この記事の目次(19項目)
- 中小M&A資格試験とは——30秒でつかむ全体像
- なぜ国が資格を創設するのか——創設の背景
- 誰が設計し、誰が試験を実施するのか
- 試験はどのような形式か——60問程度・120分・CBT(現状案)
- 4科目と出題割合——何が問われるのか
- M&A実務(35〜40%)——案件の入口から出口まで
- 倫理・行動規範(25%)——ガイドライン第3版が母体、禁忌肢が置かれる唯一の科目
- 財務・税務(20〜23%)——計算問題が示された科目
- 法務(17〜18%)——会社法・民法・労働法・弁護士法を横断
- 合格基準は3層——総得点・科目別最低基準・禁忌肢(現状案)
- 禁忌肢とは何か——選ぶこと自体が不合格の理由になる選択肢
- 出題範囲はどこまで公表されているか——小項目と優先出題項目(●印)
- いつ実施されるのか——令和8・9年度の想定と公募要領の記述
- 2026年10月24日時点の公表状況——確定・想定・未公表を分ける
- 合格した後はどうなるのか——登録制度への接続(案)
- M&A支援機関登録制度とはどう違うのか——事業者の登録と個人の資格
- 誰が受ける資格なのか——立場別に、この全体像がどう効くか
- 確定を待つ間にできること——科目別50%の最低基準を軸に現在地を測る
- 次の一歩:20問精密診断で、科目別50%を下回りそうな科目を今日見つける
中小M&A資格試験とは——30秒でつかむ全体像
中小M&A資格試験(仮称)は、中小企業庁が制度を設計し、民間の委託先が実施する、中小企業のM&Aを支援する個人のための試験です。中小企業庁は検討会で科目・問題数・合格基準・出題範囲・登録制度の現状案を公表し、試験の実施を担う団体を毎期の公募で選びます。2026年5月1日、初回の実施事業の委託先として株式会社銀行研修社の採択が公表されました(応募3件)。受験者が受けるのは、検討会第4回資料2の現状案で、4科目・60問程度・120分・CBT方式の試験です。合格した後は、誓約書の提出と登録講習の修了を経て登録し、登録者検索システムで氏名・登録番号・登録年月日・所属先名が公表される登録制度の案が、第5回資料2(2026年7月21日)で示されています。試験日と受験料は、2026年10月24日時点で公表されていません。
図のとおり、この試験は「国が設計し、民間が実施し、合格者は登録制度へ進む」という3段の構造でできています。読者が追うべき情報源が2系統になる理由も、この構造にあります。科目構成・出題割合・合格基準・出題範囲・登録制度といった制度の骨格は中小企業庁の検討会資料に現れ、試験日・申込方法・受験料といった実施の詳細は実施団体の試験案内に現れます。2026年10月24日時点では、前者の骨格は現状案として公表済みで、後者の実施の詳細は公表されていません。以下では、創設の背景から登録制度まで、確定した事項・現状案・未公表の事項を分けて順に確認します。
なぜ国が資格を創設するのか——創設の背景
創設の背景は、中小M&Aの支援者が短期間で増えた一方、個々の担当者の知識と倫理を外から確認する共通のものさしがなかったことです。中小企業庁が公表するM&A支援機関登録制度の登録FA・仲介業者は、令和8年3月9日時点で3,399件(法人2,606件・個人事業主793件)に達しています。事業承継の受け皿としてM&Aが定着し、支援機関の数は増えました。ただし増えたのは「登録した事業者の数」であり、実際に案件を担当する個人が、譲り渡し側の利益を守れる知識と倫理を備えているかは、外からは分かりませんでした。譲り渡し側の多くは初めてM&Aを経験する中小企業の経営者であり、支援者の力量を自力で見極めることが難しい立場にあります。
中小企業庁はまず、行動規範の明文化で応じました。2024年8月30日に公表された中小M&Aガイドライン第3版は、仲介者・FAが守るべき行動指針を示し、利益相反の管理、秘密保持、直接交渉の制限、専任条項やテール条項の適正化、不適切な譲り受け側の排除、反社会的勢力との関係遮断といった論点を具体化しています。ただしガイドラインは、支援機関が遵守を宣言する枠組みです。組織として宣言はできても、個々の担当者がその内容を理解しているかを測る仕組みではありません。中小M&A資格試験は、ガイドラインが示した規範を個人の知識として測り、合格と登録を通じて外から見える形にする装置として設計されています。
