この記事の目次(19項目)
  1. 中小M&A資格試験(正式名称:中小企業M&A実務能力・倫理検定試験)とは——30秒でつかむ全体像
  2. なぜ国が資格試験をつくるのか——創設の背景
  3. 誰が運営し、誰が試験を実施するのか——中小企業庁と事務局の銀行研修社
  4. 試験の形式——CBT・120分・四肢択一の全60問程度
  5. 4科目と出題数——M&A実務22問・倫理15問・財務税務13問・法務10問程度
  6. M&A実務(22問程度)——案件の入口から出口まで
  7. 倫理・行動規範(15問程度)——ガイドライン第3版が母体、禁忌肢が想定されている科目
  8. 財務・税務(13問程度)——計算問題が示された科目
  9. 法務(10問程度)——会社法・民法・労働法・弁護士法を横断
  10. 合格基準は2026年11月1日時点で公表されていない——検討会資料で示された3層の想定
  11. 禁忌肢とは何か——選ぶこと自体が不合格の理由になる選択肢
  12. 出題範囲はどこまで公表されているか——出題科目詳細と優先出題項目(●印)
  13. 試験日とスケジュール——令和9年1月28日〜30日、受検案内は11月中
  14. 2026年11月1日時点の公表状況——確定・想定・未公表を分ける
  15. 合格した後はどうなるのか——登録制度への接続(案)
  16. M&A支援機関登録制度とはどう違うのか——事業者の登録と個人の資格
  17. 誰が受ける資格なのか——立場別に、この全体像がどう効くか
  18. 試験日まで約3か月——科目別50%の最低基準を軸にいまの実力を測る
  19. 次の一歩:20問精密診断で、科目別50%を下回りそうな科目を今日見つける

中小M&A資格試験(正式名称:中小企業M&A実務能力・倫理検定試験)とは——30秒でつかむ全体像

中小M&A資格試験(正式名称:中小企業M&A実務能力・倫理検定試験)は、中小企業庁が運営主体となって実施する、中小企業のM&Aを支援する人の実務能力と倫理を測る試験です。経済産業省・中小企業庁は2026年10月30日、「令和8年度中小企業M&A実務能力・倫理検定試験を実施します」と発表しました。令和8年度試験は、令和9年(2027年)1月28日(木)〜30日(土)のうち任意の1日を選んで受検し、全国約170の会場で、CBT方式・120分・四肢択一の全60問程度が出題されます。年齢・学歴等に関係なく誰でも受検でき、事務局は委託先の株式会社銀行研修社が務めます。本試験は、これまで中小企業庁の資料で中小M&A資格試験(仮称)と呼ばれていたものです。合格した後は、誓約書の提出と登録講習の修了を経て登録し、登録者検索システムで氏名などが公表される登録制度の案が、検討会第5回資料2(2026年7月21日)で示されています。

中小企業庁(運営主体)→株式会社銀行研修社(事務局)→受検者(誰でも受検可、3日間のうち1日をCBTで受検)→合格後の登録制度の案、の4つを矢印でつないだ図。下に決まっていること・未公表のこと・登録制度は案である旨の3行
試験の全体像(2026年11月1日時点):中小企業庁が運営主体、事務局は株式会社銀行研修社、受検者は誰でも受検可、合格後の登録制度は検討会資料の案
項目内容(2026年11月1日時点)出典
正式名称令和8年度中小企業M&A実務能力・倫理検定試験発表資料
運営主体中小企業庁発表資料
事務局株式会社銀行研修社(委託先)発表資料
試験日令和9年(2027年)1月28日(木)〜30日(土)のうち任意の1日(その日のみ受検)発表資料
試験方式・試験時間CBT方式・120分発表資料
出題形式・出題数多肢選択式(四肢択一)・全60問程度発表資料
科目M&A実務/倫理・行動規範/財務・税務/法務の4科目出題科目詳細
会場全国約170の試験会場発表資料
受検資格なし(年齢・学歴等に関係なく誰でも受検できる)発表資料
法令・制度の基準日令和8年3月末日出題科目詳細
受検料・申込方法2026年11月1日時点で公表されていません(11月中に受検案内を公表すると発表資料に記載)—
合格基準・合否発表2026年11月1日時点で公表されていません—
合格後登録制度の案(誓約書・登録講習・登録者検索システム)検討会第5回資料2

