中小M&A資格とは何か
中小M&A資格試験(仮称)は、中小企業庁が運営主体となって創設を進める、中小企業のM&Aを支援する人材のための試験です。試験科目はM&A実務、倫理・行動規範、財務・税務、法務の4科目で構成され、設問60問程度・試験時間120分・CBT方式が現状案として示されています。中小企業庁は試験の実施そのものを自ら行わず、民間団体へ毎期公募で委託する設計を採用しており、2026年5月1日に委託先として株式会社銀行研修社の採択が公表されました。合格者は登録講習を受け、氏名データベースで公表され、その後は定期講習で知識を更新する登録制度に接続する設計です。一方で正式名称、試験日、受験料、申込方法、受験資格は、2026年8月31日時点でいずれも公表されていません。
この試験を理解するうえでの起点は、「制度は国が設計し、実施は民間が担う」という二層構造です。制度の骨格である科目構成、出題割合、合格基準、出題範囲、登録制度は中小企業庁が検討会で示し、実際の問題作成・実施・運営は委託を受けた民間団体が担います。二層構造であるため、読者が追うべき情報源も2系統になります。制度の枠組みは中小企業庁の公表資料に、試験日や申込方法といった実施の詳細は委託先からの案内に現れます。当サイトが公表事項と未公表事項を分けて記録しているのは、この2系統の情報が別々のタイミングで出てくるためです。以下では、創設の背景から登録制度への接続まで、公表されている範囲で全体像を順に確認します。
なぜ国が資格を創設するのか——創設の背景
創設の背景にあるのは、中小M&Aの支援者が短期間で増えたことと、支援の質を測る共通のものさしがなかったことです。中小企業庁が公表する登録FA及び仲介業者は、令和8年3月9日時点で3,399件(法人2,606件・個人793件)に達しています。事業承継の受け皿としてM&Aが定着した結果、支援機関の数そのものは増えました。しかし増えたのは「登録した組織の数」であり、実際に案件を担当する個人が、譲り渡し側の利益を守れる知識と倫理を備えているかどうかは、外から確認できませんでした。譲り渡し側の多くは初めてM&Aを経験する中小企業の経営者であり、支援者の力量を自力で見極めることが難しい立場にあります。
中小企業庁はこの問題に対し、まず行動規範の明文化で応じました。2024年8月30日に公表された中小M&Aガイドライン第3版は、仲介者・FAが守るべき行動指針を示し、利益相反の管理、秘密保持、直接交渉の制限、専任条項やテール条項の適正化、不適切な譲り受け側の排除、反社会的勢力との関係遮断といった論点を具体化しています。ただしガイドラインは、支援機関が遵守を宣言する枠組みです。組織としての宣言はできても、個々の担当者がその内容を理解しているかを測る仕組みではありません。中小M&A資格試験は、ガイドラインが示した規範を個人の知識として測定し、外から見える形にする装置として設計されています。創設の経緯は「なぜ創設されたのか」の記事でより詳しく扱います。
制度の設計思想——規制ではなく可視化
この資格の設計思想は、業務を制限することではなく、担い手を可視化することに置かれています。中小企業庁が示した設計は、合格者に独占業務を与えるものではなく、合格後に登録講習を受けた者の氏名をデータベースで公表し、定期講習で知識の更新を確認するというものです。つまり制度が生み出すのは「その人でなければできない業務」ではなく、「その人が一定の知識と倫理を確認されたという事実の可視性」です。この設計思想を押さえておくと、後述する合格基準の3層構造や禁忌肢の位置づけが理解しやすくなります。測るのは処理能力の高さだけでなく、依頼者の利益を損なう行為を選ばないかどうかだからです。
可視化を選んだ設計であるからこそ、制度の要は試験そのものよりも登録制度の側にあります。試験に一度合格しただけでは、合格した時点の知識水準しか示せません。中小M&Aの実務は、ガイドラインの改訂や税制の変更で前提が動きます。そこで合格を入口とし、登録講習と定期講習で知識の更新を継続的に確認する設計が採られています。なお、この資格や登録が支援活動の要件として位置づけられるかどうかは、2026年8月31日時点で公表されていません。現時点で確認できるのは、要件化の有無ではなく、可視化を軸にした制度設計が示されているという事実です。
誰が運営し、誰が試験を実施するのか
運営主体は中小企業庁、試験の実施を担うのは株式会社銀行研修社です。中小企業庁は2026年5月1日、「令和7年度補正 中小企業活性化・事業承継総合緊急支援事業(中小M&A資格試験実施事業)」の企画競争について、応募3件の中から同社を委託先として採択したと公表しました。公募期間は2026年3月27日から4月22日までです。委託先が決まったことにより、今後の情報は中小企業庁の公表と委託先からの案内という2つの経路で出る形になります。ただし採択の公表に試験日や受験料は含まれておらず、委託先が決まったこと自体は、試験日程が確定したことを意味しません。