誰が設計し、誰が試験を実施するのか
設計は中小企業庁、実施は委託先の株式会社銀行研修社です。中小企業庁は2026年3月27日に「中小M&A資格試験実施事業」の公募要領を公表し(公募期間は4月22日まで)、2026年5月1日に応募3件の中から同社を委託先として採択したと公表しました。公募要領では、受託者がインターネット受付等を活用して受験申込受付を行い、全国の試験会場でCBT方式により試験を実施することが書かれています。事業期間は契約締結日から令和9年3月31日までであり、翌期以降も同じ団体が実施を担うかは、2026年10月24日時点で公表されていません。なお、同社のサイトに本試験の案内や教材が掲載されているかを当サイトが確認した範囲では、2026年10月24日時点で掲載はありませんでした。
| 役割 | 主体 | 具体的に行うこと(公表資料から) |
|---|---|---|
| 制度の設計 | 中小企業庁 | 検討会で科目・問題数・合格基準・出題範囲・登録制度の現状案を公表。実施団体を毎期公募し採択 |
| 試験の実施 | 株式会社銀行研修社(委託先) | 受験案内の作成、インターネット受付等での申込受付、CBT方式での試験実施、合否判定(公募要領の想定) |
| 受験・登録 | 受験者(個人) | 4科目・60問程度・120分の試験を受け、合格後は誓約書・登録講習を経て登録(案) |
試験はどのような形式か——60問程度・120分・CBT(現状案)
試験形式の現状案は、設問60問程度・試験時間120分・CBT方式です(検討会第4回資料2)。公募要領では、初回試験で問題流出等による不公平を避けるため、通年あるいは一定期間の中での常時実施ではなく一斉開催とすることが書かれています。CBT方式であっても、随時受験ではなく期日を定めた実施になる想定です。設問数・試験時間・出題方式はいずれも現状案であり、確定した内容は実施団体が公表する試験案内で示されます。
問題のイメージとして、中小企業庁は検討会第4回資料2でサンプル問題を公表しています。内訳は正式4問(M&A実務/財務・税務/法務/倫理・行動規範の各1問)と、参考の禁忌肢問題1問で、いずれも四肢択一です。4問の型は、スキーム選択の比較判断、FCF(フリー・キャッシュ・フロー)の計算、契約条項の効力判断、弁護士・税理士等の独占業務に抵触する行為の判定(倫理・行動規範)に分かれ、用語の暗記ではなく場面を与えて判断を選ばせる形式が中心です。新設試験のため過去問は存在せず、このサンプル問題と後述の出題範囲一覧が、2026年10月24日時点で中小企業庁が示している問題の手がかりです。本試験の肢数は資料2に明記がなく、2026年10月24日時点で公表されていません。
4科目と出題割合——何が問われるのか
4科目の出題割合の現状案は、M&A実務35〜40%、倫理・行動規範25%、財務・税務20〜23%、法務17〜18%です(検討会第4回資料2)。設問60問程度を前提に当サイトが換算すると、M&A実務が約21〜24問、倫理・行動規範が約15問、財務・税務が約12〜14問、法務が約10〜11問という規模感になります。これは公表された割合からの当サイトの算出であり、科目ごとの設問数そのものは公表されていません。倫理科目に4分の1の比重が置かれている点が、この試験の性格を最もよく表しています。
図のとおり、M&A実務と倫理・行動規範の2科目で全体の6割前後を占めます。一般的な実務試験では倫理は付随的な位置に置かれることが多いのに対し、この試験では実務に次ぐ独立した柱として扱われています。制度が解決しようとしている問題が、知識不足だけでなく、依頼者の利益を損なう行為の選択そのものにあるためです。以下、4科目それぞれが何を測る科目かを順に見ます。