なぜ国が資格試験をつくるのか——創設の背景

創設の背景は、中小M&Aの支援者が短期間で増えた一方、個々の担当者の知識と倫理を外から確認する共通のものさしがなかったことです。中小企業庁が公表するM&A支援機関登録制度の登録FA・仲介業者は、令和8年3月9日時点で3,399件(法人2,606件・個人事業主793件)に達しています。事業承継の受け皿としてM&Aが定着し、支援機関の数は増えました。ただし増えたのは「登録した事業者の数」であり、実際に案件を担当する個人が、譲り渡し側の利益を守れる知識と倫理を備えているかは、外からは分かりませんでした。譲り渡し側の多くは初めてM&Aを経験する中小企業の経営者であり、支援者の力量を自力で見極めることが難しい立場にあります。

中小企業庁はまず、行動規範の明文化で応じました。2024年8月30日に公表された中小M&Aガイドライン第3版は、仲介者・FAが守るべき行動指針を示し、利益相反の管理、秘密保持、直接交渉の制限、専任条項やテール条項の適正化、不適切な譲り受け側の排除、反社会的勢力との関係遮断といった論点を具体化しています。ただしガイドラインは、支援機関が遵守を宣言する枠組みです。組織として宣言はできても、個々の担当者がその内容を理解しているかを測る仕組みではありません。本試験は、ガイドラインが示した規範を個人の知識として測り、合格と登録を通じて外から見える形にする仕組みとして設計されています。

誰が運営し、誰が試験を実施するのか——中小企業庁と事務局の銀行研修社

運営主体は中小企業庁、事務局は委託先の株式会社銀行研修社です。中小企業庁は2026年3月27日に試験実施事業の公募要領を公表し、2026年5月1日に応募3件の中から同社を委託先として採択したと公表しました。10月30日の発表でも、運営主体は中小企業庁、事務局は株式会社銀行研修社とされています。公募要領では、受託者が試験案内を作成してインターネット上に公開し、インターネット受付等を活用して受験申込を受け付けることが想定されていました。事業期間は契約締結日から令和9年3月31日までで、翌期以降も同じ団体が事務局を務めるかは、2026年11月1日時点で公表されていません。

役割主体具体的に行うこと(公表資料から)
運営中小企業庁試験の運営主体。検討会で科目・合格基準・登録制度の案を公表し、実施事業の委託先を公募で選ぶ
事務局株式会社銀行研修社(委託先)試験案内の作成・公開、申込受付、CBT方式での試験実施、合否判定(公募要領の想定)
受検・登録受検者(個人)1月28日〜30日のうち1日を選んで受検し、合格後は誓約書・登録講習を経て登録(案)

試験の形式——CBT・120分・四肢択一の全60問程度

試験はCBT(Computer Based Testing)方式で、試験時間は120分、出題は多肢選択式(四肢択一)の全60問程度です。いずれも2026年10月30日の発表で示された内容です。検討会第4回資料2(2026年3月17日)の現状案(60問程度・120分・CBT)が、そのまま確定した形です。CBT方式ですが、いつでも受けられる随時受検ではなく、1月28日〜30日の3日間のうち選んだ1日に受検します。公募要領は、初回試験で問題流出等による受験者間の不公平を避けるため、常時実施ではなく一斉開催とする理由を示していました。

問題のイメージとして、中小企業庁は検討会第4回資料2でサンプル問題を公表しています。内訳は正式4問(M&A実務/財務・税務/法務/倫理・行動規範の各1問)と、参考の禁忌肢問題1問で、いずれも四肢択一です。4問の型は、スキーム選択の比較判断、FCF(フリー・キャッシュ・フロー)の計算、契約条項の効力判断、弁護士・税理士等の独占業務に抵触する行為の判定(倫理・行動規範)に分かれ、用語の暗記ではなく場面を与えて判断を選ばせる形式が中心です。初回の試験のため過去問は存在せず、このサンプル問題と出題範囲が、中小企業庁が示している問題の手がかりです。

4科目と出題数——M&A実務22問・倫理15問・財務税務13問・法務10問程度

中小企業庁の「出題科目詳細」によると、科目別の出題数は、M&A実務22問程度(中小M&A市場動向・中小企業政策関連を含む)、倫理・行動規範15問程度、財務・税務13問程度、法務10問程度です。検討会第4回資料2の現状案で示されていた出題割合(M&A実務35〜40%、倫理・行動規範25%、財務・税務20〜23%、法務17〜18%)と、おおむね同じ配分です。倫理・行動規範に全体の4分の1にあたる15問程度が置かれている点が、この試験の性格を最もよく表しています。出題にあたって適用される法令・制度の基準日は令和8年3月末日です。