見落とされやすいのは、実施の委託が毎期公募される設計だという点です。試験を実施する団体は、期ごとの企画競争を経て決まります。したがって、次年度以降も同じ団体が実施を担うことは公表されていません。この設計は、特定の団体が試験と対策講座の双方を長期に独占し、受験対策が特定事業者に囲い込まれる状況を避ける方向に働きます。受験者の側から見ると、実施団体が発表する情報は「その期の実施に関する情報」であり、制度そのものの前提とは区別して読む必要があります。委託先の採択に関する一次資料の読み方は、実施団体の記事で詳しく扱っています。
試験はどのような形式か(現状案)
試験形式の現状案は、設問60問程度・試験時間120分・CBT方式です。単純計算で1問あたり2分の配分になります。この配分は、長文の資料を読み込ませて分析させる形式よりも、状況を短く提示して適切な判断を選ばせる形式に適しています。CBT方式が採られていることで、会場と日程の柔軟性は高まりますが、立ち上げ期は年3回程度の一斉実施が想定されており、随時受験ではなく期日を定めた実施になる方向が示されています。なお、設問数・試験時間・出題方式はいずれも現状案であり、実施団体が公表する試験案内で変更される可能性があります。
問題の具体的なイメージを示すものとして、中小企業庁はサンプル問題4問を公表しています。内訳は倫理・行動規範2問、財務・税務1問、法務1問で、いずれも三肢択一です。4問の型は「事例型の状況判断」「禁忌肢」「計算問題(FCF算定)」「独占業務の境界判定」に分かれており、単なる用語の暗記ではなく、場面を与えて選ばせる形式が中心であることが読み取れます。新設試験であるため過去問は存在せず、このサンプル4問と公表された出題範囲が、現時点で唯一の公式な手がかりです。なお、サンプル問題の選択肢は三肢ですが、本試験の全設問が三肢択一に統一されるかどうかは2026年8月31日時点で公表されていません。4問それぞれの解き筋と、そこから読み取れる出題の癖は、サンプル問題の記事で1問ずつ分解しています。
4科目と出題割合——何が問われるのか
4科目の出題割合は、M&A実務が35〜40%、倫理・行動規範が25%、財務・税務が20〜23%、法務が17〜18%という現状案が示されています。設問60問程度という前提に出題割合を当てはめて計算すると、M&A実務が21〜24問、倫理・行動規範が15問、財務・税務が12〜14問、法務が10〜11問という規模感になります。これは公表された割合からの単純計算であり、科目ごとの設問数そのものが公表されているわけではありません。倫理科目に4分の1という比重が置かれている点は、この試験の性格をよく表しています。一般的な実務試験であれば、倫理は付随的な位置に置かれることが多いのに対し、この試験では実務に次ぐ独立した柱として扱われています。これは、制度が解決しようとしている問題が知識不足だけでなく、依頼者の利益を損なう行為そのものにあることの反映です。以下、4科目それぞれの中身を順に見ます。
M&A実務(35〜40%)は何を測る科目か
M&A実務は、案件の入口から出口までの全工程を対象とする科目です。事前相談、仲介契約・FA契約の締結、重要事項説明、スキームの選択、バリュエーション、マッチング、デューデリジェンス、最終契約、クロージング、PMIまでが範囲に含まれ、加えて市場動向と中小企業政策も扱われます。公表された出題範囲では、優先的に出題する項目の重心が、重要事項説明、最終契約に関するブロック、仲介とFAの違い、不適切な譲り受け側への対応、PMIに置かれています。この重心の置き方は、契約前後の説明責任と、譲り渡し側が不利益を被りやすい局面に評価の焦点があることを示しています。工程ごとの論点整理はM&A実務科目の記事で扱います。
倫理・行動規範(25%)は何を測る科目か
倫理・行動規範は、中小M&Aガイドライン第3版の行動指針を母体とする科目です。出題の柱は、利益相反の管理、秘密保持、譲り渡し側と譲り受け側の直接交渉の制限、専任条項やテール条項の適正化、不適切な譲り受け側の排除、反社会的勢力との関係遮断です。この科目が他の3科目と決定的に違うのは、後述する禁忌肢が設定される唯一の科目である点です。したがって、条文や指針を覚えているかではなく、具体的な場面でどの行動を選ぶかが問われます。公表サンプル問題4問のうち2問がこの科目から出ていることも、比重の大きさを裏づけています。ガイドライン第3版のどの記述がどの論点に対応するかは、倫理・行動規範科目の記事で対応表として整理しています。