M&A実務(35〜40%)——案件の入口から出口まで
M&A実務は、案件の入口から出口までの全工程を対象とする科目です。事前相談、仲介契約・FA契約の締結、重要事項説明、スキームの選択、バリュエーション、マッチング、デューデリジェンス、最終契約、クロージング、PMIまでが範囲に含まれ、加えて市場動向と中小企業政策も扱われます。検討会第4回資料3の出題範囲一覧では、優先出題項目(●印)の重心が、重要事項説明、最終契約に関する項目、仲介とFAの違い、不適切な譲り受け側への対応、PMIに置かれています。契約前後の説明責任と、譲り渡し側が不利益を被りやすい局面に評価の焦点があることが読み取れます。
倫理・行動規範(25%)——ガイドライン第3版が母体、禁忌肢が置かれる唯一の科目
倫理・行動規範は、中小M&Aガイドライン第3版の行動指針を母体とする科目です。出題の柱は、利益相反の管理、秘密保持、譲り渡し側と譲り受け側の直接交渉の制限、専任条項やテール条項の適正化、不適切な譲り受け側の排除、反社会的勢力との関係遮断です。この科目が他の3科目と決定的に違うのは、後述する禁忌肢が設定される唯一の科目である点です。条文や指針を覚えているかではなく、具体的な場面でどの行動を選ぶかが問われます。公表サンプル問題では、参考の禁忌肢問題1問がこの科目から示されています。
財務・税務(20〜23%)——計算問題が示された科目
財務・税務は、公表サンプル問題で計算問題が示された科目です。範囲は簿記と財務3表の理解から始まり、バリュエーション、財務デューデリジェンスと税務デューデリジェンス、M&Aに関わる各種税金、役員退職金、株式譲渡スキームの税務に及びます。バリュエーションはコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの3分類で整理され、それぞれの考え方と代表的な手法を区別できることが押さえどころです(当サイトの整理)。公表サンプル問題の計算問題はFCFの算定でした。
法務(17〜18%)——会社法・民法・労働法・弁護士法を横断
法務は、会社法・民法・労働法・弁護士法を横断する科目です。会社法では株式譲渡の承認手続や事業譲渡に必要な株主総会決議、民法では契約の基礎が扱われ、労働法も小項目に入っています(具体例は当サイトの整理)。特徴的なのは弁護士法で、独占業務の境界判定が優先出題項目に挙げられています。支援者が「どこまでが自分の業務で、どこからが弁護士に委ねる領域か」を判断できることを、制度が重視しているためです。公表サンプル問題の法務1問は、アドバイザリー契約の免責条項がどこまで効くかを判断する、契約条項の効力判断の型でした。
合格基準は3層——総得点・科目別最低基準・禁忌肢(現状案)
合格の判定は3層で行う設計が、検討会第4回資料2の現状案として示されています。第1層が総得点70〜80%程度、第2層が科目別の最低基準50%程度、第3層が倫理・行動規範に設定される禁忌肢です。総得点70〜80%程度を60問に当てはめると、およそ42〜48問の正答に相当します(当サイトの算出)。この現状案では、総得点が基準を超えていても、1科目でも最低基準を下回ると不合格になり得ます。得意科目で点を稼いで苦手科目を捨てる受験戦略を成立させないための設計です。
図のとおり、3つの層のどれか1つを欠いても合格にはならない設計です。ここに、公募要領が示す合否判定の想定が重なります。公募要領には、総得点の70〜80%程度の得点率を合格基準として設定することを想定しつつ、初回のため一律の合格点をあらかじめ決めるのではなく、各試験日の得点率や設問別の得点率を踏まえた相対評価で合否を判定すること、合否判定は後日行うこと、評価方法は試験委員会の了解を得て受験者に事前周知することが書かれています。つまりCBT方式でも、試験当日に合否が画面に出る形ではなく、後日の判定になる想定です。70〜80%程度という幅のどこに最終的な水準が置かれるかは、2026年10月24日時点で公表されていません。