4科目の出題数を横棒で比べた図。M&A実務22問程度(37%)、倫理・行動規範15問程度(25%)、財務・税務13問程度(22%)、法務10問程度(17%)。1問あたり約2分の目安つき
科目別の出題数(2026年10月30日の発表資料より):M&A実務22問程度・倫理・行動規範15問程度・財務・税務13問程度・法務10問程度、合計60問程度・120分
科目出題数(出題科目詳細)全体に占める割合(当サイトの計算)
M&A実務(中小M&A市場動向・中小企業政策関連を含む)22問程度約37%
倫理・行動規範15問程度約25%
財務・税務13問程度約22%
法務10問程度約17%
合計全60問程度100%

表のとおり、M&A実務と倫理・行動規範の2科目で37問程度と、全体の6割強を占めます。一般的な実務試験では倫理は付随的な位置に置かれることが多いのに対し、この試験では実務に次ぐ独立した柱として扱われています。制度が解決しようとしている問題が、知識不足だけでなく、依頼者の利益を損なう行為の選択そのものにあるためです。以下、4科目それぞれが何を測る科目かを順に見ます。

M&A実務(22問程度)——案件の入口から出口まで

M&A実務は、案件の入口から出口までの全工程を対象とする科目です。事前相談、仲介契約・FA契約の締結、重要事項説明、スキームの選択、バリュエーション、マッチング、デューデリジェンス、最終契約、クロージング、PMIまでが範囲に含まれ、出題科目詳細では中小M&A市場動向と中小企業政策関連もこの科目に含むとされています。検討会第4回資料3の出題範囲一覧では、優先出題項目(●印)の重心が、重要事項説明、最終契約に関する項目、仲介とFAの違い、不適切な譲り受け側への対応、PMIに置かれています。契約前後の説明責任と、譲り渡し側が不利益を被りやすい局面に評価の焦点があることが読み取れます。

倫理・行動規範(15問程度)——ガイドライン第3版が母体、禁忌肢が想定されている科目

倫理・行動規範は、中小M&Aガイドライン第3版の行動指針を母体とする科目です。出題の柱は、利益相反の管理、秘密保持、譲り渡し側と譲り受け側の直接交渉の制限、専任条項やテール条項の適正化、不適切な譲り受け側の排除、反社会的勢力との関係遮断です。この科目が他の3科目と違うのは、検討会資料で禁忌肢を置くと想定されている唯一の科目である点です。条文や指針を覚えているかではなく、具体的な場面でどの行動を選ぶかが問われます。公表サンプル問題では、参考の禁忌肢問題1問がこの科目から示されています。

財務・税務(13問程度)——計算問題が示された科目

財務・税務は、公表サンプル問題で計算問題が示された科目です。範囲は簿記と財務3表の理解から始まり、バリュエーション、財務デューデリジェンスと税務デューデリジェンス、M&Aに関わる各種税金、役員退職金、株式譲渡スキームの税務に及びます。バリュエーションはコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの3分類で整理され、それぞれの考え方と代表的な手法を区別できることが押さえどころです(当サイトの整理)。公表サンプル問題の計算問題はFCFの算定でした。

法務(10問程度)——会社法・民法・労働法・弁護士法を横断

法務は、会社法・民法・労働法・弁護士法を横断する科目です。会社法では株式譲渡の承認手続や事業譲渡に必要な株主総会決議、民法では契約の基礎が扱われ、労働法も小項目に入っています(具体例は当サイトの整理)。特徴的なのは弁護士法で、独占業務の境界判定が優先出題項目に挙げられています。支援者が「どこまでが自分の業務で、どこからが弁護士に委ねる領域か」を判断できることを、制度が重視しているためです。公表サンプル問題の法務1問は、アドバイザリー契約の免責条項がどこまで効くかを判断する、契約条項の効力判断の型でした。

