この記事の目次(8項目)
不合格の「実績原因」は2026年9月8日時点で存在しない
中小M&A資格試験は、2026年9月8日時点で第1回が実施されていません。受験者の不合格事例も、不合格の実績原因も存在しません。中小企業庁が公表している資料にも、合格率・受験者数・不合格者数の実績値は記載されていません。
この記事が扱うのは実績ではなく、公表済みの合格基準から算術で導ける「不合格になり得る経路」です。中小企業庁「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」(検討会第4回 資料2)が示す合格基準は3つの要素で構成されており、落ちる経路もその3つに対応します。
以下で扱う数値は、すべて検討会資料に示された現状案です。試験を実施する株式会社銀行研修社は2026年5月1日に委託先として採択されていますが、同社からの正式な試験案内は2026年9月8日時点で公表されていません。
合格基準は3層。落ちる経路も3つに限られる
検討会第4回 資料2は、合格基準として3つを示しています。第一が総得点の70〜80%程度の得点率、第二が科目別合格最低基準の50%程度、第三が倫理・行動規範に設定される禁忌肢で、禁忌肢を設定した設問の一定数の誤答をもって不合格とする設計です。
3つは「かつ」の関係にあります。総得点が基準を超えていても、科目別合格最低基準を1科目でも割れば不合格になります。総得点と科目別基準の両方を満たしていても、禁忌肢を一定数誤答すれば不合格になります。
設問数は60問程度、試験時間は120分間が想定として示されています。以下の試算はすべて、60問で実施された場合の数字です。実際の設問数は、正式な試験案内が公表された時点で確認し直す必要があります。
経路①:総得点が70〜80%程度に届かない
60問で総得点70%は42問正解、80%は48問正解に相当します。許される誤答は前者で18問、後者で12問です。
この幅は、基準が70%側で運用されるか80%側で運用されるかによって、許容誤答数が6問変わることを意味します。どちらで運用されるかは2026年9月8日時点で公表されていません。学習計画を立てる側としては、厳しい側の48問正解を前提に置くほうが安全側の見積もりになります。
4科目の出題割合は、M&A実務35〜40%程度、倫理・行動規範25%程度、財務・税務20〜23%程度、法務17〜18%程度です。60問なら順に21〜24問程度、15問程度、12〜14問、10〜11問に相当します。
経路②:1科目でも科目別50%程度を割る
科目別合格最低基準は50%程度です。60問想定の設問数に当てはめると、M&A実務は21〜24問中11〜12問、倫理・行動規範は15問中8問、財務・税務は12〜14問中6〜7問、法務は10〜11問中5〜6問の正解が目安になります。端数を切り上げるか切り捨てるかの扱いは公表されていません。
設問数の少ない科目ほど、1問あたりの重みが大きくなります。法務が10問なら6問の誤答で50%を割ります。M&A実務が24問なら、12問誤答するまで50%を割りません。同じ「6問落とす」でも、どの科目で落とすかによって結果が変わります。
苦手科目を捨てて得意科目で取り返す配点戦略は、この基準の下では成立しません。法務10問を全問落とした場合、総得点70%にあたる42問に届くには、残り50問で42問、84%の正答率が必要になります。財務・税務13問を全問落とした場合は残り47問で42問、89%です。倫理・行動規範15問を全問落とした場合は残り45問で42問、93%です。
M&A実務については、科目別基準を持ち出すまでもなく成り立ちません。22問を全問落とすと残る設問は38問しかなく、総得点70%にあたる42問正解に算術的に到達できないためです。出題割合が最大の科目を捨てる選択肢は、60問想定では最初から存在しません。
経路③:倫理・行動規範の禁忌肢を一定数誤答する
禁忌肢が設定されるのは倫理・行動規範です。検討会第4回 資料2は、倫理・行動規範に著しく反するような支援者を排除する目的で、それを正しいと理解することに大いに問題がある誤答肢について禁忌肢を設定する、と記載しています。
禁忌肢を設定した設問は複数設けられ、そのうち一定数の誤答をもって不合格とする設計が示されています。その「一定数」が何問を指すかは、2026年9月8日時点で公表されていません。
この経路は、他の2つと性質が異なります。総得点と科目別基準は知識量の不足によって割りますが、禁忌肢は知識があっても選び得ます。判断の基準が中小M&Aガイドラインの規範側に置かれているためで、実務経験の長さがそのまま有利に働くとは限りません。