もう一つ押さえておくべきは、立ち上げ期に試験免除を設けない想定が、検討会第4回資料2で示されている点です。保有資格や実務経験によって特定科目を回避する仕組みは、2026年10月24日時点で示されていません。この想定のもとでは、弁護士・公認会計士・税理士等の資格(資料2の例示)の有無にかかわらず、4科目を同じ条件で受けることになります。当サイトは、総得点を見る前に、科目別の最低基準50%程度を下回る科目がないかを先に確かめることをおすすめしています(当サイト案)。
禁忌肢とは何か——選ぶこと自体が不合格の理由になる選択肢
禁忌肢とは、選んだこと自体が不合格の理由になる選択肢です。検討会第4回資料2と公募要領は、倫理・行動規範に禁忌肢を複数設け、一定数を誤答した場合に不合格とする設計を想定しています。設問数と閾値は、2026年10月24日時点で公表されていません。公表サンプル問題で示された参考例は、反社会的勢力との関係が疑われる情報を依頼者に伝えずに手続を進める行為でした。この仕組みが倫理科目にだけ置かれているのは、制度が防ごうとしているのが知識の不足ではなく、依頼者に決定的な損害を与える行為の選択だからです。合計点で埋め合わせのきかない層を1つ設けることで、その一線を明示しています。他の3科目に同様の仕組みを設ける方針は示されていません。
出題範囲はどこまで公表されているか——小項目と優先出題項目(●印)
出題範囲は、検討会第4回資料3で小項目のレベルまで公表されています。資料3は4科目それぞれの小項目一覧を示したうえで、特に重要度が高く優先的に出題する項目に●印を付しています。試験日が未公表である一方、何を学べばよいかは項目単位で公表されているという非対称性が、この試験の準備で最も重要な事実です。範囲が広く見えても、優先出題項目(●印)を軸に据えれば、学習の順序と時間配分は今日決められます。一方で、各項目をどの深さで問うのか、公式テキストや公式講座が用意されるのかは、2026年10月24日時点で公表されていません。財務・税務と法務は一次資料が項目名までのため、入門書で補う必要があります(当サイト案)。
いつ実施されるのか——令和8・9年度の想定と公募要領の記述
実施時期は、令和8年度・令和9年度の実施が想定されています(検討会第4回資料2)。公募要領には、年3回程度の試験実施日を定めてその中から受験者が任意の日時を選択し、受験者はそのうちの1回のみしか受験できない形を想定すること、仮に一斉開催とした場合は1月〜2月の可能な限り連続した平日2日間および休日1日間の3日間を設定することを想定することが書かれています。試験会場の項では、試験実施時期として想定する令和9年1〜2月の間に各都道府県に少なくとも1か所の会場を確保すると書かれています。「年3回程度」は受験者が年に3回受けられるという意味ではなく、1人が受けられるのはそのうち1回のみである点に注意が必要です。具体的な試験日、申込開始日、申込方法、受験料は、2026年10月24日時点でいずれも公表されていません。次の節目は実施団体からの試験案内の公表ですが、その公表時期も示されていません。
2026年10月24日時点の公表状況——確定・想定・未公表を分ける
この試験について出回っている情報の多くは、確定した事項と現状案・想定の事項が混ざった形で書かれています。当サイトは3つに分けて記録しています。確定しているのは、実施団体(2026年5月1日採択)、中小M&Aガイドライン第3版(2024年8月30日)、出題範囲一覧(検討会第4回資料3)です。現状案・想定として示されているのは、4科目・60問程度・120分・CBT、合格基準の3層、年3回程度の試験実施日で受験は1回のみ、一斉開催なら1〜2月の3日間、令和8・9年度の実施です。未公表なのは、試験日、申込期間と申込方法の詳細、受験料の金額、受験資格、正式名称、公式テキスト・公式講座、そして合格率と受験者数(初回試験が実施されていないため実績がありません)です。