合格基準は2026年11月1日時点で公表されていない——検討会資料で示された3層の想定

合格基準(配点・合格点)は、2026年11月1日時点で公表されていません。検討会第4回資料2では、合格の判定を3層で行う想定が示されています。第1層が総得点70〜80%程度、第2層が科目別の最低基準50%程度、第3層が倫理・行動規範に設定される禁忌肢です。総得点70〜80%程度を60問に当てはめると、およそ42〜48問の正答に相当します(当サイトの算出)。この想定では、総得点が基準を超えていても、1科目でも最低基準を下回ると不合格になり得ます。得意科目で点を稼いで苦手科目を捨てる受検戦略を成立させないための設計です。

合格基準の3層を示す図。第1層は総得点70〜80%程度で60問中およそ42〜48問(当サイト算出)。第2層は科目別の最低基準で各科目50%程度、捨て科目をつくれない。第3層は禁忌肢で倫理・行動規範に設定され、一定数選ぶと不合格の想定。3つすべてを満たして合格。立ち上げ期は試験免除なしの想定。
合格基準の3層(検討会第4回資料2で示された想定):①総得点70〜80%程度 ②科目別の最低基準50%程度 ③倫理・行動規範の禁忌肢——3つすべてを満たして合格

図のとおり、3つの層のどれか1つを欠いても合格にはならない想定です。公募要領には、初回のため一律の合格点をあらかじめ決めず、各試験日の得点率や設問別の得点率を踏まえた相対評価で合否を判定すること、合否判定は後日行うこと、評価方法は試験委員会の了解を得て受験者に事前周知することが想定として書かれていました。CBT方式でも、試験当日に合否が画面に出る形ではない想定です。合否発表の時期・方法は、2026年11月1日時点で公表されていません。

もう一つ押さえておくべきは、立ち上げ期に試験免除を設けない想定が、検討会第4回資料2で示されている点です。保有資格や実務経験によって特定科目を回避する仕組みは、2026年11月1日時点の公表資料では示されていません。この想定のもとでは、弁護士・公認会計士・税理士等の資格(資料2の例示)の有無にかかわらず、4科目を同じ条件で受けることになります。当サイトは、総得点を見る前に、科目別の最低基準50%程度を下回る科目がないかを先に確かめることをおすすめしています(当サイト案)。

禁忌肢とは何か——選ぶこと自体が不合格の理由になる選択肢

禁忌肢とは、選んだこと自体が不合格の理由になる選択肢です。検討会第4回資料2と公募要領は、倫理・行動規範に禁忌肢を複数設け、一定数を誤答した場合に不合格とする設計を想定しています。設問数と閾値は、2026年11月1日時点で公表されていません。公表サンプル問題で示された参考例は、反社会的勢力との関係が疑われる情報を依頼者に伝えずに手続を進める行為でした。この仕組みが倫理科目にだけ想定されているのは、制度が防ごうとしているのが知識の不足ではなく、依頼者に決定的な損害を与える行為の選択だからです。他の3科目に同様の仕組みを設ける方針は示されていません。

出題範囲はどこまで公表されているか——出題科目詳細と優先出題項目(●印)

出題範囲は、検討会第4回資料3で小項目のレベルまで公表され、特に重要度が高く優先的に出題する項目に●印が付されています。中小企業庁の「出題科目詳細」では、科目別の出題数と、出題に適用される法令・制度の基準日(令和8年3月末日)が示されています。何を学べばよいかは項目単位で公表されているので、優先出題項目(●印)を軸に据えれば、試験日までの約3か月の学習順序と時間配分は今日決められます。公式テキストや公式講座は、2026年11月1日時点で公表されていません。財務・税務と法務は一次資料が項目名までのため、入門書で補う必要があります(当サイト案)。

試験日とスケジュール——令和9年1月28日〜30日、受検案内は11月中

試験日は令和9年(2027年)1月28日(木)〜30日(土)のうち任意の1日で、受検者は選んだ1日だけ受検します。受検料・申込受付期間・申込方法は2026年11月1日時点で公表されておらず、発表資料には、11月中に具体的な受検申込み方法等を記載した受検案内を公表すると書かれています。公募要領(2026年3月27日)では、年3回程度の試験実施日から1日を選ぶ形や、一斉開催とした場合の1月〜2月の3日間が想定されていましたが、10月30日の発表で1月28日〜30日の3日間と決まりました。申込・受検料・会場の項目別の状況は、関連記事「中小M&A資格試験はいつから?」にまとめています。

