この記事の目次(9項目)
直前1か月にやることは、インプットの追加ではなく「落ち方」の潰し込み
直前期の作業は、合格基準の構造から逆算して決まります。中小企業庁の検討会資料(第4回・2026年3月17日)に示された現状案では、合否は3つの条件で判定されます。第一に総得点70〜80%程度、第二に科目別合格最低基準50%程度、第三に倫理・行動規範に設定される禁忌肢です。
この3条件は、不合格になる経路が3本あることを意味します。総得点が基準に届かない、特定の科目が50%を下回る、禁忌肢に一定数誤答する、の3つです。直前1か月で動かせるのは主に後ろの2つです。総得点の底上げは全科目の底上げを要しますが、科目別の下限割れと禁忌肢は対象範囲が限定されているため、短い期間でも手を入れられます。
学習計画の全体設計は3か月モデルとして別記事で扱っています。この記事が扱うのは、残り1か月に入った時点からの4週間の中身だけです。
試験日が未公表でも「直前1か月」は先に設計できる
試験日、受験申込方法、受験料は、2026年9月8日時点でいずれも公表されていません。ただし直前1か月の中身は、日付が決まらなくても先に決められます。試験実施方式は現状案でCBT形式・120分と示されており、CBT形式は受験者が所定の期間内から受験日を選ぶ方式です。直前1か月は「自分が受ける日を決めた時点から逆算した4週間」として組み立てられます。
日付が確定していない段階で4週間の中身を決めておくと、試験日が公表された日に、日付をあてはめるだけで直前計画が動き出します。公表を待ってから設計を始めると、その設計時間そのものが直前期から差し引かれます。
第1週:科目別の正答率を測り、50%を下回る科目を特定する
直前1か月の最初の作業は、弱点科目を推定ではなく数値で特定することです。現状案の出題割合は、M&A実務が35〜40%程度、倫理・行動規範が25%程度、財務・税務が20〜23%程度、法務が17〜18%程度です。設問数60問程度で換算すると、法務はおよそ10〜11問、財務・税務はおよそ12〜14問にあたります。
分母が小さい科目ほど、科目別50%の下限はわずかな失点で割れます。法務が10問なら、6問落とした時点で下限を割ります。その6問は60問全体では10%にすぎず、総得点の側からは異変として見えません。科目別の正答率を分けて出さない限り、この落ち方は本番まで気づけません。
作業は1回で終わります。通しで解き、4科目それぞれの正答率を並べます。50%を下回る科目が1つでもあれば、その科目が第2週の対象です。すべて50%を上回っているなら、最も低い科目を対象にします。
第2週:下限を割った科目だけ、出題範囲一覧の原文に戻る
第2週は対象科目を1つに絞り、中小企業庁が公表している出題範囲一覧の該当箇所に戻ります。出題範囲一覧は科目ごとに小項目が並ぶ形式で、優先的に出題される項目が示されています。第1週で落とした設問が、どの小項目に対応するかを1問ずつ突き合わせます。
直前期に新しい教材へ移らない理由は、この対応関係が切れるからです。手元の演習と出題範囲一覧の小項目が1対1で結びついている状態を保つと、残り時間で未着手の小項目がいくつ残っているかが常に見えます。教材を増やした瞬間、その可視性が失われます。
財務・税務が対象科目になった場合は、計算の手順を書き出して固定します。公表されているサンプル問題では、財務の設問がフリー・キャッシュ・フローの算定を扱う四肢択一として示されています。手順を固定しておけば、本番で計算過程を組み立て直す時間が要りません。
第3週:倫理・行動規範と禁忌肢に時間を配分する
第3週は倫理・行動規範に配分します。この科目は現状案で出題割合25%程度、設問数にして15問程度と、単独の科目としてはM&A実務に次ぐ配分です。加えて、禁忌肢が設定される科目として名指しされているのはこの科目だけです。
禁忌肢は得点とは別の軸で働きます。検討会資料の現状案では、倫理・行動規範に著しく反する誤答肢を禁忌肢として設定し、複数設問の禁忌肢に一定数誤答した場合に不合格とする設計が示されています。総得点が基準を超えていても、この軸で外れれば合格に届きません。
この科目で必要なのは、選択肢の言い回しを覚えることではなく、中小M&Aガイドラインの記述に照らして「支援者がやってはならない行為」を判別できる状態です。参考として公表されている禁忌肢のサンプル問題は、倫理・行動規範の1問です。ガイドラインの該当箇所を読み直す作業が、そのまま禁忌肢対策になります。
第4週:本番と同じ条件で通し、時間配分を型として固める
最終週は、本番と同じ条件で解く作業に充てます。現状案の設問数は60問程度、試験時間は120分です。単純に割ると1問あたり2分です。財務・税務の計算問題に2分を超えて使うのであれば、その超過分をどの科目で回収するかを事前に決めておく必要があります。
