この記事の目次(9項目)
- 法人・団体で中小M&A資格に取り組むには——試験日は決定、団体申込は受検案内で確認
- 企業にとって中小M&A資格は何が関係するのか——登録支援機関・補助金・所属先名の公表
- 団体申込・団体受検はできるのか——2026年11月1日時点で公表されていない
- 誰に受けさせるべきか——想定受験者4類型を職種に当てはめる
- 社員研修はどう組むか——出題数と科目別最低基準に沿って、試験日から逆算して配分する
- 研修の進捗はどう見るか——無料の科目別正答率と、準備中の法人プラン
- 企業が避けるべき誤解——公表資料で言えることの対応表
- 次の一歩:担当者本人が無料の20問精密診断と60問模試を受けて、研修時間の見当をつける
- 法人・団体での受検に関するよくある質問
法人・団体で中小M&A資格に取り組むには——試験日は決定、団体申込は受検案内で確認
中小M&A資格試験(正式名称:中小企業M&A実務能力・倫理検定試験)は、2026年10月30日に経済産業省・中小企業庁が実施を発表しました。試験日は令和9年(2027年)1月28日(木)〜30日(土)のうち任意の1日で、受検者は3日間から1日を選んでその日のみ受検します。CBT方式・120分・多肢選択式(四肢択一)・全60問程度で、全国約170の試験会場で行われます。受検資格はなく、年齢・学歴等に関係なく誰でも受検できます。一方、団体申込・団体受検の制度があるかどうか、申込方法・受付期間・受検料は2026年11月1日時点で公表されていません。具体的な受検申込み方法等を記載した受検案内を11月中に公表すると、発表資料に書かれています。
それでも、企業として決められることは3つあります。第一に対象者の選定です。中小企業庁の検討会第4回資料2は想定受験者を4類型で示しており、自社の職種に当てはめられます。第二に社員研修(企業研修)の組み立てです。4科目の出題数が2026年10月30日の出題科目詳細で公表され、試験日も決まったため、試験日から逆算した時間配分の根拠になります。第三に登録制度(案)への備えです。検討会第5回資料2(2026年7月21日)は、登録者検索システムで所属先名まで公表する案を示しています。本記事はこの3点を、人材育成計画を作る人事・部門長向けに順に整理します。
企業にとって中小M&A資格は何が関係するのか——登録支援機関・補助金・所属先名の公表
関係するのは、現行のM&A支援機関登録制度と、資格の登録制度(案)の2つです。M&A支援機関登録制度は登録単位が法人・個人事業者で、登録FA・仲介業者は3,399件(法人2,606・個人793/令和8年3月9日時点)です。事業承継・M&A補助金の専門家活用枠は、登録支援機関の支援のみが対象です。件数は中小企業庁の「登録FA及び仲介業者の公表」で確認できます。
ただし、この登録制度では個人が特定の資格を持つことは登録要件になっていません。中小M&A資格が登録要件になるか、M&A仲介業務に資格保有が義務づけられるかは、2026年11月1日時点で公表されていません。検討会第4回資料2は、登録機関に資格取得の推奨等を求めることを「検討」する旨までにとどまります。
一方で、資格の登録制度(案)は所属先に及ぶ設計です。検討会第5回資料2(2026年7月21日)は、試験合格→誓約書提出→登録講習修了→欠格事由なしの確認で登録する案を示しています。登録者検索システムでは氏名・登録番号・登録年月日・所属先名を公表する案です。運用開始は令和10年度以降が想定されています。所属先名が公表される案であるため、対象者の選定と登録の維持は、企業側でも検討事項になりえます。
試験の規模感も公表資料で確認できます。中小企業庁の募集要領(2026年3月27日)は次のように記載しています。「受験者数の想定としては、M&A支援機関登録制度におけるM&A支援業務専従者数等である約10,000人をベースとして見積りを行うこととする」。同要領の表では、2026年2月末時点の都道府県別M&A支援業務専従者数の合計は10,616人です。これは中小企業庁の見積り基準であり、実際の受験者数ではありません。ただ、登録支援機関の専従者が試験設計の前提に置かれていることは、企業が対象者を考える出発点になります。
団体申込・団体受検はできるのか——2026年11月1日時点で公表されていない