2026年11月1日時点の公表状況——確定・想定・未公表を分ける

10月30日の発表で、試験名・試験日・方式・出題数・会場・受検資格が確定しました。一方で、受検手続きに必要な受検料・申込方法と、合格基準・合否発表は、まだ公表されていません。当サイトは、確定した事項、検討会資料・公募要領で示された想定、公表されていない事項を分けて記録しています。

区分項目根拠となる資料
確定正式名称・試験日(1月28日〜30日のうち任意の1日)・CBT・120分・四肢択一・全60問程度・全国約170会場・受検資格なし発表資料(2026年10月30日)
確定科目別の出題数・法令の基準日(令和8年3月末日)出題科目詳細
確定運営主体=中小企業庁、事務局=株式会社銀行研修社発表資料・委託先採択結果(2026年5月1日)
確定倫理・行動規範の母体=中小M&Aガイドライン第3版ガイドライン(2024年8月30日)
確定出題範囲の小項目と優先出題項目(●印)検討会第4回資料3
想定合格基準3層(総得点70〜80%程度・科目別50%程度・禁忌肢)・試験免除なし検討会第4回資料2(2026年3月17日)
想定相対評価・後日判定・有償公募要領(2026年3月27日)
案登録要件・有効期限・更新・公表項目検討会第5回資料2(2026年7月21日)
未公表受検料・申込受付期間・申込方法・会場ごとの詳細・合否発表の時期と方法・合格基準の配点と合格点・公式テキスト2026年11月1日時点で公表されていません
存在しない受検者数・合格率・過去問初回の試験のため

学習に必要な「何を・どの比重で」は確定し、合格の「基準」は想定のまま、受検手続きの「いくらで・どう申し込むか」は受検案内を待つ状態です。法律上の位置づけ、すなわち国家資格に当たるかを示す公表資料は、2026年11月1日時点で当サイトが確認した範囲ではありません。当サイトは推測を事実として書きません。

合格した後はどうなるのか——登録制度への接続(案)

合格後は登録制度に接続する案が、検討会第5回資料2(2026年7月21日)で示されています。登録の要件は、試験合格、誓約書の提出、登録講習の修了、欠格事由に該当しないことの4つです。登録者は登録者検索システムで公表され、公表項目は氏名・登録番号・登録年月日・所属先名が案として挙げられています。有効期限は「期限なし又は3〜5年」の案で、更新は誓約書の提出と更新講習の修了で行います。登録講習はE-learningの形式が、また実務経験による免除が検討対象として示されています。欠格事由と登録の取消は中小企業庁が判断し、第三者委員会を置くことも想定されています。登録と更新の運用開始は、令和10年度以降が想定されています。

合格後の登録制度の流れを示す図。試験に合格、誓約書を提出、登録講習を修了、欠格事由がなければ登録、登録者検索システムで氏名・登録番号・登録年月日・所属先名を公表(案)、更新は誓約書と更新講習。有効期限は期限なし又は3〜5年。登録・更新の運用開始は令和10年度以降の想定。
合格後の流れ(案):試験合格→誓約書→登録講習→登録→登録者検索システムで公表→更新(誓約書+更新講習)

図のとおり、合格は入口であり、登録と更新で知識の更新を外から確認し続ける設計です。注意したいのは、令和8年度試験(令和9年1月28日〜30日)と登録の運用開始(令和10年度以降の想定)の間に時間差がある点です。初期の合格者が合格から登録までの間をどう扱われるのか、登録が任意なのか合格者に一律に求められるのか、登録講習の費用はいくらかは、2026年11月1日時点で公表されていません。

M&A支援機関登録制度とはどう違うのか——事業者の登録と個人の資格

M&A支援機関登録制度は事業者(法人・個人事業主)を登録する制度で、本試験は個人の知識と倫理を測る試験です。M&A支援機関登録制度は、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言したFA・仲介業者を登録し公表する仕組みで、登録件数は令和8年3月9日時点で3,399件(法人2,606件・個人事業主793件)です。これに対し本試験は、実際に案件を担当する個人を対象とします。両者は競合する制度ではなく、事業者の登録と個人の資格という2つの層で市場を可視化する関係にあります。「登録支援機関に所属していれば資格は不要か」という問いは、確認している対象が違うため成り立ちません。なお、この資格や登録がM&A支援機関登録制度の登録要件や補助金の要件になるかどうかは、2026年11月1日時点で公表されていません。

