う条文がサンプルに存在し、その上位にある「最終契約に関する法律知識」に●が付いているという事実までです。

第6章「解除」には枝番の条文が置かれている

第6章「解除」は、第15条(本契約の解除)と第15条の2(解除に係る特則及び買戻し条項)の2本で構成されています。第7章の第17条の2(回復請求)と合わせ、サンプルには枝番の条文が2本あります。

解除と補償と回復請求は、いずれも契約を結んだ後に問題が見つかったときの処理を定めた条文です。デューデリジェンスで検出した事項を契約のどこで受けるかという工程につながります。この枝番が公表版のどの時点で加わったかは、当サイトでは確認できていないため書きません。

第8章「一般条項」は10条——サンプルの3分の1以上を占める

第8章「一般条項」には第18条から第27条までの10条が入ります。内訳は、第18条(秘密保持義務)、第19条(第三者への公表日)、第20条(公租公課及び費用)、第21条(通知等)、第22条(残存効)、第23条(完全合意)、第24条(契約上の地位又は権利義務の譲渡等)、第25条(条項の可分性)、第26条(準拠法・管轄)、第27条(誠実協議)です。

第18条の秘密保持義務が最終契約の側にも置かれている点は、工程の初期に結ぶ秘密保持契約書だけで秘密保持が完結しないことを示しています。第22条の残存効は、契約が終了した後も効力が残る条項を指定する条文です。どの条項が残るかは契約ごとに定める事項であり、サンプルの文言をそのまま一般化することはできません。

法務は60問中10〜11問相当(現状案)

検討会第4回 資料2は、試験全体で60問程度、CBT方式で120分という設計案を示しています。科目別の出題割合の案は、M&A実務が35〜40%程度、財務・税務が20〜23%程度、法務が17〜18%程度、倫理・行動規範が25%程度です。いずれも現状案で、確定していません。

法務の17〜18%程度は、60問で換算すると10〜11問相当です。合格基準の案は、総得点70〜80%程度の得点率、科目別に50%程度、倫理・行動規範に禁忌肢を設定する案という3層です。法務が10〜11問なら、科目別50%程度の水準は5〜6問相当になります。この数字も現状案からの換算値です。

最終契約は法務の中項目のひとつにすぎません。法務全体で10〜11問相当という規模を踏まえると、株式譲渡契約書の条項をすべて暗記する準備は配分として合いません。章の並びと、同名条文が時点で分かれる構造を押さえるところまでが、規模に見合った準備です。

2026年10月26日時点で公表されていないこと

試験日、受験申込方法、受験料、受験資格、試験の正式名称、公式テキストは、2026年10月26日時点でいずれも公表されていません。2026年5月1日に中小企業庁が公表した委託先の採択結果(委託先は株式会社銀行研修社)にも、これらの記載はありません。

小項目ごとの出題数、株式譲渡契約書の条項が設問としてどう問われるか、公表サンプルが試験の素材として使われるかも公表されていません。当サイトは民間の学習支援サービスであり、試験の実施主体ではありません。

次の一歩:法務の誤答を「条項名」と「時点」に仕分ける

この記事を読んだ今日やる行動は1つです。無料模試の法務の設問を解き、間違えた問題を「条項の名前を知らなかった」と「条項の時点を取り違えた」の2つに仕分けてください。株式譲渡契約書サンプルは、第9条と第13条がいずれも「甲の義務」という見出しで、クロージング前と後の章に分かれています。この構造がある以上、法務の失点は名前を知らないことより時点の取り違えで起きている可能性があり、その2つは対策が別です。

法務は60問中10〜11問相当(現状案)で、科目別50%程度の案に当てはめると落とせる数が限られます。どちらの型で落としているかが分かれば、読み直す先が出題範囲一覧の小項目名か、契約書サンプルの章立てかに決まります。無料登録すると診断・模試の結果が保存され、次回以降の学習に使えます。

株式譲渡契約書の条項は中小M&A資格試験に出ますか。

出題範囲一覧には「株式譲渡契約」という小項目名はありません。法務の中項目「最終契約」の下に「最終契約に関する法律知識」が置かれ、●(優先出題項目)が付いています。株式譲渡契約書は最終契約の代表的な形であり、中小企業庁が参考資料7で条項の実物を公表しています。小項目ごとの出題数は2026年10月26日時点で公表されていません。

株式譲渡契約書のサンプルはどこで読めますか。

中小企業庁の中小M&Aガイドライン掲載ページにある参考資料7「各種契約書サンプル」に収められています。無料で公開されており、仲介契約書、秘密保持契約書、基本合意書、株式譲渡契約書、事業譲渡契約書の5種類が1つの資料にまとまっています。

条文の見出しを全部覚える必要がありますか。

法務は出題割合17〜18%程度・60問中10〜11問相当という現状案で、最終契約はその中の1つの中項目です。この規模に対して27条すべての見出しを暗記する配分は合いません。先に押さえるのは8章の並びと、同じ見出しの条文がクロージング前と後に分かれている構造です。

表明保証と補償はセットで覚えればよいですか。

契約書サンプルでは第3章「表明及び保証」と第7章「補償等」が別の章に置かれています。出題範囲一覧でも、法務の「表明保証に関する法律知識」には●が付かず、「補償」を名称に含む小項目はありません。章が別で●の扱いも異なるため、ひとまとめにせず別の論点として扱ってください。

今から何を準備すればいいですか。

無料模試の法務の設問を解き、誤答を「条項名を知らなかった」と「条項の時点を取り違えた」に仕分けてください。時点の取り違えが多ければ契約書サンプルの章立てを読み直し、条項名が出てこなければ出題範囲一覧の小項目名から入り直します。試験日が未公表の段階でも、この仕分けは公表後の残り日数に関係なく使えます。