財務・税務(20〜23%)は何を測る科目か
財務・税務は、4科目で唯一、計算問題が出る科目です。範囲は簿記と財務3表の理解から始まり、バリュエーション、財務デューデリジェンスと税務デューデリジェンス、M&Aに関わる各種税金、役員退職金、株式譲渡スキームの税務に及びます。バリュエーションはコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの3分類で整理され、中小企業のM&Aでは時価純資産法が用いられることが多い点が押さえどころです。税務では、個人の株式譲渡が申告分離課税であり、税率が20.315%(所得税15.315%+住民税5%)である点が基本になります。公表サンプル問題の計算問題はFCF(フリー・キャッシュ・フロー)の算定でした。計算の手順は財務・税務科目の記事で扱います。
法務(17〜18%)は何を測る科目か
法務は、会社法・民法・労働法・弁護士法を横断する科目です。会社法では株式譲渡の承認手続や事業譲渡に必要な株主総会決議、民法では契約の基礎、労働法では労働契約承継法が扱われます。特徴的なのは弁護士法で、独占業務の境界判定が優先的に出題する項目に挙げられています。これは、支援者が「どこまでが自分の業務で、どこからが弁護士に委ねるべき領域か」を判断できることを、制度が重視しているためです。公表サンプル問題の法務1問も、この境界判定の型でした。なお、最終契約における表明保証、補償、解除、クロージングの前提条件は、法務とM&A実務の横断領域にあたり、どちらの科目からも問われ得ます。法令ごとの整理は法務科目の記事で扱います。
合格の判定はどう行われるのか——3層構造
合格の判定は3層で行う設計が現状案として示されています。第1層が総得点70〜80%程度、第2層が科目別の合格最低基準50%程度、第3層が倫理・行動規範に設定される禁忌肢です。3層のいずれかを満たさなければ合格に届かない構造であり、総得点が基準を超えていても、1科目でも最低基準を下回れば合格にはなりません。この設計は、得意科目で点を稼いで苦手科目を捨てるという受験戦略を成立させないためのものです。総得点70〜80%程度、科目別50%程度という数値はいずれも幅を持った現状案として示されたものであり、最終的にどの水準に定まるかは公表されていません。中小M&Aの支援は、実務・倫理・財務・法務のいずれか1つが欠けても依頼者に不利益が生じ得る業務であり、科目別の下限を置く設計はその性格に対応しています。
もう一つ押さえておくべきは、立ち上げ期に試験免除を設けない想定が示されている点です。他の資格の保有や実務経験によって特定科目を回避する仕組みは、現時点で予定されていません。士業として財務や法務に強い人であっても、倫理・行動規範とM&A実務は同じ条件で受けることになります。逆に、実務経験の長い仲介・FAの担当者にとっては、財務・税務や法務が科目別最低基準を割り込むリスクの所在になります。総得点だけを見て準備を進めると、この下限で足元をすくわれます。得点例を用いた3層の効き方は、合格基準の記事で具体的に検討しています。
禁忌肢とは何か、なぜ倫理科目に置かれるのか
禁忌肢とは、選んだこと自体が不合格の理由になる選択肢です。中小M&A資格試験では、倫理・行動規範に禁忌肢を設定する方針が示されています。複数の設問に配置し、一定数を選んだ場合に不合格とする設計が想定されていますが、設問数と閾値は2026年8月31日時点で公表されていません。公表サンプル問題で示された例は、反社会的勢力との関係が疑われる情報を依頼者に伝えずに手続を進める行為です。この仕組みが倫理科目にだけ置かれているのは、制度が防ごうとしているのが知識の不足ではなく、依頼者に決定的な損害を与える行為の選択だからです。合計点で埋め合わせのきかない層を1つ設けることで、その一線を明示しています。禁忌肢が設定される方針が示されているのは倫理・行動規範のみで、他の3科目に同様の仕組みを設ける方針は示されていません。禁忌肢の考え方と対策は、禁忌肢の記事で扱います。
出題範囲はどこまで公表されているか——優先出題項目(●印)
出題範囲は、すでに小項目のレベルまで公表されています。中小企業庁の検討会資料3は、4科目それぞれの小項目一覧を示したうえで、特に重要度が高く優先的に出題する項目に●印を付し、その数は●印の項目です。試験日が未公表である一方で、何を学べばよいかは項目単位で確定していることになります。この非対称性が、この試験の準備における最も重要な事実です。範囲が広く見える試験でも、優先出題項目(●印)を軸に据えれば、学習の順序と時間配分は今日決められます。一方で、各項目がどの程度の深さで問われるのか、公式テキストが用意されるのかは、2026年8月31日時点で公表されていません。範囲の広さは分かっても、掘る深さは公表情報からは決まらないということです。●印の項目が4科目にどう分布し、どの論点に重心があるかは、出題範囲の記事で一覧として整理しています。