比較項目M&A支援機関登録制度中小M&A資格試験(中小企業M&A実務能力・倫理検定試験)
対象事業者(法人・個人事業主)個人
確認する内容中小M&Aガイドライン遵守の宣言4科目の知識と倫理(試験)、合格後の登録・更新(案)
公表の形登録FA・仲介業者の一覧登録者検索システムで氏名等(案)
2026年11月1日時点の状況運用中(3,399件・令和8年3月9日時点)令和9年1月28日〜30日に令和8年度試験。登録の運用は令和10年度以降の想定

誰が受ける資格なのか——立場別に、この全体像がどう効くか

10月30日の発表では、年齢・学歴等に関係なく誰でも受検できるとされています。検討会第4回資料2と公募要領は、仲介者・FA等のM&A専門業者またはその他の支援機関(金融機関、士業等専門家、M&Aプラットフォーム等)に所属して仲介・FA業務に関わる者と、今後中小M&Aの仲介・FA業務を行おうとする者を、主な受験対象と書いています。当サイトの言い換えでは、M&A仲介会社・FA会社の従事者、金融機関の事業承継担当や法人担当、士業、これからM&A業界に入る人です。検討会資料で示された合格基準の想定は、どの立場の受検者にも同じ3層(総得点70〜80%程度・科目別50%程度・禁忌肢)で、立ち上げ期は試験免除を設けない想定です。したがって、立場ごとに違うのは「どの科目が得意か」ではなく「どの科目が最低基準を下回りそうか」です。以下、4つの立場で見方を示します(当サイトの整理。効果を保証するものではありません)。

金融機関の事業承継担当・法人担当の方は、財務・税務の基礎と顧客との接点は日常業務と重なりますが、M&A実務のうち仲介契約・FA契約の締結、重要事項説明、最終契約、PMIといった案件の進行そのものを担当した経験は人によって差があります。最も出題数の多いM&A実務(22問程度)のうち、●印の重心が契約前後の説明責任にあることを押さえ、ここで科目別50%程度を下回らないかを先に確かめる見方が実用的です。

M&A仲介会社・FA会社の従事者の方は、M&A実務は日常業務と直結しますが、倫理・行動規範は「知っている」と「場面で正しい行動を選べる」の間に差が出やすい科目です。禁忌肢が想定される唯一の科目であり、15問程度と全体の4分の1を占めることを踏まえると、ガイドライン第3版の記述を場面に当てて判断する練習が、総得点より先に効きます。法務の弁護士法(優先出題項目)と、倫理・行動規範の独占業務に抵触する行為の判定も、日常の業務範囲をそのまま問われる論点です。

税理士・公認会計士・弁護士・中小企業診断士など士業の方は、専門科目で高い得点を取っても、立ち上げ期は試験免除がない想定のため、他の3科目で科目別50%程度の最低基準を満たす必要があります。たとえば税務が専門の方にとってはM&A実務のうち仲介とFAの違いや不適切な譲り受け側への対応、法務が専門の方にとってはFCFの計算やバリュエーションの3分類が、専門外の確認点になります。

これからM&A業界に入る方、未経験の方は、4科目すべてが新しい領域になりますが、出題範囲が小項目レベルで公表され、優先出題項目(●印)と科目別の出題数が示されていることは有利に働きます。範囲が決まっているため、●印を軸に4科目を広く浅く一巡し、科目別50%程度の最低基準に届かない科目を洗い出すところから始められます。過去問がない試験であるため、サンプル問題5問の型を知っておくことも、形式に慣れる手段になります。

試験日まで約3か月——科目別50%の最低基準を軸にいまの実力を測る

試験日まで約3か月です。科目別の出題数、出題範囲の小項目一覧と優先出題項目(●印)、サンプル問題5問は、いずれも公表されています。検討会資料で科目別の最低基準50%程度が想定されていることを踏まえると、最初にすべきは得意科目を伸ばすことではなく、専門外の科目がどこまで届いていないかを把握することです。受検できるのは3日間のうち選んだ1日だけで、受け直しはできないため、残りの期間を弱い科目に先に割り当てる進め方が安全です。