図のとおり、学習に必要な「何を・どの比重で・どの基準で」はすでに現状案として出ており、受験手続に必要な「いつ・いくらで・どう申し込むか」が出ていない状態です。中小企業庁の検討会は、2026年10月24日時点で当サイトが確認した最新が第5回(2026年7月21日)です。法律上の位置づけ、すなわち国家資格に当たるかを示す公表資料も、同時点ではありません。当サイトは推測を事実として書きません。公表されているかどうかの線引きそのものが、この段階では最も実用的な情報だと考えているためです。
| 区分 | 項目 | 根拠となる資料 |
|---|---|---|
| 確定 | 実施団体=株式会社銀行研修社 | 委託先採択結果(2026年5月1日) |
| 確定 | 倫理・行動規範の母体=中小M&Aガイドライン第3版 | ガイドライン(2024年8月30日) |
| 確定 | 出題範囲の小項目と優先出題項目(●印) | 検討会第4回資料3 |
| 現状案 | 4科目・60問程度・120分・CBT・出題割合・合格基準3層 | 検討会第4回資料2(2026年3月17日) |
| 想定 | 年3回程度の実施日から1回のみ・一斉開催なら1〜2月の3日間・相対評価・後日判定・有償 | 公募要領(2026年3月27日) |
| 案 | 登録要件・有効期限・更新・公表項目 | 検討会第5回資料2(2026年7月21日) |
| 未公表 | 試験日・申込方法・受験料・受験資格・正式名称・公式テキスト・合格率 | 2026年10月24日時点で該当資料なし |
合格した後はどうなるのか——登録制度への接続(案)
合格後は登録制度に接続する案が、検討会第5回資料2(2026年7月21日)で示されています。登録の要件は、試験合格、誓約書の提出、登録講習の修了、欠格事由に該当しないことの4つです。登録者は登録者検索システムで公表され、公表項目は氏名・登録番号・登録年月日・所属先名が案として挙げられています。有効期限は「期限なし又は3〜5年」の案で、更新は誓約書の提出と更新講習の修了で行います。登録講習はE-learningの形式が、また実務経験による免除が検討対象として示されています。欠格事由と登録の取消は中小企業庁が判断し、第三者委員会を置くことも想定されています。登録と更新の運用開始は、令和10年度以降が想定されています。
図のとおり、合格は入口であり、登録と更新で知識の更新を外から確認し続ける設計です。注意したいのは、試験の実施(令和8・9年度の想定)と登録の運用開始(令和10年度以降の想定)の間に時間差がある点です。初期の合格者が合格から登録までの間をどう扱われるのか、登録が任意なのか合格者に一律に求められるのか、登録講習の費用はいくらかは、2026年10月24日時点で公表されていません。
M&A支援機関登録制度とはどう違うのか——事業者の登録と個人の資格
M&A支援機関登録制度は事業者(法人・個人事業主)を登録する制度で、中小M&A資格試験は個人の知識と倫理を測る試験です。M&A支援機関登録制度は、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言したFA・仲介業者を登録し公表する仕組みで、登録件数は令和8年3月9日時点で3,399件(法人2,606件・個人事業主793件)です。これに対し中小M&A資格試験は、実際に案件を担当する個人を対象とします。両者は競合する制度ではなく、事業者の登録と個人の資格という2つの層で市場を可視化する関係にあります。「登録支援機関に所属していれば資格は不要か」という問いは、確認している対象が違うため成り立ちません。なお、この資格や登録がM&A支援機関登録制度の登録要件や補助金の要件になるかどうかは、2026年10月24日時点で公表されていません。
| 比較項目 | M&A支援機関登録制度 | 中小M&A資格試験(仮称) |
|---|---|---|
| 対象 | 事業者(法人・個人事業主) | 個人 |
| 確認する内容 | 中小M&Aガイドライン遵守の宣言 | 4科目の知識と倫理(試験)、合格後の登録・更新(案) |
| 公表の形 | 登録FA・仲介業者の一覧 | 登録者検索システムで氏名等(案) |