公表されているサンプル問題は4問で、M&A実務・財務・税務・法務・倫理・行動規範から各1問ずつ、いずれも四肢択一です。これとは別に、禁忌肢のサンプル問題が参考として倫理・行動規範から1問示されています。この1問が、禁忌肢がどのような文面で出題されるかを確認できる唯一の一次資料です。
3つの経路は、必要な対策がそれぞれ違う
経路①は総量の問題です。4科目を通した正答数を42〜48問まで引き上げる作業であり、どの科目から手を付けるかには自由度があります。
経路②は分布の問題です。総正答数が同じでも、誤答が1科目に偏っていれば落ちます。この偏りは総得点の数字には表れないため、科目別に分解しなければ検知できません。
経路③は種類の問題です。正答数をいくら積み上げても消えず、中小M&Aガイドラインの規範を読んでいるかどうかで決まります。倫理・行動規範の出題割合は25%程度で、4科目の中では2番目に大きい配分です。
自分の現在地を測るときに「総得点が何点か」だけを見ると、経路②と経路③は視界に入りません。科目別に分解した得点と、倫理・行動規範の誤答の中身の2つを同時に見る必要があります。
未公表のため「不合格の原因」として書けないこと
試験日・受験申込方法・受験料・受験資格は、2026年9月8日時点で公表されていません。試験の正式名称と公式テキストも公表されていません。
そのため「申込期限に間に合わなかった」「公式テキストを読んでいなかった」といった原因は、現時点では成立しません。合格率と受験者数の実績も公表されていないため、他の受験者と比べた相対的な位置づけも判定できません。
現時点で対策の対象にできるのは、公表済みの合格基準・出題割合・出題範囲・サンプル問題の4つに限られます。この4つの外側にある「不合格の原因」は、まだ誰も書けません。
次の一歩:3つの経路のうち、自分がどれで落ちるかを先に特定する
今日できることは1つです。無料模試を1回受けて、結果を総得点ではなく科目別に分解して見ることです。確認する点は2つで、設問数の少ない法務・財務・税務で50%を割っていないか、そして倫理・行動規範の誤答が知識不足によるものか規範の読み違いによるものか、です。
この順番で確かめる価値は、3つの経路で打ち手がまったく違うことにあります。総量が足りないなら学習時間の配分、分布が偏っているなら弱い科目への集中、規範の読み違いならガイドラインの読み込みへと分かれます。どこで落ちるかを特定しないまま学習量だけを増やすと、経路②と経路③はそのまま残ります。
無料登録をすると診断・模試の結果が保存され、次回以降の学習に使えます。科目別の得点は1回だけでは振れ幅が大きいため、同じ形式で複数回の記録を残すと、偏りが偶然によるものか傾向によるものかを区別できます。
中小M&A資格試験の不合格の原因は何ですか。
2026年9月8日時点では、実績としての不合格原因は存在しません。第1回試験が未実施のためです。公表されている合格基準から導ける不合格の経路は、総得点が70〜80%程度に届かないこと、いずれかの科目で50%程度を割ること、倫理・行動規範の禁忌肢を一定数誤答することの3つです。
総得点が合格基準を超えていれば合格しますか。
いいえ。合格基準は3つの要素で構成されており、総得点を満たしていても科目別合格最低基準の50%程度を1科目でも割れば不合格です。禁忌肢を一定数誤答した場合も同様です。
苦手な科目を捨てて他の科目で取り返せますか。
取り返せません。60問想定で法務10問を全問落とすと、総得点70%にあたる42問に届くには残り50問で84%の正答率が必要になります。加えて法務の科目別合格最低基準を割るため、総得点を満たしても不合格になります。
禁忌肢は何問誤答すると不合格になりますか。
2026年9月8日時点で公表されていません。検討会第4回 資料2には、禁忌肢を設定した設問を複数設け、一定数の誤答をもって不合格とする設計が示されています。禁忌肢が設定される科目は倫理・行動規範です。
合格率はどのくらいですか。
2026年9月8日時点で公表されていません。第1回試験が未実施のため、実績値そのものが存在しません。
今から何を準備すればいいですか。
科目別の得点分布を先に測ることです。無料模試を1回受け、設問数の少ない法務・財務・税務で50%を割っていないかと、倫理・行動規範の誤答の中身を確認します。その結果によって、学習時間の配分・弱点科目への集中・ガイドラインの読み込みのどれを優先するかが決まります。