当サイトでは、登録不要の10問クイック診断(約5分)で4科目の感触をつかみ、無料会員の20問精密診断(約10分)で科目別の正答率と弱点TOP3を確かめ、時間を取れる日に本番形式60問模試(120分)で120分の時間配分を試す、という順序を用意しています。無料で解ける問題は全部で78問で、診断・模試は毎回この同じ問題集から出題されます。結果は保存されるため、受検案内が出て学習を本格化したときも続きから進められます。演習量が足りないと感じる方向けには有料の合格対策パック(9,800円・税込)もありますが、現在地を測る段階では無料の範囲で足ります。なお当サイトは民間の学習支援サービスであり、中小企業庁・事務局とは無関係です。公表状況は中小企業庁の発表を継続的に確認し、確定した事項と未公表の事項をステータスページに記録しています。

次の一歩:20問精密診断で、科目別50%を下回りそうな科目を今日見つける

今日やることは、登録不要の10問クイック診断(約5分)を解き、続けて無料会員登録(メールアドレスとパスワードだけ・約1分)をして20問精密診断(約10分)で4科目それぞれの正答率と弱点TOP3を確かめることです。今やる理由は、検討会資料で示された合格基準の想定では1科目でも50%程度の最低基準を下回ると不合格になり得るうえ、受検できるのは1月28日〜30日のうち選んだ1日だけで、試験日まで約3か月だからです。無料会員の診断・模試の結果は保存され、次回の結果と比べて弱点の変化を確認でき、有料に進んだ場合も引き継がれます。登録時に「試験日程などの重要情報」を受け取るを選ぶと、受検料・申込方法などを記載した受検案内が公表された当日に、要点をメールでお知らせします(無料会員・希望者のみ)。推測は送らず、いつでも停止できます。

中小企業M&A実務能力・倫理検定試験とは何ですか?

中小企業庁が運営主体となって実施する試験で、これまで中小M&A資格試験と呼ばれてきたものです。令和8年度試験は、令和9年(2027年)1月28日(木)〜30日(土)のうち任意の1日に、全国約170の会場でCBT方式・120分・四肢択一の全60問程度で行われます。事務局は株式会社銀行研修社です。

中小M&A資格は国家資格に当たりますか?

法律上の位置づけを示す公表資料は、2026年11月1日時点で当サイトが確認した範囲ではありません。公表されているのは、中小企業庁が運営主体となり、事務局の株式会社銀行研修社に委託して実施するという構造です。正式名称は中小企業M&A実務能力・倫理検定試験です。

中小M&A資格試験はいつですか?

令和9年(2027年)1月28日(木)〜30日(土)のうち任意の1日です。3日間から1日を選び、その日のみ受検します。

中小M&A資格試験の申し込み方法と受検料は?

申込受付期間・申込方法・受検料は、2026年11月1日時点で公表されていません。発表資料には、11月中に具体的な受検申込み方法等を記載した受検案内を公表すると書かれています。

科目と出題数は?

M&A実務22問程度(中小M&A市場動向・中小企業政策関連を含む)、倫理・行動規範15問程度、財務・税務13問程度、法務10問程度で、全60問程度です。出題は四肢択一で、法令・制度の基準日は令和8年3月末日です。

中小M&A資格試験のテキストはありますか?

公式テキスト・公式講座は、2026年11月1日時点で公表されていません。初回の試験のため過去問も存在しません。学習の手がかりは、出題科目詳細(科目別の出題数)、検討会第4回資料2(サンプル問題5問)、資料3(出題範囲の小項目と優先出題項目●印)、中小M&Aガイドライン第3版です。

合否は試験当日に分かりますか?

合否発表の時期・方法と合格基準は、2026年11月1日時点で公表されていません。公募要領では、CBT方式でも合否判定は後日行い、初回は各試験日の得点率等を踏まえた相対評価で判定することが想定されていました。

受検資格や、保有資格による科目免除はありますか?

受検資格はなく、年齢・学歴等に関係なく誰でも受検できると発表されています。保有資格による科目免除について、検討会第4回資料2は立ち上げ期に試験免除を設けない想定を示しています。

今から何をすればいいですか?

試験日まで約3か月です。4科目の現在地を測ることから始めてください。科目別の出題数、出題範囲の小項目一覧と優先出題項目(●印)は公表されており、学習順序はすぐに決められます。科目別50%程度の最低基準という想定のもとでは、専門外の科目の把握が最優先です。登録不要の10問クイック診断から始め、無料会員の20問精密診断で科目別の正答率を確かめてください。