| 2026年10月24日時点の状況 | 運用中(3,399件・令和8年3月9日時点) | 試験日・受験料は未公表、登録の運用は令和10年度以降の想定 |
誰が受ける資格なのか——立場別に、この全体像がどう効くか
検討会第4回資料2と公募要領は、仲介者・FA等のM&A専門業者またはその他の支援機関(金融機関、士業等専門家、M&Aプラットフォーム等)に所属して仲介・FA業務に関わる者と、今後中小M&Aの仲介・FA業務を行おうとする者を、主な受験対象と書いています。当サイトの言い換えでは、M&A仲介会社・FA会社の従事者、金融機関の事業承継担当や法人担当、士業、これからM&A業界に入る人です。合格基準の現状案は、どの立場の受験者にも同じ3層(総得点70〜80%程度・科目別50%程度・禁忌肢)を示し、立ち上げ期は試験免除を設けない想定です。したがって、立場ごとに違うのは「どの科目が得意か」ではなく「どの科目が最低基準を下回りそうか」です。以下、4つの立場で見方を示します(当サイトの整理。効果を保証するものではありません)。
金融機関の事業承継担当・法人担当の方は、財務・税務の基礎と顧客との接点は日常業務と重なりますが、M&A実務のうち仲介契約・FA契約の締結、重要事項説明、最終契約、PMIといった案件の進行そのものを担当した経験は人によって差があります。出題割合の35〜40%を占めるM&A実務のうち、●印の重心が契約前後の説明責任にあることを押さえ、ここで科目別50%程度を下回らないかを先に確かめる見方が実用的です。
M&A仲介会社・FA会社の従事者の方は、M&A実務は日常業務と直結しますが、倫理・行動規範は「知っている」と「場面で正しい行動を選べる」の間に差が出やすい科目です。禁忌肢が置かれる唯一の科目であり、25%の比重を持つことを踏まえると、ガイドライン第3版の記述を場面に当てて判断する練習が、総得点より先に効きます。法務の弁護士法(優先出題項目)と、倫理・行動規範の独占業務に抵触する行為の判定も、日常の業務範囲をそのまま問われる論点です。
税理士・公認会計士・弁護士・中小企業診断士など士業の方は、専門科目で高い得点を取っても、立ち上げ期は試験免除がない想定のため、他の3科目で科目別50%程度の最低基準を満たす必要があります。たとえば税務が専門の方にとってはM&A実務のうち仲介とFAの違いや不適切な譲り受け側への対応、法務が専門の方にとってはFCFの計算やバリュエーションの3分類が、専門外の確認点になります。
これからM&A業界に入る方、未経験の方は、4科目すべてが新しい領域になりますが、出題範囲が小項目レベルで公表され、優先出題項目(●印)が示されていることは有利に働きます。範囲が決まっているため、●印を軸に4科目を広く浅く一巡し、科目別50%程度の最低基準に届かない科目を洗い出すところから始められます。過去問がない試験であるため、サンプル問題5問の型を知っておくことも、形式に慣れる手段になります。
確定を待つ間にできること——科目別50%の最低基準を軸に現在地を測る
確定を待つ間にできるのは、公表済みの出題範囲に沿って4科目の現在地を測ることです。試験日が未公表であることは、準備を始められない理由になりません。出題割合、合格基準の3層、出題範囲の小項目一覧、優先出題項目(●印)、サンプル問題5問は、いずれもすでに公表されています。特に科目別の最低基準50%程度という現状案を踏まえると、最初にすべきは得意科目を伸ばすことではなく、専門外の科目がどこまで届いていないかを把握することです。公募要領の想定では受験は1回のみであり、試験日が公表されてから専門外の科目をゼロから積み上げる進め方では、確保できる期間を自分で選べません。