いつ実施されるのか
実施時期は、令和8年度・令和9年度の実施が想定されています。立ち上げ期は年3回程度の一斉実施を想定する方向が示されており、CBT方式でありながら随時受験ではなく、期日を定めた実施になる設計が読み取れます。ただし、具体的な試験日、申込開始日、申込方法、受験料は2026年8月31日時点でいずれも公表されていません。委託先の採択が2026年5月1日に公表されたことから、次の節目は実施団体からの試験案内の公表ですが、その公表時期も示されていません。年3回程度という想定が正しければ、1回逃しても次の機会までの間隔は比較的短くなりますが、これも現状案です。日程に関する公表状況は試験日の記事とステータスページで継続的に更新しています。
合格した後はどうなるのか——登録制度への接続
合格後は登録制度に接続する設計が示されています。順序は、試験合格、登録講習の受講、氏名データベースでの公表、その後の定期講習という流れです。合格が一時点の到達を示すのに対し、登録制度は知識を継続的に更新していることを外部から確認できる仕組みとして構想されています。運用開始は令和10年度以降が想定されています。ここで重要なのは、合格そのものよりも、氏名がデータベースで公表されるという点です。可視化を軸にした制度設計では、この公表が譲り渡し側にとっての判断材料になります。登録講習の内容、費用、定期講習の頻度は、2026年8月31日時点で公表されていません。登録制度の設計は登録制度の記事で扱います。
ここで注意したいのは、試験の実施と登録制度の運用開始で、想定されている年度が異なる点です。試験の実施は令和8年度・令和9年度が想定されているのに対し、登録制度の運用開始は令和10年度以降が想定されています。初期に合格した人の氏名がいつ公表されるのか、合格から登録までの間をどう扱うのかは公表されていません。また、登録が任意なのか、合格者に一律に求められるのかも示されていません。制度が段階的に立ち上がる過程では、合格した時点と、その合格が外から見える形になる時点が一致しない可能性があります。この時間差は、取得の時期を考えるうえで押さえておく価値があります。
M&A支援機関登録制度とはどう違うのか
M&A支援機関登録制度は組織を対象とする制度で、中小M&A資格試験は個人を対象とする制度です。M&A支援機関登録制度は、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言したFA・仲介業者を登録し公表する仕組みで、登録件数は令和8年3月9日時点で3,399件(法人2,606件・個人793件)です。これに対し中小M&A資格試験は、実際に案件を担当する個人の知識と倫理を測ります。両者は競合する制度ではなく、組織の登録と個人の資格という2つの層で市場を可視化する関係にあります。この2層構造を理解しておくと、「登録支援機関に所属していれば資格は不要か」という問いが成り立たないことが分かります。組織の宣言と個人の力量は、別々に確認されるべき事柄だからです。
補助金との関係でも、現行制度は組織の登録を基準にしています。事業承継・M&A補助金の専門家活用枠は、M&A支援機関登録制度に登録した支援機関の支援のみが補助の対象です。個人の資格である中小M&A資格が、この補助金の要件やM&A支援機関登録制度への登録要件として位置づけられるかどうかは、2026年8月31日時点で公表されていません。ここは推測が広がりやすい部分ですが、現時点で確認できるのは、要件化されるとも、されないとも公表されていないという状態です。要件化の有無が公表された時点で、資格を取る優先度の判断は大きく変わります。
誰が受ける資格なのか
想定受験者として挙げられているのは、M&A仲介会社・FA会社の従事者、金融機関の事業承継担当や法人担当、税理士・公認会計士・中小企業診断士などの士業、そしてこれからM&A業界に入る人です。この4層は、それぞれ弱点になる科目が異なります。仲介・FAの従事者はM&A実務で有利な一方、財務・税務や法務の科目別最低基準が課題になりやすく、士業は自分の専門科目以外の3科目が課題になります。金融機関の担当者は財務に土台がある一方、倫理・行動規範がガイドライン第3版という固有の規範を母体とするため、別途の学習が必要です。業界未経験の人は全科目を等しく積み上げることになります。層ごとの出発点の違いは、受験対象者の記事で扱います。