できるともできないとも言えません。申込方法が2026年11月1日時点で公表されていないためです。団体で申し込めるか、会社が受検料をまとめて払えるか、受検者ごとに個人で申し込むのかは、11月中に公表すると発表資料に書かれている受検案内で確かめることになります。公表状況を表にまとめます。
| 項目 | 公表状況(2026年11月1日時点) | 出典 |
|---|---|---|
| 試験日 | 令和9年(2027年)1月28日(木)〜30日(土)のうち任意の1日を選び、その日のみ受検 | 経済産業省・中小企業庁 報道発表(2026年10月30日) |
| 試験方式 | CBT方式・120分・多肢選択式(四肢択一)・全60問程度 | 同上 |
| 試験会場 | 全国約170の試験会場(会場の詳細は受検案内で示される) | 同上 |
| 受検資格 | 年齢・学歴等に関係なく、誰でも受検できる | 同上 |
| 運営・事務局 | 中小企業庁が運営主体。事務局は株式会社銀行研修社(委託先) | 同上 |
| 団体申込・団体受検の制度 | 公表されていない | — |
| 申込方法・受付期間 | 公表されていない(11月中に受検案内を公表すると発表資料に記載) | — |
| 受検料 | 公表されていない(募集要領では有償を想定) | 中小企業庁 募集要領(2026年3月27日) |
企業の実務で注意したいのは、試験日が3日間のうち任意の1日を選んでその日のみ受検する形だという点です。受検させる社員ごとに、1月28日(木)・29日(金)・30日(土)のどの日に受けるかを決め、その日から逆算して研修を組みます。試験日まで約3か月で、同じ社員が今回の試験を受け直す前提では組めません。研修計画は「1回で合格基準に届く」前提で組みます。会場の詳細と申込方法は受検案内で示されるため、受検日と会場の割り振りは受検案内の公表後に確定させます。試験日程と受検案内の公表状況は当サイトの試験日程ページで確認できます。受検料・申込方法などを記載した受検案内が公表された当日に、要点をメールでお知らせします(無料会員・希望者のみ)。
誰に受けさせるべきか——想定受験者4類型を職種に当てはめる
以下は当サイトの整理で、中小企業庁の資料による区分ではありません。中小企業庁の検討会第4回資料2が示す想定受験者は、M&A仲介・FA会社の従事者/金融機関の事業承継・法人担当/税理士・公認会計士・中小企業診断士等の士業/これからM&A業界に入る人、の4類型です。この4類型を企業の職種に当てはめ、4科目の内容と業務範囲を当サイトが照らし合わせたものが次の表です。
| 職種(想定受験者4類型) | 業務と重なりやすい科目(当サイトの整理) | 先に確認したい科目(当サイトの整理) |
|---|---|---|
| M&A仲介・FA会社の従事者 | M&A実務(22問程度) | 倫理・行動規範(中小M&Aガイドライン第3版が母体)、法務 |
| 金融機関の事業承継・法人担当 | 財務・税務 | M&A実務、倫理・行動規範 |
| 税理士・公認会計士・中小企業診断士等の士業 | 財務・税務 | M&A実務、倫理・行動規範、法務 |
| これからM&A業界に入る人 | 重なる科目なし | 4科目すべて。出題数の多いM&A実務、倫理・行動規範から |
対象者の優先順位は、公表資料で言える範囲では2つの軸で決められます。1つは登録制度(案)で所属先名が公表される設計との関係で、対外的に担当者名を出す職種を先にするかどうかです。もう1つは科目別最低基準50%程度(検討会資料の現状案)との関係で、業務と重ならない科目が多い職種ほど研修時間が要る点です。試験日まで約3か月のため、研修時間を多く要する職種ほど早く対象者を確定させる必要があります。義務化・要件化は公表されていないため、「全員必須」と決める根拠は2026年11月1日時点ではありません。
社員研修はどう組むか——出題数と科目別最低基準に沿って、試験日から逆算して配分する
研修時間は、公表された出題数に沿って配分します。2026年10月30日に公表された出題科目詳細では、全60問程度の内訳がM&A実務22問程度(中小M&A市場動向・中小企業政策関連を含む)、倫理・行動規範15問程度、財務・税務13問程度、法務10問程度です。この比率が配分の起点になり、総時間は試験日までの約3か月から逆算します。出題にあたって適用される法令・制度の基準日は令和8年3月末日と示されているため、研修資料もこの時点の法令・制度で作ります。科目ごとの母体資料と研修で押さえる点を表にまとめます。