CBT形式は画面上で解答する方式のため、紙の問題冊子に書き込む前提の解き方は使えません。計算を手元のメモに書く手順と、見直し対象の設問を記録しておく手順を、この週のうちに自分の型として固めます。
最終週に正答率が下がった科目が出ても、教材は増やしません。第2週で作った小項目との対応表に戻り、外した設問に対応する小項目だけを読み直します。最終週の目的は知識の追加ではなく、手順の再現性を上げることです。
直前1か月にやらないことを、先に決めておく
着手しない項目を先に確定させると、限られた時間の奪い合いが起きません。新しい問題集の追加、未学習分野の新規インプット、公表されていない事項にもとづく予想は、いずれもこの4週間では扱いません。
公式テキストは2026年9月8日時点で公表されていません。学習に使える一次資料は中小企業庁が公開している検討会資料と中小M&Aガイドラインで、いずれも無料で読めます。直前期に有料教材を新規に買い足す前に、手元の一次資料に未読の箇所が残っていないかを確認する順序を勧めます。
2026年9月8日時点で公表されていないこと
試験日、受験申込方法、受験料、受験資格、試験の正式名称、公式テキストは、2026年9月8日時点でいずれも公表されていません。この記事で示した合格基準、出題割合、設問数、試験時間、禁忌肢の設計は、中小企業庁の検討会資料に示された現状案であり、確定した内容ではありません。
資格の登録要件も現状案の段階です。検討会資料(第5回・2026年7月21日)では、試験合格に加えて誓約書の提出、登録講習の修了、欠格事由への非該当の確認を登録要件とする案と、登録の有効期限を3〜5年などの一定期間とする案が示されています。試験対策と登録手続は別の工程として扱ってください。
次の一歩:科目別正答率を1回出して、4週間の起点を決める
この記事を読んだ今日できることは1つです。通しで模試を1回解き、4科目それぞれの正答率を出してください。これが第1週の作業そのものであり、ここで対象科目が決まらない限り、第2週以降の3週間は配分を決められません。総合点だけを見ても、科目別50%の下限を割っているかどうかは判別できません。
いま測ることに意味があるのは、試験日が公表されてから測り始めると、第1週にあてるはずの時間を測定に使ってしまうからです。無料会員登録をすると診断・模試の結果が保存され、次に解いたときの科目別正答率と並べて、どの科目が動いたかを確認できます。
中小M&A資格試験の直前1か月は、何時間の学習が必要ですか
必要な学習時間の目安は公表されていません。中小企業庁の検討会資料には標準学習時間の記載がないため、時間の総量ではなく、科目別50%の下限を割っている科目があるかどうかで配分を決める方法を勧めます。下限を割っている科目が1つなら第2週の1週間を、2つ以上なら第2週と第3週の一部をその科目に充てる、という決め方になります。
直前1か月で新しい教材を買い足すべきですか
直前1か月での新規教材の追加は勧めません。公式テキストは2026年9月8日時点で公表されておらず、対策教材が出題範囲一覧のどの小項目に対応するかは自分で確認する必要があります。その突き合わせ作業に直前期の時間を使うより、第1週で特定した弱点科目について出題範囲一覧の原文へ戻るほうが、残り時間あたりの効果が見込めます。
科目別50%を下回る科目が2つ以上あるときはどうしますか
配分の大きい科目から先に着手します。現状案の出題割合はM&A実務が35〜40%程度、倫理・行動規範が25%程度、財務・税務が20〜23%程度、法務が17〜18%程度で、同じ1問でも総得点への寄与が異なります。ただし禁忌肢が設定されるのは倫理・行動規範だけなので、この科目が下限を割っている場合は配分の順位にかかわらず第2週の対象にします。
試験日が公表されていないのに、直前計画を作る意味はありますか
あります。直前1か月の中身は日付に依存しないためです。第1週で科目別正答率を測り、第2週で弱点科目の原文に戻り、第3週で倫理・行動規範と禁忌肢に配分し、第4週で本番と同じ条件で通す、という順序は、試験日が公表された後も変わりません。公表後に設計から始めると、設計に使った日数がそのまま直前期の学習時間から差し引かれます。
今から何を準備すればいいですか
科目別の正答率を1回出すところから始めてください。4科目のうちどれが科目別50%の下限に近いかが分からないと、直前1か月の4週間をどう配分するかが決められません。測定は1回で済み、結果は当サイトの無料の実力診断と模試で科目別に確認できます。無料会員登録をすると結果が保存され、直前期に入ってからの再測定と並べて比較できます。