この4層が想定されているのは、中小M&Aの案件が1社だけで完結せず、複数の立場の支援者が関与するためです。譲り渡し側の相談は税理士や金融機関から始まることが多く、そこから仲介・FAへつながり、財務や法務の局面で士業が加わります。関与する全員が同じ規範と同じ用語で動けることが、依頼者の不利益を減らす条件になります。だからこそ、この試験は特定の職種の専門性を測る試験ではなく、立場の異なる支援者に共通の下限を置く試験として設計されています。科目別最低基準50%程度という仕組みは、まさにこの「共通の下限」を表現したものです。自分の職種にとっての意味を考えるときは、得意分野の証明ではなく、共通の下限に届いているかという観点で見るほうが制度の趣旨に合います。
2026年8月31日時点で公表されていないこと
2026年8月31日時点で公表されていないのは、正式名称、試験日、申込開始日、申込方法、受験料、受験資格、公式テキスト、合格発表の方法、そして合格率です。合格率については、初回試験がまだ実施されていないため、実績そのものが存在しません。法律上の位置づけ、すなわち国家資格に相当する位置づけとなるかどうかも公表されていません。禁忌肢の設問数と閾値、登録講習の内容と費用、定期講習の頻度も同様です。他の解説記事にはこれらを推測で埋めているものがありますが、当サイトは推測を事実として書きません。公表されているかどうかの線引きそのものが、この段階では最も実用的な情報だと考えているためです。
確定を待つ間にできること
確定を待つ間にできるのは、公表済みの出題範囲に沿って4科目の現在地を測ることです。試験日が未公表であることは、準備を始められない理由になりません。出題割合、合格基準の3層構造、出題範囲の小項目一覧、優先出題項目(●印)は、いずれもすでに公表されています。特に科目別最低基準50%程度という設計を踏まえると、最初にすべきは得意科目を伸ばすことではなく、自分の専門外の科目がどこまで届いていないかを把握することです。試験日が公表されてから専門外の科目をゼロから積み上げる進め方は、確保できる期間が読めないという点で不利になります。学習順序の考え方は学習計画の記事で扱います。
手順としては、優先出題項目(●印)を軸に4科目の弱点を洗い出し、弱い科目から先に着手し、サンプル問題4問の型で出題形式に慣れる、という順序が現実的です。当サイトの無料診断は、この最初のステップである4科目の現在地の把握のために用意しています。診断で科目別の到達度を確認したうえで、模試で出題形式に慣れ、必要な科目だけを重点的に埋めていくのが、公表情報が段階的に増えていく現在の状況に適した進め方です。なお当サイトは民間の学習支援サービスであり、試験の実施主体ではありません。公表状況は中小企業庁の発表を継続的に確認し、確定した事項と未公表の事項をステータスページに記録しています。
中小M&A資格は国家資格ですか?
法律上の位置づけと正式名称は、2026年8月31日時点で公表されていません。公表されているのは、中小企業庁が運営主体となり、試験の実施を民間団体へ毎期公募で委託する設計であるという点です。当サイトでは公表資料に基づき「中小企業庁が運営主体の資格試験(仮称)」と表記しています。
試験はいつから受けられますか?
令和8年度・令和9年度の実施が想定されていますが、具体的な試験日・申込開始日・申込方法は2026年8月31日時点で公表されていません。委託先である株式会社銀行研修社の採択は2026年5月1日に公表済みで、次の節目は実施団体からの試験案内の公表です。
受験資格や実務経験の要件はありますか?
受験資格は2026年8月31日時点で公表されていません。あわせて、立ち上げ期には試験免除を設けない想定が示されているため、保有資格や実務経験によって特定科目を回避する仕組みは現時点で予定されていません。
この資格がないとM&Aの支援業務はできなくなりますか?
業務を制限する設計は示されていません。示されているのは、合格者に登録講習を課し、氏名をデータベースで公表して可視化する設計です。資格や登録がM&A支援機関登録制度や事業承継・M&A補助金の要件になるかどうかは、2026年8月31日時点で公表されていません。
M&A支援機関登録制度に登録していれば、この資格は不要ですか?
2つは対象が異なる制度です。M&A支援機関登録制度は組織を登録する仕組みで、登録件数は令和8年3月9日時点で3,399件です。中小M&A資格試験は、実際に案件を担当する個人の知識と倫理を測る仕組みであり、組織の登録が個人の資格を代替する設計は示されていません。
いま準備を始めるなら何からですか?
4科目の現在地を測ることからです。出題範囲の小項目一覧と優先出題項目(●印)、出題割合はすでに公表されており、試験日を待たずに学習順序を決められます。科目別最低基準50%程度という設計上、専門外の科目の把握が最優先になります。