| 科目 | 出題数(確定) | 出題の母体・公表資料 | 研修で押さえる点 |
|---|---|---|---|
| M&A実務 | 22問程度 | 出題科目詳細、検討会第4回資料3(出題範囲一覧)の●印の優先出題項目 | 出題数が最も多い。出題範囲一覧で抜けを確認する |
| 倫理・行動規範 | 15問程度 | 中小M&Aガイドライン第3版(2024年8月30日公表) | 検討会資料で禁忌肢を置く方針が示された科目。ガイドライン本文を全員が読む |
| 財務・税務 | 13問程度 | 出題科目詳細、検討会第4回資料3(出題範囲一覧) | 科目別最低基準50%程度(現状案)の対象。出題範囲一覧で業務外の項目を確認する |
| 法務 | 10問程度 | 出題科目詳細、検討会第4回資料3(出題範囲一覧) | 出題数は最少だが科目別最低基準50%程度(現状案)の対象 |
「得意科目だけ伸ばす」研修では合格基準を満たさないおそれがあります。合格基準は2026年11月1日時点で公表されていませんが、検討会資料の現状案は、総得点70〜80%程度に加えて、科目別最低基準50%程度を置く設計です。この想定どおりなら、M&A実務で満点に近くても、法務が50%を下回れば基準に届きません。さらに倫理・行動規範科目には禁忌肢を複数設問に配置し、一定数選ぶと不合格とする設計が想定されています(設問数・閾値は公表されていません)。したがって研修は、4科目すべてを最低基準の上に乗せることを先に、得意科目の上積みを後にする順で組みます。
教材については、公式テキスト・公式講座は2026年11月1日時点で公表されていません。初回の試験のため過去問も存在しません。公表されている一次資料は、検討会第4回資料2・資料3、2026年10月30日に公表された出題科目詳細、中小M&Aガイドライン第3版、公式サンプル問題(科目別の4問+参考の禁忌肢問題1問)です。研修の読み物はこの一次資料を土台にします。特に倫理・行動規範は、母体であるガイドライン第3版を全員が通読することが、公表資料に沿った準備です。
研修の進捗はどう見るか——無料の科目別正答率と、準備中の法人プラン
科目別の正答率を研修の前後で測ります。当サイトの20問精密診断(無料会員)は4科目別の正答率を表示します。本番想定60問・120分の模試(無料会員)は、終了後に科目別の正答率と弱点科目を表示し、結果はマイページに保存されて前回比が出ます。研修前に受ければ配分の根拠になり、研修後に受ければ科目別最低基準50%程度(現状案)に対する到達度が分かります。いずれも無料で、無料会員登録は1人ずつ行います。
複数の社員の状態を一括で見たい企業向けには、当サイトが「法人プラン(チーム)」を準備中です。準備している内容は次のとおりです。管理者画面(受講者別の進捗・模試の受験状況・科目別の状態)、席数に応じた一括払い(自動更新なし・請求書払い対応)、1席1名固定、5席から、20席以上は個別相談。いずれも準備中で、価格と開始時期は2026年11月1日時点で未公開です。相談は当サイトのお問い合わせで「法人導入について」を選んでください。
なお、この法人プランは学習教材の法人契約であり、試験の団体申込とは別物です。当サイトは中小企業庁・試験実施機関とは関係のない民間サービスで、公式の合否判定は行わず、合格を保証するものでもありません。
企業が避けるべき誤解——公表資料で言えることの対応表
社内の検討で前提が食い違いやすい4点を対応表にまとめます。右列はいずれも中小企業庁の公表資料で確認できる範囲です。
| 誤解 | 公表資料で言えること(2026年11月1日時点) |
|---|---|
| 「資格がないとM&A仲介ができなくなる」 | 要件化・義務化は公表されていない。M&A支援業務を資格保有者に限る法律上の制度は確認できない。検討会第4回資料2は登録機関に資格取得の推奨等を求めることを「検討」する旨まで |
| 「団体で申し込める」 | 団体申込・団体受検の制度は公表されていない。申込方法は、11月中に公表すると発表資料に書かれている受検案内で示される |