当サイトでは、登録不要の10問クイック診断(約5分)で4科目の感触をつかみ、無料会員の20問精密診断(約10分)で科目別の正答率と弱点TOP3を確かめ、時間を取れる日に本番形式60問模試(120分)で120分の時間配分を試す、という順序を用意しています。無料で解ける問題は全部で78問で、診断・模試は毎回この同じ問題集から出題されます。結果は保存されるため、公表後に学習を本格化したときも続きから進められます。演習量が足りないと感じる方向けには有料の合格対策パック(9,800円・税込)もありますが、現在地を測る段階では無料の範囲で足ります。なお当サイトは民間の学習支援サービスであり、中小企業庁・実施団体とは無関係です。公表状況は中小企業庁の発表を継続的に確認し、確定した事項と未公表の事項をステータスページに記録しています。
次の一歩:20問精密診断で、科目別50%を下回りそうな科目を今日見つける
今日やることは、登録不要の10問クイック診断(約5分)を解き、続けて無料会員登録(メールアドレスとパスワードだけ・約1分)をして20問精密診断(約10分)で4科目それぞれの正答率と弱点TOP3を確かめることです。今やる理由は、合格基準の現状案では1科目でも50%程度の最低基準を下回ると不合格になり得るうえ、公募要領の想定では受験は1回のみで、試験日が公表されてから弱い科目を探し始めると準備期間を自分で選べないからです。無料会員の診断・模試の結果は保存され、次回の結果と比べて弱点の変化を確認でき、有料に進んだ場合も引き継がれます。登録時には、試験日・申込方法・受験料などが公表されたその日に要点だけをメールで受け取る設定も任意で選べ、推測は送らず、いつでも停止できます。
中小M&A資格は国家資格に当たりますか?
法律上の位置づけと正式名称は、2026年10月24日時点で公表されていません。公表されているのは、中小企業庁が設計し、試験の実施を民間団体へ公募で委託するという構造です。当サイトは公表資料に基づき「中小企業庁が設計する資格試験(仮称)」と表記しています。
中小M&A資格試験はいつからですか?試験日は決まっていますか?
試験日は2026年10月24日時点で公表されていません。検討会第4回資料2は令和8年度・令和9年度の実施を想定し、公募要領には一斉開催とした場合は1月〜2月の3日間を設定することを想定すると書かれ、試験会場の項では令和9年1〜2月の実施を想定して会場を確保すると書かれています。いずれも想定であり、確定した日程ではありません。公表された当日に要点を知りたい方は、無料会員登録時にメール通知を選べます。
中小M&A資格試験の申し込み方法と受験料は?
申込期間・申込方法の詳細・受験料の金額は、2026年10月24日時点で公表されていません。公募要領には、受託者がインターネット受付等を活用して申込受付を行うこと、有償(受験料を徴収)で実施し、金額は事業期間中に中小企業庁と協議して決めることが書かれています。
中小M&A資格試験のテキストはありますか?
公式テキスト・公式講座・公式問題集は、2026年10月24日時点で公表されていません。新設試験のため過去問も存在しません。学習の手がかりとして公表されているのは、検討会第4回資料2(科目・問題数・合格基準・サンプル問題5問)、資料3(出題範囲の小項目と優先出題項目●印)、中小M&Aガイドライン第3版です。
合否は試験当日に分かりますか?
公募要領には、CBT方式でも合否判定は後日行うことを想定すると書かれています。初回は一律の合格点を事前に決めず、各試験日の得点率・設問別の得点率を踏まえた相対評価で判定し、評価方法は受験者に事前周知する想定です。合格発表日は2026年10月24日時点で公表されていません。
受験資格や、保有資格による科目免除はありますか?
受験資格は2026年10月24日時点で公表されていません。検討会第4回資料2は、立ち上げ期に試験免除を設けない想定を示しており、保有資格や実務経験によって特定科目を回避する仕組みは示されていません。
今から何をすればいいですか?
4科目の現在地を測ることからです。出題範囲の小項目一覧と優先出題項目(●印)、出題割合、合格基準の3層はすでに公表されており、試験日を待たずに学習順序を決められます。科目別50%程度の最低基準という現状案のもとでは、専門外の科目の把握が最優先です。登録不要の10問クイック診断から始め、無料会員の20問精密診断で科目別の正答率を確かめてください。