| 「公式講座を受講させればよい」 | 公式テキスト・公式講座は公表されていない。公表されている一次資料は検討会第4回資料2・資料3、出題科目詳細、中小M&Aガイドライン第3版、公式サンプル問題 |
| 「合格率で難易度を判断して対象者を絞る」 | 初回の試験のため合格率・受検者数は存在しない。判断材料は出題数(全60問程度・4科目)、検討会資料の合格基準の現状案(総得点70〜80%程度+科目別最低基準50%程度+禁忌肢)と出題範囲一覧 |
確定した事項と未確定の事項の一覧は、当サイトの一覧ページで随時更新しています。社内向けの説明資料を作る際は、「公表済み」と「未公表」を分けて書くことが、後の修正を最小にします。
次の一歩:担当者本人が無料の20問精密診断と60問模試を受けて、研修時間の見当をつける
まず、研修を設計する担当者本人が20問精密診断を受けることを勧めます。無料会員登録で受けられ、4科目別の正答率と弱点TOP3が出ます。次に本番想定60問・120分の模試(無料会員)で本番形式に慣れます。2026年10月30日に発表された本番の試験(全60問程度・120分)と同じ問題数・時間で、終了後に科目別の正答率と弱点科目が表示されます。担当者が自分の科目別の結果を見れば、どの科目に時間が要るかの見当を、社内の実測値としてつけられます。
その結果をもとに、想定受験者4類型の表に沿って対象者を選び、出題数に沿って試験日から逆算した研修時間を配分します。複数の社員の進捗を管理者が見たい段階になったら、準備中の法人プラン(チーム)について、お問い合わせで「法人導入について」を選んで相談してください。個人で先に演習量を確保したい場合は、中小M&A資格 合格対策パック(9,800円・一括払い・24か月利用・自動更新なし)があります。本番模試480問(60問×8回)・論点別演習240問・分野特訓180問の計900問に解説と根拠資料が付きます。購入前に無料の10問・20問・60問で内容を確かめられます。
法人・団体での受検に関するよくある質問
中小M&A資格試験は団体で申し込めますか?
団体申込・団体受検の制度は、2026年11月1日時点で公表されていません。申込方法・受付期間がまだ公表されていないためです。具体的な受検申込み方法等を記載した受検案内を11月中に公表すると、発表資料に書かれています。試験日は令和9年(2027年)1月28日(木)〜30日(土)のうち任意の1日です。試験日程と受検案内の公表状況は当サイトの試験日程ページで確認できます。
会社が社員の受検料を負担する場合、手続きはどうなりますか?
受検料の額と支払方法は、2026年11月1日時点で公表されていません。中小企業庁の募集要領は受験料を有償と想定していますが、額は示されていません。会社がまとめて支払えるか、個人が立て替える形になるかは、11月中に公表すると発表資料に書かれている受検案内で確かめる必要があります。
社員研修は何時間必要ですか?
公表資料に研修時間の目安はありません。公式テキスト・公式講座も公表されていません。当サイトが勧めるのは、公表された出題数(M&A実務22問程度、倫理・行動規範15問程度、財務・税務13問程度、法務10問程度)を研修時間の配分比率にする考え方です。到達点は、科目別最低基準50%程度(検討会資料の現状案)を全科目で超えることに置きます。総時間は、試験日(1月28日〜30日のうち社員ごとに選ぶ1日)までの約3か月と、担当者が無料の20問精密診断・60問模試で測った科目別の現在地から逆算します。
法人プラン(チーム)はいつから使えますか?
準備中で、開始時期と価格は2026年11月1日時点で未公開です。管理者画面で受講者別の進捗・模試の受験状況・科目別の状態を見られる設計で準備しています。お問い合わせで「法人導入について」を選ぶと、準備状況を案内します。
社員が合格すると、会社のM&A支援機関登録に有利になりますか?
中小M&A資格がM&A支援機関登録制度の登録要件になるかは、2026年11月1日時点で公表されていません。現行制度では個人が特定の資格を持つことは登録要件になっていません。一方、検討会第5回資料2(2026年7月21日)の登録制度(案)は、登録者検索システムで所属先名まで公表する案を示しています。